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SOLIZEと日本HP、3Dプリンターを活用して「NISMOヘリテージパーツ」を初めて生産

2021年3月16日 発表

R32型スカイラインGT-Rのハーネス用プロテクター(参考画像)

 3D CADや3Dプリンターを手掛けるSOLIZE(ソライズ)と日本HPは3月16日、日産自動車の生産終了となったヘリテージ車両の補修部品の共同開発とオンデマンド製造を開始することを発表した。

 自動車メーカーは、修理用の交換部品を長期に渡り供給することが求められるが、製造中止やモデルチェンジした車両の部品を製造保管するためには、金型を保持して在庫の保管や物流を管理する必要があるため、費用がかかってしまうことが課題となっている。そこでSOLIZEと日本HPは、日産が取り組む「NISMOヘリテージパーツ」において、3Dプリンティングによる補修部品の設計と製造を初めて実現した。

 SOLIZEは、日産と3Dプリンターによる生産に適した部品選定を行なったのち、日本HPと協力の上、日本HP独自の3Dプリンティング技術である「Multi Jet Fusionプラットフォーム」が可能とする高度な機能を活用して部品の設計と製造の最適化を行ない、高品質の商用部品を製造。

 3Dプリンティングを使用した理想的な部品として今回初めて復刻生産されたのは、スカイラインGT-R(R32型)の樹脂部品であるハーネス用プロテクターで、部品は高い機械的特性と設計の柔軟性を提供する「HP High Reusability PA11」で製造された。このデジタルマニュファクチャリングと3Dプリンティングにより、コストを削減しながら複雑な部品の需要を満たす柔軟な設計と持続可能な生産システムが可能になり、オンデマンドの3D生産は製品のライフサイクル全体を通じて産業廃棄物と二酸化炭素排出量の削減にも貢献している。

 SOLIZEの代表取締社長CEOである宮藤康聡氏は「SOLIZEは国内で最初に3Dプリンターを導入して以来30年以上の経験を蓄積し、技術を磨いてまいりました。この度、製造中止された商用部品において、日産自動車さまと3Dプリンティングの技術を共同開発し、部品の製造を担います。市場をリードするHPの3Dプリンティングテクノロジーを活用することで、自動車業界をはじめとした産業において高速、高品質、費用対効果の高い結果をもたらす持続可能な生産をサポートすることができます」と述べている。

 日本HPの3Dプリンティング&デジタルマニュファクチャリングのグローバルコマーシャルビジネス責任者であるJon Wayne氏は「日産自動車をはじめ業界をリードする企業は、交換部品の保管、金型、物流にかかるコストへの影響を認識し、産業用3Dプリンティングの活用を検討されています。デジタルマニュファクチャリングは、生産を加速し、サプライチェーンを変革し、自動車業界など産業を活性化するための実行可能な長期ソリューションです。HPはSOLIZEと協力して、企業がデジタルマニュファクチャリングにより持続可能な製造へ変革することを支援してまいります」とコメントしている。

 日産自動車 専務執行役員であるケント・オハラ氏は「世界で最も情熱的な自動車愛好家である私たちのヘリテージ車両のお客さまが、これからも長く愛車に乗り続けていただくために、私たちはできる限りのサポートをしてまいります。その達成のために、SOLIZEとHPが持続可能な方法で私たちを支援していただけることをうれしく思います」と述べている。