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米フォード、新型「F-150」にフルモデルチェンジ。初のハイブリッドも設定
2020年6月30日 11:54
- 2020年6月25日(現地時間)発表
米フォードは6月25日(現地時間)、フルモデルチェンジした新型ピックアップトラック「F-150」を発表した。
新型F-150は、これまででもっともタフで生産性の高いF-150になるように設計されており、市場でもっとも強力な軽量フルサイズピックアップトラックを目指したという。
フォードの最高執行責任者ジム・ファーリー氏は「1948年以来、勤勉なFシリーズのユーザーは、仕事を成し遂げる上でフォードが助けになることを信頼してきてくれました。F-150は私たちの旗艦であり、100%アメリカで組み立てられています。私たちはユーザーが確実に仕事を成し、コミュニティに変化をもたらし続けることができるように、最高の水準をキープしています」と述べている。
また、新型F-150は、ユーザーの生産性を向上させるために、常に最新状態を維持するのに役立つ無線アップデートや、統合型発電機であるPro Power Onboard、まったく新しい3.5リッターPowerBoostハイブリッドパワートレインなど、革新的なテクノロジーが搭載される。
フォードF-150のチーフエンジニアであるクレイグ・シュマッツ氏は「F-150はこれまで以上に頑丈になり、常時接続された無線アップデートにより、システムのアップグレードから機能の提供まで、潜在的な機能拡張の範囲が大幅に広がります」とコメントしている。
歴代もっともタフなF-150
新型F-150は、ミリタリーグレードの高強度アルミニウム合金ボディ、完全にボックス化された高強度スチールフレームを採用。特徴的な外観は一新され、ヘッドライトデザイン、パワードームフード、ラップアラウンドバンパーなど、大胆でタフなシグネチャールックを維持しながらも一新されている。また、より高くなったフロントフェンダー、タックインされた中央セクション、および大口径のタイヤが3/4インチ引き出されて、路上および路外でもより強力な走破性能を生み出す。
フロントグリルはデザインが異なる11種類から選択でき、テールゲートアップリケも新しくなっている。また、LEDヘッドライトとテールランプ、およびトラックサイドのカーゴボックスのアクセシビリティを向上させるキックスイッチ付きの全長拡張パワーランニングボードなど、全体的な機能のアップグレードが図られている。
さらに空力面もブラッシュアップされ、アクティブグリルシャッター、自動展開アクティブエアダムを採用し、テールゲートのジオメトリーと連携させることで空気抵抗をより低減し、燃費を改善した。
インテリアも一新され、トラックオーナーのスタイル、快適さ、実用性、テクノロジーなどすべてが高められている。強化された素材、新しい色の選択、より多くのストレージを備え、XL用のより汚れにくい2トーンシートや新しいデュアルグローブボックスなど、トラックのユーザーの機能的なニーズを中心に構築している。
XLT highシリーズ以上は12インチのセンタースクリーンを標準搭載し、画面を分割して、ナビゲーション、音楽、トラック機能など、複数の情報を同時に制御できる。ランドスケープデザインは、テクノロジーのアクセシビリティに対する要求と、物理的なボタンの利便性の向上とのバランスをとって配置される。
また、XLおよびXLTの標準トラックとミッドシリーズトラックには8インチのタッチスクリーンが標準装備され、すべてのユーザーがタッチスクリーン機能と、より優れたバックカメラビジョンを利用できる。どちらのスクリーンでも、新しいデジタルオーナーズマニュアルにアクセスでき、必要な情報を簡単に見つけることが可能となっている。
さらに12インチのデジタルスピードメーターは、トラック固有のグラフィックスとアニメーションとともに、ドライブモードの選択や、オフロードデータとターン、駆動方式の変更などが表示される。
歴代もっとも生産的なF-150
多くのユーザーがセンターコンソールシフターを好むことを知っているので、新型F-150ではボタンを押すだけでシフターが折りたたまれ、駐車中に広い作業面に完全にアクセスできる「インテリアワークサーフェス」を作成。究極の耐久性を備え、どこにでもオフィスを作成できる機能。文書に署名したり、15インチのノートパソコンで作業したり、駐車中に食事を楽しんだりすることも可能とする。これはXLからLimitedまで、すべてのグレードで利用可能となる。
キングランチ、プラチナ、リミテッドモデルで利用可能なクラス限定のマックスリクライニングシートは、休憩中の究極の快適さを提供。マックスリクライニングシートは、ほぼ180度まで平らに寝かせられ、座面は背もたれに合わせて上昇し、アッパーバックサポートは最大10度前方に回転してフルフラットに近い快適さを実現。
後部座席の下には折り畳み式の収納箱が設けられる。ここは後部座席の座面を持ち上げることで利用可能となり、座面を降ろした際は施錠することも可能で、貴重品などを安全に保管できる。また、釣り竿や設計図のような長いアイテムを保管するのにも最適なサイズとなっていて、各アイテムを整理しておくための仕切りも装備する。
テールゲートの側面には新しいクリートが標準装備され、長尺ものの固定場所としても機能。また、すべてのトラックのテールゲートに新しいクランプポケットが組み込まれていて、材料を押さえて精密作業を行なうことも可能となっている。さらに、フラットテールゲートの作業面には、定規、モバイルデバイスホルダー、カップホルダー、鉛筆ホルダーも完備している。
専用の「ゾーン照明」を利用すれば、夜も作業を続けられるようになる。照明は「SYNC4」の画面を介して、またはスマートフォンの「FordPass」アプリを使用して、リモートで外部ライトの個々のセクションをオンまたはオフにできるので、暗闇の中で仕事やキャンプなどをする必要はなくなるという。
新型F-150は「トレーラーリバースガイダンス」と「プロトレーラーバックアップアシスト」を搭載する唯一の軽量フルサイズピックアップとなり、Super Dutyで人気を博したトレーラーリバースガイダンスは、トラックの高解像度カメラを使用して、バックアップ中にステアリングホイールをどのように回すかをドライバーに伝える有用なグラフィックとともに複数のビューを提供。ダイヤルを回すのと同じくらい簡単にトレーラーをバックアップできる。
クラスでもっともパワフル
まったく新しいV型6気筒3.5リッターのPowerBoostフルハイブリッドパワートレインは、あらゆる小型フルサイズピックアップの中で最大のトルクとパワーを提供することを目的に開発され、F-150 XLからリミテッドまでのすべてのトリムレベルで利用できる妥協のないPowerBoostシステムは、フォードのV型6気筒3.5リッターEcoBoostエンジンに、瞬時に電気トルクを追加させる(フルハイブリッドを提供する唯一の軽量フルサイズピックアップ)。ガソリン満タンで約700マイル(1130㎞)を走り、最大で約1万2000ポンド(5.5t)までけん引可能としている。
PowerBoostは実績のあるEcoBoostエンジンと10速オートマチック、35kW(47HP)の電気モーターと組み合わされ、けん引/運搬モードなどの走行モードを含む、トラック用に特別に調整されたソフトウェアにより、重いトレーラーの牽引をより効率的に管理するという。電気モーターは回生ブレーキエネルギーキャプチャーを適用して、1.5kW時のリチウムイオンバッテリーの充電を支援。また、バッテリーはトラックの下に効率的に搭載することで、ガソリン車のF-150と同等の乗客室と貨物スペースを確保。さらにこのシステムは、極端な外気温や高負荷下でもバッテリーを持続的に使用できるとしている。その他にガソリンエンジン、ディーゼルターボエンジンも設定される。
また、電力は車内だけでなく発電機レベルの電力を作業現場やキャンプ場、および日常生活に利用すことも可能となる。Pro Power Onboardは、ガソリンエンジンで2.0kWの出力が利用可能で、ハイブリッドモデルは標準で2.4kW、オプションで7.2kWまでの出力が可能となる。リアのキャビン内にあるコンセントと最大4つのカーゴベッドに取り付けられた120V/20Aコンセントから電力を利用できる。7.2kW仕様には240V/30Aのコンセントが搭載される。キャビン内のコンセントは走行中も利用可能で、仕事の合間に工具のバッテリーを充電することもできる。
歴代でもっとも接続されたF-150
新型F-150は、コネクテッドサービスをユーザーに提供するためのフォードの大きな一歩となる。無線アップデートを標準搭載した北米初のフルサイズピックアップであり、常に最新の状態を維持できる。これらの更新は常時行なわれ、トラックの耐用年数を通じて、まったく新しい機能と追加機能を含めることができる。これにより予防保全をサポートし、修理回数を減らし、パフォーマンスを向上させ、最終的に車両の寿命を伸ばすことになるという。更新の大部分は2分以内に完了し、ユーザーが選択した時間に実行できる。
新しくなったSYNC 4を標準搭載。より自然な音声制御、リアルタイムマッピング、オンデマンドのカスタマイズ可能な情報により、日々の生産性を高めてくれる。このテクノロジーは、ハンズフリーの音声制御や、電話をかけたり音楽を選択したりするなどのコア機能を使用して、10年以上にわたるSYNCの革新を基に構築。前世代のシステムの2倍の処理能力を備えた新しいSYNC 4は、USBコードなしでスマホをワイヤレス接続して、Apple CarPlayやAndroid Auto、またはWazeやFord + AlexaなどのSYNCAppLinkアプリをシームレスに統合できる。
ユーザーは、1万時間を超えるオンデマンドコンテンツ、ライブチャネル、広告なしの音楽、スポーツ、エンターテインメント、ニュース、パーソナライズされたおすすめにアクセスでき、360L衛星放送とストリーミングサービスを利用でき、SiriusXMで関連コンテンツを検索可能となる。また、Bang&Olufsenによる新しい8スピーカーB&Oサウンドシステムは、XLT以降で利用可能となる。さらに、ヘッドライナーとフロントヘッドレストにスピーカーを備えたオプションの18スピーカーB&O Unleashedシステムは、LARIAT、キングランチ、プラチナはオプション設定で、 リミテッドには標準装備となっている。
フォードは事故の際に緊急応答者に自動的に警告する「911Assist」を含むテクノロジーを無償提供。また、スマホアプリのFordPassを使えば、ドライバーは離れた場所から車両を始動またはロック解除できたり、さらにゾーン照明、トレーラー盗難警報、トレーラーライトチェック、プロパワーオンボードなど、トラックに特化した新しい機能を制御可能となる。
ドライバーアシストテクノロジー
新型F-150は「Ford Co-Pilot360 2.0」の一部として最新のドライバーアシスト機能を提供。他の車両や歩行者との衝突を回避するための自動緊急ブレーキ、歩行者検出機能を備えた衝突前アシスト、ダイナミックヒッチアシスト付きバックカメラ、自動ハイビームヘッドライト、自動ON/OFFヘッドライトなど、より多くの機能がXLに標準装備される。
また、10個の新しいドライバーアシスト機能を追加し、アクティブドライブアシストを提供。これにより、アメリカの50州すべてとカナダの一部を合わせた約10万マイル(16万1000km)を超える高速道路をハンズフリーで運転できる。その先進的な運転者向けカメラは、頭の位置と運転者の視線を追跡し、ハンズフリー運転を可能にしている。この機能により、高速道路の特定のセクションに限っては、ステアリングから手を離して運転することもできる。搭載する「Active Drive Assist準備キット」には、この機能に必要なハードウェアが含まれているが、機能を有効にするソフトウェアは、2021年の第3四半期に予定されていて、いずれ無線による更新またはディーラーで提供されるという。
その他にも、ドライバーが左折しようとしているときに対向車線を検出する「交差点アシスト」機能は、対向車との衝突の危険がある場合、自動的にブレーキをかけて緩和または回避してくれる。さらに新型F-150は「アクティブパークアシスト2.0」を搭載した唯一の軽量フルサイズピックアップであり、ドライバーがボタンを押している間、平行または垂直駐車操作中にステアリング、シフト、ブレーキ、およびアクセルコントロールをすべて処理して、自動で駐車してくれる。
F-150は、ミシガン州ディアボーンにあるフォードのトラック工場と、ミズーリ州クレイコモにあるカンザスシティ組立工場で製造されていて、新型F-150が2020年秋発売としている。
パワートレイン
ガソリン車・6速ATモデル
V型6気筒3.3リッターエンジン(290HP/6500rpm、30Nm/4000rpm)
ガソリン車・10速ATモデル
V型8気筒5.0リッターエンジン(395HP/5750rpm、45Nm/4500rpm)
V型6気筒3.5リッターEcoBoostエンジン高出力仕様(450HP/5000rpm、57.6Nm/3500rpm)
V型6気筒3.5リッターEcoBoostエンジン(375HP/5000rpm、53Nm/3500rpm)
V型6気筒2.7リッターEcoBoostエンジン(325HP/5000rpm、45Nm/2750rpm)
V型6気筒3.0リッターPowerStrokeディーゼルターボエンジン(250HP/3250rpm、50Nm/1750rpm)
ハイブリッド車
V型6気筒3.5リッターEcoBoostエンジン高出力仕様(450HP/5000rpm、57.6Nm/3500rpm)