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日産、学生の描いた「GT-R(X)2050」を1/1モデルで制作
乗り物ではなくクルマと人が融合するウェアラブル(着る)マシン
2020年12月23日 15:36
- 2020年12月17日(現地時間)発表
日産自動車は12月17日(現地時間)、ニッサンデザインアメリカ(NDA)が、学生のデザインした「GT-R(X)2050」を1/1サイズで制作したと発表した。
このGT-R(X)2050は、カリフォルニア州パサデナにあるアートセンターカレッジオブデザインに通う崔熙燮氏が卒業論文用に手掛けたデザインで、卒業前にカリフォルニア州ラホーヤにあるニッサンデザインアメリカ(NDA)でインターンシップをしていたとき、この日産GT-R(X)2050のビジョンが生まれたという。
崔熙燮氏は「私は1月にNDAでインターンシップを開始し、約2か月間企業プロジェクトに参加しました。その後、COVID-19のおかげで自宅で仕事をしながら、残りのインターンシップで、ビジョンヒューマノイドプロジェクトを開始しました。当時はNDAのチームがフルサイズモデルとして作成するのを手伝ってくれるとは想像もしていませんでした」と述べている。
完成したGT-R(X)2050は、長さが10フィート弱(2908mm)、高さが2フィート強(658mm)で1人乗り。ドライバーは手足をX字型に伸ばした「うつ伏せ」状態で、スーパーバイクのライダー用のようなヘルメットと、革に似た未来的な体にフィットするスーツを着用して乗車する設定。
NDA副社長のDavid Woodhouse氏は「崔熙燮氏は非常に才能があり、とても創造的なデザイナーであり、脳と車両の統合によって推進される将来のスーパーカーに関する彼のアイデアは、B2V分野における日産の高度な仕事と完全に一致します。彼の論文は感情的なつながりのテクノロジーが生み出すことができることと、それが顧客にもたらすメリットを実証することに関するものでした。NDAチームが、崔熙燮氏のアイデアを1:1モデルとして形にするのを支援することは非常にエキサイティングでした」と述べている。
崔熙燮氏は人間の脳をコンピューターに接続することでクルマはウェアラブルマシンとなり、通常の自動運転車よりもすぐれたパフォーマンスが得られると考え「車両も人体の形を模倣しているため、脳を効率的に保護できる」と言う。
また、崔熙燮氏は「今日の外骨格は、機械的な構造を身につけることで人を強くします。クルマを着ているかのように、できるだけ人の体の大きさに合わせようとしました。乗り物ではなく、機械と人間がひとつになる空間、新しい形の機械を作りたかったのです」と、クルマのコンパクトなレイアウトについて説明している。
崔熙燮氏の未来的なプロジェクトは、大胆でドラマチックな表面、モノリシックなボディボリューム、Vモーションデザインなど、現在の日産GT-Rからヒントを得ていて、象徴的なGT-RテールライトとGT-R NISMOの赤い縞模様のアクセントもあしらわれる。
また、GT-Rスタイルのヘルメットとドッキングスーツもユニークで、ヘルメットはVRビジョンと共有するフロントビジョンカメラのスロットに挿入するように設計され、脳からコアへの送信機は、人間の脳がデジタル化された信号を活性化するのに役立つと想定されている。
さらに、ホイールとタイヤは一体型で正方形に近い形状となり、車両は360度回転できることを想定。タイヤ外径は21インチで、ホイールは15インチ。ホイールのスポークパターンは、極端なブレーキング中でもホイールが急速に冷えるように設計されているという。
GT-R(X)2050は、走行時にダウンフォースを追加するアクティブな翼も展開でき、停止時は翼は折りたたまれているので、ドライバーの乗り降りには支障をきたさない設計となっている。
「崔熙燮氏は基本的に、従来の車両の“馬車”ではなく、衣服のように“ウェアラブル”で体験できる新しい交通手段を構想しました。これは、NDAで常に奨励されてきた一種の型破りな考え方です。崔熙燮氏のビジョンを実現できることを光栄に思います」とWoodhouse氏は述べている。
GT-R(X)2050スペック
乗員:1人
レイアウト(乗り方):前向きのうつ伏せ状態
コントロール:ブレイン・トゥ・コンピューター・インターフェース
全長×全幅×全高(mm):2908×1537×658
ホイールベース(mm):1756
ホイールサイズ:15インチ
タイヤサイズ:21インチ