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フォード、「F-150 ライトニング」初公開 ピックアップトラック「F-150」のEV版

2021年5月19日(現地時間)発表

「プラチナ」「ラリアット」「XLT」の3グレートで2022年春発売

 米フォードは5月19日(現地時間)、新型ピックアップトラック「F-150」のEV(電気自動車)仕様となる「F-150 ライトニング」を世界初公開した。価格は商用車向けのエントリーモデルが3万9974ドル~。快適性とテクノロジーが追加されるミッドシリーズの「XLT」は5万2974ドル~となっている。発売は2022年春を予定している。

 ピックアップトラックのFシリーズは、アメリカで44年の歴史を持ち、この新型F-150 ライトニングは、F-150史上最大の563HPと775lb.ftを発揮、エクステンデッド・バッテリーを搭載した状態での0-60mph(約100km/h)のタイムは4秒台半ばをマーク。そのほかにも、コネクテッドでインテリジェントな機能を搭載し、無線によるソフトウェア・アップデートによって常に最新の状態が保たれる。

 また「デュアル・インボード・モーター」を搭載し、4輪駆動を標準装備として高い耐久性と悪路走破性能を発揮するという。ボディは高強度の軍用アルミ合金製を採用し、新しい独立型リアサスペンションにより乗り心地も向上。フレームはF-150の中でもっとも強度の高いスチールを使用した新型フレームを採用したことで、最大2000ポンドの積載量と最大1万ポンドの牽引力を保有している。

 F-150 ライトニングは、デトロイト郊外のディアボーンにあるフォードの歴史的建造物であるルージュ・コンプレックス内にある、持続可能な製造方法を採用した新しいハイテク工場で、2022年にはラインオフする予定という。

 フォード・モーター・カンパニーの会長であるビル・フォード氏は「F-150 ライトニングは、フォードと米国の自動車業界にとって、ゼロエミッションとデジタルコネクテッドな未来に向けて前進する決定的な瞬間を意味します。Fシリーズは、44年間にわたってアメリカで最も売れているトラックであり、アメリカ全土の仕事の基幹であり、何世代にもわたって顧客に信頼されているアイコンです。今、私たちは新世代のためにそれを変革します」と述べている。

 F-150 ライトニングは、フォードが220億ドル以上を投じて進めている世界的な電気自動車計画の柱となる車両で、電動化をリードするために位置付けられたモデルとなる。フォードは「マスタング」「トランジット」「F-150」といった人気モデルからゼロエミッションバージョンを開発していて、今後数年間でさらに多くのバージョンが登場する予定という。

 フォード・モーター・カンパニー米州・国際市場グループ社長のクマール・ガルホトラ氏は「私たちは、一部の人たちのためにEVを作るのではなく、実際の人々のために真の問題を解決するEVを作ることを約束します。F-150ライトニングは、電気自動車が提供できると我々が言ってきたことをすべて実現し、さらに“Built Ford Tough”なトラックに期待される能力、すなわち、ほぼ瞬時に得られるトルクだけでなく、お客さまが信頼できるパワフルな牽引力と運搬力を備えています」とコメントしている。

 新型F-150 ライトニングは、トラックのセンサーを利用して積載量を推定し、ユーザーにその積載量を伝える「オンボードスケール」機能も装備。積載量は航続距離に影響を与えるため、オンボードスケールはインテリジェントレンジと統合され、常に航続距離を正確に算出してくれるという。

 また、ステアリング、スロットル、ブレーキの入力を自動的に制御して、トレーラーの連結をより簡単にする「プロトレーラーヒッチアシスト」が初搭載されるほか、スマホを持っているだけでキーの開閉などができる「Phone As A Key」も一部の車両に初搭載されている。さらに、ソフトウェアのアップデートは好きな時間に設定しておくことができる。

15.5インチのタッチスクリーンを搭載

 センターコンソールには15.5インチのタッチスクリーンを搭載し、音声対応ナビゲーションはもちろん、Apple CarPlay、Android Auto、Amazon Alexa、SYNC AppLinkアプリなどにも対応する。また、12インチのインストルメントクラスターは、「ハンズフリー・ハイウェイ・ドライビング・モード」での車両のパフォーマンスや、回生ブレーキによる車両への電力供給の状態をアニメーション・グラフィックでスムーズに伝え、必要に応じて関連情報をシームレスにドライバーへ提供してくれる。

 フォード・モーター・カンパニー、バッテリー・エレクトリック・ビークル担当ジェネラル・マネージャーのダレン・パーマー氏は「F-150ライトニングは、私たちが作った中でもっともスマートなF-150です。F-150ライトニングは、没入感のあるタッチスクリーンを備えており、お客さまが必要とするすべての情報を瞬時に提供することができます。また、フォード・パワーアップ・ソフトウェアのアップデートにより、この体験はさらに向上します」と述べている。

 ストラテジック・パートナーシップのEVマネージャーであるライアン・オゴーマン氏は「嵐の中で避難するときも、猛暑の中で安全に過ごそうとするときも、お客さまはもっとも必要なときにトラックを使って電力を得ることができます。F-150ライトニングは、必要に応じて車両への充電と家への電力供給をシームレスに切り替えられるように設計されており、フォードは米国で初めてこの機能を電気トラックに搭載しました」と述べている。

 80Aの「フォード・チャージ・ステーション・プロ」と、フォードが設置を支援している「ホーム・マネジメント・システム」を自宅に揃えると「フォード・インテリジェント・バックアップ・パワー」が使えるようになり、停電時などはF-150 ライトニングから自動的に家に電力が供給されるようになる。電力が回復すると自動的にバッテリーを充電する状態に戻るという。

 1日の平均使用量を30kWhとすると、F-150ライトニングとエクステンデッド・バッテリーの組み合わせで、最長3日間、電力が配給されている場合は最長10日間、家庭内の電力をフルに供給することができるとしている。

 今後フォードは「フォード・インテリジェント・パワー」を導入する予定で、エネルギーコストの高いピーク時にトラックを使って家庭に電力を供給しながら、低コストの夜間料金を利用して、朝のドライブに間に合うように車両を充電しておくといった使い方もできるようになるとしている。

 F-150 ライトニングは強力なプロパワーオンボードを搭載しているので、外出先でも内蔵コンセントを利用してさまざまなツールや電子機器、家電製品に直接電力を供給することを可能としている。ベース車両には2.4kWの電力が標準装備され、上級グレードの「ラリアット」と「プラチナ」は、トランクに設置された最大2.4kWの電力とキャブやベッドに設置された最大7.2kWのコンセントが組み合わせられ9.6kWの電力が標準装備される。

 F-150 ライトニングのボンネットの下には、ハイテク技術を駆使した「メガパワーフランク」があり、機内持ち込み用バッグ2個とスーツケース1個、またはゴルフクラブ2セットを収納できる400Lの積載容量と400ポンドの積載量を誇る。またこのスペースは、防水加工が施されているほか、4つのコンセント、2つのUSB充電口、フロアには排水機能も備わっている。

ボンネット下のメガパワーフランク

 グローバル・フィーチャー・プロセスのスーパーバイザーであるナンシー・レッペンハーゲン氏は「フロント・トランクという言葉だけでは、フォードがこのハイパワーなスペースに詰め込んだ革新的な技術や機能をすべて説明することはできません。お客さまは自分のトラックの能力を再考し、これまで考えられなかったような体験を可能にするでしょう」と述べている。

タフでワイルドな走破性能

 F-150ライトニングは、他のFシリーズトラックと同様に、厳しいビルトフォードタフテストを受けているといい、軍用アルミ合金製のボディとアップグレードされたフレームがバッテリーを支え、Fシリーズ初の独立型リアサスペンションと低重心化により、路面からのアイソレーションを高め、より安定した乗り心地とステアリングロールの低減を実現している。

 チーフエンジニアであるリンダ・チャン氏は「雪の中を薪を積んで運ぶときも、トレーラーを牽引してドライブに出かけるときも、お客さまはトラックの性能を信頼する必要があります。この電気自動車は、デュアル・インボード・モーターを搭載しているので、悪路にも対応できます。当社のエンジニアチームは、F-150のお客さまがフォードに期待しているのと同じ厳しいテストを行ないました」とコメントしている。

 F-150 ライトニングは「ノーマル」「スポーツ」「トウ/ホール(牽引)」「オフロード」の4つのドライブモードを備えた「4×4システム」を搭載。頑丈なアンダーボディプロテクションと金属製のスキッドプレートが、衝撃を吸収する防水ケースに収められているバッテリーとインボードモーターを保護していて、摂氏マイナス40℃のテストもクリアしている。

 また、カリフォルニア州のアイオワヒルでは、巨大なトレーラーを牽引して、急な坂道を長時間上り下りするなど、厳しい耐久テストが実施され、その結果、F-150ライトニングには、最先端の水冷システムとパワートレインのレイアウトが採用され、車両全体の熱分布を巧みに管理することができるようになっているという。

 F-150ライトニングは、これまでのF-150の中でもっとも空力に優れたデザインで、新しい形状のランニングボード、空気抵抗を減らすために彫刻されたボンネット、空気取り入れ口の代わりに滑らかな質感のある表面を持つグリルなどの改良が施されている。さらに機能的なデザインとして、特定のゾーンだけでなく車両周辺全体を照らすことができる360度ゾーンライティングを装備している。また、ボディ骨格はガソリン車と同じサイズなので、室内空間もしっかり確保され、運転席の背もたれを寝かせることも可能としている。

The All-Electric F-150 Lightning: Turning Electric Into Lightning | Ford(4分32秒)