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フォルクスワーゲン、「ID.ファミリー」にOver-the-Airを使った通信型アップデートを提供開始
2021年7月6日 06:00
- 2021年7月5日（現地時間） 発表
12週間ごとに新しいデータに自動更新
フォルクスワーゲンは7月5日（現地時間）、今夏から「ID.ファミリー」のモデルにソフトウェア・アップデートを定期的にOver-the-Airで送信することを発表した。まずは「ID.3」から搭載するという。
最新のソフトウェアバージョン「ID.Software2.3」は、2021年7月にモバイルデータ転送を通じて「First Movers Club」の顧客に配信され、このアップデートには操作性と快適性の調整と改善が含まれているという。すべてのID.3のほか、「ID.4」「ID.4 GTX」のユーザーへのアップデートが順次行なわれ、今後は12週間ごとに「ID.ファミリー」のソフトウェアをアップデートしていくとしている。
フォルクスワーゲン乗用車ブランドのCEOであるラルフ・ブランドシュテッター氏は「フォルクスワーゲンは、デジタル化に関してギヤを上げています。新しい機能や快適性を備えた、まったく新しいデジタルな顧客体験を、12週間ごとに作り出しています。これにより、大量生産メーカーとしては初めて、大規模なOver-the-Airアップデートを定期的に配信することになりました。これは、フォルクスワーゲンが将来のコネクテッド・デジタルモビリティに向けて準備を進めているACCELERATE戦略の実施における重要なマイルストーンとなります」と述べている。
Over-the-Airアップデートを可能にしたICAS
全モデルEV（電気自動車）であるID.ファミリーの最初のアップデートでは、ID.ライトの機能強化、周辺環境認識の最適化、ダイナミック・メインビーム・コントロール、操作性の向上、インフォテインメント・システムのデザイン変更、パフォーマンスと安定性の向上など、多くの機能が改善されるという。
新しいエレクトロニクス・アーキテクチャーは、より強力でインテリジェントであるだけでなく、車内のシステム間でのデータや機能交換の簡素化を実現。最新のMEBプラットフォームをベースにした車両の場合、旧世代のクルマでは多数のコントロールユニットに分散していた機能をICAS（In Car Application Server：中央高性能コンピュータ）が担う。そうすることで、ソフトウェア・アップデートは、モバイル・データ・トランスファーを介して、ID.ファミリーに搭載されているICASに直接配信され「Over-the-Air Updates」から最大35個のコントロールユニットのアップデートを可能にしている。
フォルクスワーゲンの開発担当役員であるトーマス・ウルブリッヒ氏は「常に最新のソフトウェアを搭載し、優れたデジタル・カスタマー・エクスペリエンスを提供するクルマは、フォルクスワーゲンの将来の成功にとって非常に重要です。われわれは、アジャイル・プロジェクト・ユニットID.Digitalを設立しました。Digitalを設立したのは、車内のソフトウェアを継続的にアップデートするためです。これでお客さまからのフィードバックを迅速に収集し、お客さまの要求に柔軟に対応することができます。これにより、ID.モデルは納車後も常に最新の状態に保たれ、お客さまのクルマはその価値をよりよく保つことができるのです」とコメントしている。
フォルクスワーゲンのデジタル化の原動力となっているのは「ID.Digital」と「CARIAD」の緊密な協力関係で、ID.Digitalの技術を利用すると同時に機敏なソフトウェア会社であるCARIADのスピードを利用し、ソフトウェアに関する豊富な専門知識が得られるという。
CARIADのCEOであるDirk Hilgenberg氏は「Over-the-Air Updatesは、デジタル・コネクテッド・カーの中心的な機能です。スマートフォンで最新のOSやアプリをダウンロードするのと同じように、お客さまにとって当たり前のことになるでしょう」と述べている。
Over-the-Air Updatesの実装により、フォルクスワーゲンは「ACCELERATE戦略」で示している新しいビジネスモデルの基礎を築くとしていて、将来的にはユーザーはハードウェアが大幅に標準化されることで、クルマを購入する際に、どのような機能を搭載するか、あるいはどのような構成にすればリセールバリューが高くなるかを考える必要がなくなる。将来的には、ソフトウェアのアップデートによって、機能や革新的な技術を追加することが可能となるとしている。