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齋藤徹スバルラボ副所長、集中ルームなどラボの各部屋を紹介 約50人程度が渋谷でAIアイサイト開発

2020年11月18日 発表

スバルラボ副所長 兼 先進安全設計部 AI R&D課 課長 第一技術本部 齋藤徹氏

 スバルは11月18日、AI開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」を野村不動産が展開するクオリティスモールオフィス「H1O(エイチワンオー)渋谷三丁目」に開設すると発表した。開設時期は12月を予定。野村不動産と共同で報道陣向けに内覧会を行ない、齋藤徹スバルラボ副所長がスバルラボの各部屋を紹介した。

 齋藤副所長は、スバルが12月1日に新設する先進安全設計部 AI R&D課 課長 第一技術本部であり、スバルAI開発の最前線を担当する。齋藤副所長はスバルラボのAI開発の具体例を紹介。これまでアイサイトで培ってきたステレオカメラというコアテクノロジにAIを融合することで、これまでにない安全技術の高みを目指していく。

AI開発を加速

 具体的には、これまでアイサイトではステレオカメラにより、対象物の距離や主に白線、人など対象物の認識を行なってきたが、今後はAIにより推論も行なっていく。その推論は、白線や人だけでなく、あらゆるものの検出について使用し、その後の経路作成などパスプランニングも推論を入れていく。AI推論を入れていくことで白線のないところでも走ることができるようになり、路肩の雪なども判別しつつ、その雪を避けて走ることができるようになるという。

 そのための開発を、このスバルラボでやっていく。

AI認識の例
下がAIを用いたアイサイトの認識。オブジェクトが種類によって塗り分けられている

 齋藤副所長は「フリーアドレスになっているがどこでも働くというわけではなく、目的を持ったエリアとしている」と語り、エンジニアが目的を持って働けるような工夫をし、このスバルラボのデザインを半年で行なってきた。「オフィスは必要ないという声もあるが、その先を行くアイディアを半年で作ってきた」と語り、スバルラボの各部屋を案内してくれた。

 このスバルラボの全体の規模は現在50人程度。そのうち25人を東京都三鷹市と群馬県太田市の開発拠点から異動して開発を実施。さらに25人を外部から募集し、全体で50人規模としていく。ただ、50人ということではなく、これまでスバル内部で開発してきた人が半分と、これまでIT企業などでAI開発してきた人が半分というイメージになるとのことだ。

中央にミーティングスペースを持つ部屋。齋藤徹スバルラボ副所長は、コロナ禍もあるため、中央のミーティングスペースは、当初それほど使わないかもと
すぐにテレミーティングができるシステムを用意
こちらは集中して開発するための部屋。窓がなくとても静か
こちらはマネジメントクラスの人がいる部屋、高いパーティションを導入していくとのこと
座布団などもあるリラックスして開発するための部屋
スバルラボは、3階の6部屋から構成されている

 スバルの研究開発費は2020年3月期の実績で1187億円。トヨタ自動車の同期の研究開発費は1兆1103億円なので、スバルはトヨタの約1/10規模で開発を行なっていることになる。当然あれもこれも開発とはいかず、きっちり狙いを絞って開発せざるを得えない。絞った開発で作られた先進安全運転支援装置のアイサイトは、「安全を買う」という価値をクルマにもたらし、新しいクルマの購入軸を作り出した大成功例になる。

 そのアイサイトの将来の開発の方向性がAIとなり、これまでのスバルの開発体制を見ると、「AI×アイサイト」1本に絞ってアイサイトの進化を行なっていくのだろう。

 このスバルラボでは駐車場も用意しており、スバルラボで開発した成果をすぐに実験車に反映、首都高で実走してAIシミュレーションとの違いも確認できるよう配慮しているという。スバルラボの目の前には首都高速が走っており、出入口もすぐ近く。スバルラボによるAI搭載アイサイトの開発加速割合について聞いてみたが、「将来の商品戦略にかかわること」とのことで明確な回答は得られなかったが、スバルがかかげる「2030年に交通事故死亡者ゼロ」を念頭に予測すると、その前の発売が濃厚となる。

 スバルラボから生み出される。AI搭載アイサイト車の早期の登場が楽しみだ。