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インテルとモービルアイ、2025年にADASや自動運転車用のシリコンフォトニクスLiDAR SoCとソフトウェア定義の高機能レーダー投入へ

2021年1月12日 発表

シリコンフォトニクスの技術を応用したLIDAR SoCとなるチップを手に持つMobileye CEO アムノン・シャシュア氏

 インテル(Intel)のグループ企業であるモービルアイ(Mobileye)は、「CES 2021」のプレスカンファレンスに登壇し、同社がインテルと共同で開発している新しいレーダーとLiDAR(Light Detection And Ranging、ライダー)のソリューションを2025年に投入すると発表した。

 現在モービルアイは、単眼カメラや複眼カメラをベースにしたレベル2自動運転などのソリューションを自動車メーカーに提供しているが、同社が2025年までに実現を計画しているレベル5の自動運転を採用するロボタクシーなどには、カメラだけでなくレーダーやLiDARが冗長化の観点からも必要と判断したと考えることができる。

 インテルとモービルアイによれば、両社が開発するレーダーはソフトウェアで定義されたもの(software-defined radar)となり、LiDARに関してはインテルがすでに実用化しているシリコンフォトニクスの技術を適用したSoCになるという。

インテルとモービルアイが2025年に投入するシリコンフォトニクス SoCを使用したLiDAR

2024~2025年のEyeQ6と同じタイミングで投入されるソフトウェア定義レーダーとLiDAR

モービルアイの新ロゴを付けて走る自動運転テスト車両

 インテルが2017年に買収したイスラエルの半導体メーカーであるモービルアイは、自動車メーカーなどにADAS(先進自動運転システム)を実現するカメラ用の処理SoC(System on a Chip)となるEyeQシリーズなどを提供している。

 現在の最新製品はEyeQ4で、日産自動車のスカイラインに搭載された「プロパイロット 2.0」などを実現する半導体として採用が進んでいる。また、REM(Road Experience Management)という仕組みでは、モービルアイの半導体を搭載したカメラシステムが収集した情報をクラウドサーバーにアップロードし、高精度3次元地図を自動で生成する仕組みになっており、最近ではそうしたデータを活用したソリューションを提供するビジネスも開始している。

 そのモービルアイが「CES 2021」で、2025年に現在提供しているEyeQシリーズに加えて、ソフトウェア定義レーダーとLiDAR SoCを提供することを明らかにした。これまで同社が説明してきたロードマップでは、2021年中に最大24TOPsとなるEyeQ5を投入し、2024~2025年に最大67TOPsとなるEyeQ6を投入するというものだった。今回発表されたソフトウェア定義レーダーとLiDAR SoCはそれにアドオンする形で提供されることなる。

レーダーはソフトウェア定義に、LiDARはシリコンフォトニクスに対応と特色のある製品

 モービルアイが提供するレーダーはソフトウェア定義のイメージングレーダーと説明されており、2304チャンネルを持ち、100dBのダイナミックレンジをサポートし、サイドローブは40dBcのレベルを実現する。ソフトウェアを実行する半導体が何かは明らかにされていないが、EyeQ6などが想定されているものと考えることができる。このため、自動車メーカーはレーダーの放射部などを追加することで低コストにマルチフレームトラッキングなどの機能を持つレーダーを実現することができる。

シリコンフォトニクスのLiDAR

 LiDARはインテルがデータセンター向けのCPUなどですでに実用化しているシリコンフォトニクス(半導体に光通信のモジュールを統合する技術)を採用している。インテルがニューメキシコ州に持つシリコンフォトニクスの製造施設で開発されたシリコンフォトニクス SoCを利用してFMCW(Frequency-Modulated Continuous Wave)型LiDARを制御する仕組みだ。インテルはこの車載向けシリコンフォトニクスのSoCを2025年に製造開始する見通しだと発表した。