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パイオニア、「社有車の事故傾向と対策セミナー」 一般車と社有車で事故発生タイミングが異なる理由とは

2021年9月28日 実施

データで管理することで問題を見える化し、効率よく指導が行なえる

 パイオニアは9月28日、企業向けに「一般車とは違う、社有車の事故傾向と対策セミナー」をオンラインで開催した。登壇したのは、パイオニア SaaS Technology Center データインテリジェンス部 ビジネスアナリティクスチーム 雪下慎之介氏と、同 モビリティサービスカンパニー 営業部 東日本営業課 近藤千春氏の2名。

 最初に雪下氏は、「社有車を管理するためには、一般車と社有車の交通事故傾向の違うことを把握したうえで適切な指導を行なうことが重要である」と説き、具体的にパイオニアが販売している通信型ドライブレコーダーから取得したデータと、警視庁が公開しているデータを比較することで導き出された社有車の事故傾向を紹介した。

 月別では新入社員や異動、夏休み明けで運転慣れしていない4月と9月が多く、時間帯では昼休み明けや朝からの長時間運転などで疲れが出てくる頃の12時~14時の割合が高く、逆に一般車の事故が多い16時~18時は少ないという。曜日別では休み明けで気が緩んでいるであろう月曜日がもっとも高い事故率とのこと。

 こうした調査結果から雪下氏は、「久しぶりの運転」「集中しづらい状況」「余裕のない状況」が社有車が事故を起こしやすいタイミングであると解説している。

単位割合が高めな項目考えられる状況可能性のある原因(考察)
4月異動・新人社員が多い運転慣れしていない
9月夏休み明け、上期末休み明け、駆け込み、追い込み
時間帯12時~14時昼休み前後休憩明け、朝から長時間運転
曜日月曜日週明け休み明け

 また、事故には相手が原因の他責事故と、自分が原因の自責事故があるが、同様に収集したデータで自責事故を分析したところ、「自損事故(対物など車両単独の事故)」「衝突・接触事故」「追突事故」でも傾向の違いを探ることができ、自損事故は主に駐車場でのハンドル操作ミスにより発生していて、衝突・接触・追突事故に関しては信号のない交差点でのブレーキ操作ミスによる発生が多いということもデータから見えているという。

 さらに、発生時間帯として出発後10分または到着10分前に多発しているというデータもあり、雪下氏は「特に気を付けるべき時間帯であると考えている」と解説した。続けて「自らが原因となる自責事故を減らすことが、社有車の事故を削減するためには効率がよく、事故別に起きやすいシチュエーションが違うことをしっかり認識してドライバーに注意喚起を促す必要がある」と述べている。

 しかし、注意喚起をするだけでは事故抑制の効果は限定的であるため、より事故を抑制するためには「原因把握」「対策実施」「振り返り」といった運用サイクルを回すことが大切だという。

 また、パイオニアの調査によると事故の原因は、普段からの運転傾向である「定常的因子」と、一時的な運転傾向の「スポット的因子」の2つがあり、「心」「技」「体」のいずれかがわるい状態に陥っていないかを定常的かつリアルタイムに把握できる状態にしておくことが重要だという。

社有車の管理をサポートできる「ビークルアシスト」

 続いて近藤氏は、「クラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」を活用することで、事故の予備軍となるドライバーの危険挙動を把握でき、具体的な事故削減を行なうことが可能である」と紹介。

 また、ビークルアシストが持つ機能の中でも特に事故削減に効果的なのが、装着しているドライブレコーダーに搭載されている各種センサーが事故リスクのある運転を予知すると、ドライバーへ音声と画面表示で警告して注意を促してくれる「事故リスク警告」と、事故相当の強い衝撃や事故リスクのある運転をしているドライバーを検知すると、日時、車両名、内容などが記載された通知メールを管理者へ自動送信してくれる「事故リスク発生メール」だという。さらに、必要に応じて指導することで、ドライバーの安全意識も高められるとしている。

社有車を効率よく管理して事故削減につながるクラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」

 その他にもビークルアシストは、毎月のドライバーごとの運転実績から運転傾向を組織・人ごとに自動分析して、各ドライバーの運転傾向の見える化を実現。エクセルなどで別途集計する必要はなく、すべて管理画面で確認することができる。また、他の人の運転データと比較することもできるため、誰のどの危険挙動に対して、どのような指導が必要か簡単に把握でき、指導も効率的に行なえるという。データは13か月分保存されているので、会社で行なっている指導の効果が出ているか、注意の効果が薄れていないかなども把握できると締めくくった。

 パイオニアは先日、AI(人工知能)がドライバーの居眠りを感知したり、あおり運転にも対応したりと、新しい機能が盛り込まれたビークルアシスト対応の新型ドライブレコーダー4機種を投入。また、システムを導入した企業をフォローするサポートデスクを2020年に立ち上げるなど、ビークルアシストの運用面も強化している。

ビークルアシスト導入企業の活用の流れ