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モリゾウ選手、「水素カローラはスペアタイヤを積んで5輪で走る」と語る

「水素カローラはスペアタイヤを積んで5輪で走る」と謎の言葉を残して決勝レースに臨む、モリゾウ選手こと豊田章男自工会会長

 9月19日11時30分過ぎ、鈴鹿サーキットでスーパー耐久第5戦の決勝レースが始まった。このレースでは水素燃焼エンジンを搭載した、32号車カローラH2コンセプト(以下、水素カローラ)が走ることで注目されている。

 前日の記者会見では、水素カローラのドライバーであるモリゾウ選手ことトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏が、川崎重工業 代表取締役 社長執行役員兼CEO 橋本康彦氏らとともに出席。川崎重工などが手配する褐炭由来の水素が使われることなどが話された。

カローラH2コンセプト。毎戦アップデートが行なわれている

 その後の質疑応答で大きな話題となったのは、F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間の世界三大レースを日本のメーカーやドライバーが制覇した年にもかかわらず、国際格式のレースがコロナ禍により開催されなかったことについてという質問に、豊田章男氏が自工会会長として「五輪で許されても、4輪・2輪はなぜですか?」と応えたこと。オリンピック・パラリンピックに関したやり取りだったためか、「見出しにしてください」とも発言して多くのニュースになったためか、反響の大きなニュースとなっていた。

 記者の質問に対してとても整理された回答だったため、決勝スタート前のグリッドウォークに登場した豊田章男自工会会長に真意を聞いたところ、「本当は自工会の会見(9月9日開催)で質問があったら答えようと思っていた。(時間の関係などで)質問がなかったので答えられなかった」とある程度考えていた答えだったことを示唆する。

 ただ、2輪車も生産する川崎重工との共同会見で答えられたのはよかったようで、「ここ鈴鹿と言えば、2輪にとっては鈴鹿8耐。鈴鹿8耐でも強いカワサキさんの前で『2輪』を訴求できたのはよかった」と語ってくれた。

自工会 豊田章男会長定例会見、10月に自動車産業を軸としたカーボンニュートラルについての提言を実施

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1350397.html

 決勝レースへ向けての意気込みを聞いてみると、一瞬にやっと笑った後、「水素カローラはスペアタイヤを積んで5輪で走る」と謎の発言(謎でもないですね)。直後に「と、モリゾウ選手は語ったと書いておいて」とにこやかに笑いながら、手のひらを記者に向かって突きだしてくれた。

 開発途中の水素エンジン、巨大な水素タンクを背負って5時間の決勝レースを走る水素カローラだが、モリゾウ選手はモータースポーツの現場ということもあって楽しげな雰囲気がにじみ出ていた。一人のアスリートとして耐久レースの完走に挑もうとしているのは間違いない。

チームスタッフとともにスタート前の記念写真