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デンソー、交通事故ゼロへ向け新型画像センサーや新型レーダーからなるADAS「Global Safety Packge 3」開発 トヨタ新型「ノア」「ヴォクシー」に採用

2022年1月14日 発表

ミリ波レーダーと画像センサーからなるADASパッケージ「Global Safety Packge 3」

 デンソーは1月14日、あらたに開発したADASパッケージ「Global Safety Packge 3」(以下、GSP3)に関する説明会を開催した。出席者はデンソー AD&ADASシステム技術部長 中澤篤史氏、同AD&ADAS 技術1部長 公文宏明氏、同AD&ADAS 技術2部長 阿部好浩氏の3名。

 GSPは画像センサーとミリ派レーダーからなる先進安全運転を実現するパッケージで、2015年に第1世代製品が登場。自動ブレーキに関しては昼間ではあるものの車両や歩行者の認識を実現し、全車速ACCなどを可能としていた。

 2018年には第2世代製品が登場。夜間の歩行者認識や自転車認識が可能となり、LDP(Lane Departure Prevention)もできるようになった。第2世代製品は全量トヨタ自動車の車両に搭載され、Toyota Safety Sense 2.0として知られている機能になる。

デンソー登壇者
ミリ波レーダー
画像センサー(トヨタ自動車向け)
画像センサー(日野自動車向け)

3倍撮影で夜にも強い、トヨタの安全技術 第2世代「Toyota Safety Sense」を支えるデンソー「Global Safety Package」

https://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2019aee/1186188.html

交通事故ゼロを目指す
社会背景と課題感
デンソーが目指す方向性
GSPの進化

 今回新たに開発した第3世代のGSP3は、ミリ波レーダーを小型化するとともに検知範囲を広角化。検知角度と距離を拡大し、電波伝送の変調時間を増加することで速度分解能を向上しているという。電波に関しても、これまでは三角波だったが、GSP3では矩形波となり、これにより電波伝送の変調時間増加を実現している。

 そのほか、アンテナ・電源基板の統合、電波の送受信のアンテナチャンネル数減少により、アンテナを小型化。MIMO技術の採用、製品構造の簡素化などで製品の使用部品数を従来品と比べ半数以下に削減。小型化・低コスト化を実現したという。

 画像センサーについても解像度を5倍にしたほか、横方向の視野角も53度から112度と2倍以上に広角化。さらにディープラーニングも採り入れ、交差点対応をするとともに、認識性能を向上させている。こちらについても小型化が図られており、画像処理とシステム制御処理を1つにするマイコンレスや、プロセッサの発熱をコントロールする構造設計の採用、レンズ設計の見直などが行なわれている。

 画像処理とシステム制御処理を一体化したSoC(System on a Chip)は、東芝の画像認識プロセッサ「Visconti」の最新版になるという。

GSP3で実現できること
GSP3運転支援
新型ミリ波レーダー
新型画像センサー

 実際、トヨタの新型「ノア」「ヴォクシー」では、このデンソーの新たなGSP3を採用したこともあって、40km/hの車速に限られるが高速道路渋滞時のハンズフリーを可能としているほか、信号の色認識による「青信号切り替わり告知」などを新たな機能として実現している。

 また、同様に新型「ノア」「ヴォクシー」では、通信によるソフトウェアアップデート「OTA」が可能となっているが、これもGSP2ではできなかったことが、GSP3ではできるようになったとのことだ。

 このGSP3が採用された車種は、2021年8月発売の日野自動車「レンジャー」、2021年10月発売のレクサス「NX」、そして2022年1月発売の新型「ノア」「ヴォクシー」になる。今後も多くの車種に採用されていくだろうが、デンソーとしてはGSP3などの先進安全運転支援技術の普及により、「今後も高度運転支援に関する技術開発を推進し、ドライバー、歩行者をはじめとする、世界中のすべての人にとって安全で自由な移動の実現に取り組んでいきます」と、より安全な交通社会の実現を目指していく。