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LG Innotek、スマホをクルマの鍵にできる「デジタルカーキー・モジュール」を開発

従来品よりスマホの位置を5倍ほど正確に検知でき、セキュリティも強化

2021年1月26日(現地時間)発表

LG Innotekが開発した「デジタルカーキー・モジュール」

 LG Innotekは1月26日(現地時間)、位置認識精度とセキュリティを強化した「デジタルカーキー(Digital Car Key)・モジュール」の開発に成功したと発表した。

 デジタルキーは、スマートフォンを用いてクルマのドアを開閉したり、エンジンをかけたりできる次世代キーで、デジタルカーキー・モジュールは、車両に搭載してクルマとスマホ間の無線データの送受信を可能にする通信部品。ドライバーはスマホで車両制御はもちろん、、走行距離や燃費、タイヤの空気圧などの車両状態もひと目で確認できるようになる。

 特にデジタルキーは、アプリケーションを通じて他人に貸すことができ、トランクの開閉などの特定機能だけを許可することも可能。キーを持ち歩く必要がなく、クルマのキーを紛失する恐れもなくなり、スマホがクルマの車内にない場合には運転ができないため、車両盗難の危険も少なくなるという。

 ここ数年、カーシェアリングやレンタカーなどの車両共有産業が成長することで、デジタルカーキー・モジュールの需要は毎年増加。しかし、既存のデジタルカーキー・モジュールはスマホの位置認識精度が低く、通信ハッキングなどのセキュリティ性能面の危険のために適用が困難であった。

 今回LG Innotekが開発したデジタルカーキー・モジュールは、近距離無線通信技術のUWB(Ultra Wideband:超広帯域)技術とオリジナルのアルゴリズムを適用して位置認識精度を高めた。これと共にオリジナルの通信ハッキング防止技術でセキュリティを強化したこともメリットだという。

既存製品に比べて5倍ほど正確にスマホの位置を検知でき、セキュリティもいっそう強化されているという

業界最高レベルの位置認識精度、セキュリティ強化

 LG InnotekはBLE(Bluetooth Low Energy:低電力ブルートゥース)に比べて距離と方向精度が高いUWB技術を使用。さらにオリジナルの無線通信アンテナ設計技術と独自開発した位置測定アルゴリズムを適用。

 これにより、LG Innotekのデジタルカーキー・モジュールを車両に適用させると、既存に比べて5倍ほど正確にスマホの位置を検知することが可能となり、実際のスマホの位置とモジュールが認識した位置の誤差範囲は従来の50cmから10cm以内に短縮されるという。

 具体的には、既存のカーキー・モジュールが5m離れた所にあるスマホを4.7m~5.2m間にあると認識するのに対して、LG Innotekの新しいデジタルカーキー・モジュールは4.9m~5m以内に位置していると比較的正確に認識できる。

 デジタルカーキー・モジュールが、スマホの位置を正確に把握するほど、便利で多様な機能を実装でき、ドライバーのスマホ位置を認識して運転席のドアだけをあらかじめ開けておくことも可能であり、自動でエンジンをかけることも可能となる。

 また、それだけではなく数人が1台のクルマをシェアする場合、各自のスマホの位置を認識して、運転席のシートやサイドミラーなどをドライバーごとに最適化して自動的にセットする。同じデジタルカーキーを持つ複数の人が同時に搭乗しても、その中で現在運転席に座っている人が誰かを正確に把握できるなど、カスタマイズされた走行環境を提供できるという。

 さらにデジタルカーキー・モジュールは、独自開発した通信ハッキング防止技術を適用し、車両とスマホ間の通信操作や電波妨害が発生しないことから、スマホの紛失やデジタルキーハッキングによる車両盗難を大幅に減らすことができ、セキュリティ性能も高められている。

 これらの機能に必要となるRF(Radio Frequency:無線周波数)素子、パワーブロック素子などの約60個の部品を、超精密・高集積技術でクリップ1つのサイズであるモジュールにすべて搭載。コンパクトかつスリムなサイズで車両の内外部どこにでも自由に装着できるのが特徴となる。

 その他にもグローバルデジタルキー標準化団体であるカー・コネクティビティ・コンソーシアム(CCC: Car Connectivity Consortium)の最新基準に従っているため、国や地形、車種に関係なく使用可能。LG Innotekは、このコンソーシアムの中心メンバーでもあり、世界の主要企業と共にデジタルカーキーの標準化にも積極的に参画している。

「自動車用デジタルキーのマーケット攻略を加速化」

 LG Innotekは、デジタルカーキー・モジュールで、次世代の車両通信部品マーケットの攻略を目標に、2020年からの量産を目指して韓国、アメリカ、日本、ヨーロッパの完成車および車両部品のグローバルメーカーを対象とするプロモーション活動を積極的に展開中。

 LG Innotekの電装部品事業担当者であるユ・インス氏は「デジタルカーキー・モジュールを活用して顧客価値を高めるさまざまなモビリティーサービスの実装ができる。ドライバーに便利かつ安全で楽しいドライブを提供する革新的な部品を引き続き公開する予定である」と述べている。

 なお、グローバル市場調査機関のStrategic Analyticsによると、グローバルデジタルキー適用車両は、2020年の630万台から2025年には2890万台と360%ほど増加すると予想されている。