ニュース

ホンダエンジン搭載のエリオ・カストロネベス選手がインディ500優勝 最多勝記録に並ぶ4勝目

インディ500 4勝目を挙げたエリオ・カストロネベス選手

 5月30日(現地時間)、世界三大レースの一つとなる「第105回 インディ500」がアメリカのインディアナ州にある「Indianapolis Motor Speedway(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)」で開催された。2.5マイルのオーバルコースを200周(約800km)するレースは、フルコースコーションが2回という静かなレースになり、多くの車両が燃費をセーブしながらゴールを目指すレースとなった。

 レースはエリオ・カストロネベス選手(06号車 ダラーラ・ホンダ)が優勝し、同選手が優勝したときには恒例となっているスパイダーマン(金網を登る恒例のアクション)がブリックヤードで再現された。同選手の優勝は4度目で、A.J.フォイト氏、アル・アンサー氏、リック・メアーズ氏に続く4人目の最多勝タイ記録を樹立した。2位はスーパーフォーミュラ出身のアレックス・パロウ選手(10号車 ダラーラ・ホンダ)でホンダエンジン搭載車の1-2フィニッシュとなった。

エリオ・カストロネベス選手(06号車 ダラーラ・ホンダ)

 2連勝を狙う佐藤琢磨選手は、終盤イエローコーションが出ることを狙ってピットストップの回数を減らす作戦に出たが、結局期待していたコーションは出ず、最後にスプラッシュを行なうことになり、最終的に14位になった。

2度のコーションと「荒れないレース」となったインディ500、佐藤琢磨選手はイエロー期待で賭に出たがイエローは出ず14位

2021年インディ500のスタートシーン

 2020年に優勝した佐藤琢磨選手(30号車 ダラーラ・ホンダ)の2連勝がかかる今年のインディ500は、全体の40%にあたる観客を入れて行なわれた。序盤は静かにレースが進んでいたが、31周目にインディ500にスポット参戦しているステファン・ウィルソン選手(25号車 ダラーラ・シボレー)がピットレーンでウォールにクラッシュし、ファストレーンに停止したため、イエローコーションが出された。このイエローコーションがレースに大波乱をもたらす。

 予選でポールポジションを獲得し決勝レースに向けて大本命だと思われていたスコット・ディクソン選手(9号車 ダラーラ・ホンダ)が、このイエローコーションによりピットレーンがクローズされているため燃料が足りなくなり、ピットレーンにスプラッシュ(ピットクローズでもタイヤ交換など他の作業はできないが少量の給油だけができる)で入ったが、エンジンがかからず周回遅れになってしまったのだ。同様に優勝候補だったアレクサンダー・ロッシ選手(27号車 ダラーラ・ホンダ)も周回遅れになってしまった。後にディクソン選手はトップと同一周回まで盛り返して最終的に17位に戻したが、優勝争いからは脱落してしまった。

 2度目のフルコースコーションが出たのは佐藤選手のチームメイトであるグラハム・レイホール選手(15号車 ダラーラ・ホンダ)がピット交換してコースに出た来たところ。左リアタイヤが外れて、クラッシュ。その結果2度目のコーションが出された。

 ここで、佐藤琢磨選手のチームは燃費をセーブしてピットストップを1回減らす作戦に出る。もう一度どこかでイエローが出ることを期待しての作戦だったが、結局イエローは出ずに、残り6周でスプラッシュのピットインをすることで最終的には14位に順位を落としてゴールすることになった。

エリオ・カストロネベス選手が最多勝記録に並ぶ4回目のインディ500ウィナーに、スーパーフォーミュラ出身のパロウ選手が2位

 レースは最後のピットストップを終えた後、実質的なトップに立っていたのは、ディクソン選手のチームメイトで、日本のスーパーフォーミュラを走っていたアレックス・パロウ選手(10号車 ダラーラ・ホンダ)、2位はこのレースにスポット参戦しているエリオ・カストロネベス選手。残り数周はホンダエンジンを搭載する2人のマッチレースになり、抜きつ抜かれつのレースが展開された。

 そして、残り2周の段階でカストロネベス選手がトップに立ち、その後すぐに目の前に現われた周回遅れの車両のスリップストリームを使って、パロウ選手との差を維持したままホワイトフラッグ(最終ラップを示す旗)、そのままチェッカーフラッグを駆け抜け、2001年、2002年、2009年に続く4度目の優勝を成し遂げた。

 4度目のインディ500の優勝はA.J.フォイト氏、アル・アンサー氏、リック・メアーズ氏に続く4人目のタイ記録。2位は0.493秒差で惜しくも初優勝を逃したアレックス・パロウ選手、3位はサイモン・パジェノー選手(22号車 ダラーラ・シボレー)となった。