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インテルのグループ会社であるモービルアイ、レベル4自動運転向け新型半導体「EyeQ Ultra」発表 フォルクスワーゲングループ ディースCEOとの対談も公開
2022年1月5日 11:35
- 2022年1月4日(現地時間) 発表
Intel(インテル)のグループ会社で自動運転向け半導体などを提供するイスラエルの半導体メーカーMobileye(モービルアイ)は、インテルがCESで開催した記者会見に同社CEO アムノン・シャシュア氏が登壇し、次世代自動運転向けSoC(System on a Chip、1チップでコンピュータを構成できる半導体のこと)となる「EyeQ Ultra」を発表した。
EyeQ Ultraは12コアのRISC-V CPU、256の演算器を備えたGPU、64コアのAIアクセラレータなどを搭載したSoCで、1チップで176TOPs(Tera Operations Per Second)、4.2TFLOPSの性能を100W以下の消費電力で実現するとシャシュア氏は説明した。
100W以下で176TOPs、4.2TFLOPSを実現するEyeQ Ultra、2025年に量産車に搭載の見通し
インテルの記者会見では前半では同社が、PC向けの新しいCPUとして発表した「第12世代Coreプロセッサー」や、「Arc」というGPU製品に関する発表などが行なわれた。その後後半パートにモービルアイCEO アムノン・シャシュア氏が登場し、フォルクスワーゲングループのCEOであるヘルベルト・ ディース氏との対談や試乗車への同乗をビデオ公開。モービルアイが今後リリースする新しい製品などに関しての説明を行なった。
シャシュア氏は自分のパートの一番最後に、同社の新しいSoCとしてEyeQ Ultraの計画を発表した。EyeQ Ultraは、同社の最新製品となるEyeQ5の10チップ分を1チップで実現する性能を備えており、5nm世代のプロセスルールで製造される計画だという(5nmは現時点では最先端の製造技術)。シャシュア氏によれば、EyeQ Ultraは1チップでレベル4の自動運転システムを構築できる性能を持っているという。
シャシュア氏によれば、EyeQ UltraはRISC-VというオープンアーキテクチャのCPUを12コア内蔵しており、GPUは256基の演算器を備える形になっている。また、64コアのAI専用のアクセラレータも備えており、それらの複数のプロセッサを異種混合的に利用することで性能を引き上げていると考えられる。シャシュア氏が公開したデータによればAI推論時の性能は176TOPsとなっているほか、浮動小数点演算性能は4.2TFLOPSとなっている。シャシュア氏によれば、これらの性能を100W以下という消費電力で実現するという。
モービルアイによれば、このEyeQ Ultraは2023年の末までに生産が開始される計画になっており、量産車に搭載されて市場に登場するのは2025年が予定されている。
EyeQ4、EyeQ5の後継となるEyeQ6は今年の末までにサンプル出荷を開始
モービルアイは、同社の次世代製品EyeQ6に関しても発表を行なった。EyeQ6はEyeQ6LとEyeQ6Hの2つのラインアップが用意されている。EyeQ6は同社のEyeQ4(現在生産されている自動車で多く採用されている製品)の後継となる製品で、EyeQ4に比較すると55%小さなサイズになっているという。それにより消費電力などを削減しながら、レベル2のADASに必要な性能を実現することができる。一方EyeQ6Hは、レベル2+などのより上位のADASに向けた高性能版で、現在の同社の最新製品であるEyeQ5の後継製品。
いずれの製品も7nmのプロセスルールで製造される計画で、今年中にサンプル出荷が開始され、量産品の出荷は2024年末ごろになるとモービルアイでは説明している。