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ラリーツーリズムを提案する「TGRラリーチャレンジ 安芸高田」 モリゾウ選手の2022年シーズンも開幕

ラリーチャレンジ安芸高田のSSを走るモリゾウ選手の104号車

TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ 安芸高田

 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ(以下、ラリチャレ) 第1戦 安芸高田が3月13日、広島県安芸高田市で開催された。ラリチャレは初心者からベテランまで気軽に楽しめる草の根モータースポーツのカテゴリーとしてTOYOTA GAZOO Racingが創設し、2001年の初回開催から22年目を迎えた。

 年々参加者が増えているほか、このラリチャレはトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏のもっと多くの人にモータースポーツを楽しんでほしいという思いも込められており、自身もモリゾウ選手として積極的にスポット参戦。2022年の初戦となるラリチャレ安芸高田にもルーキーレーシングから104号車のGRヤリスでエントリーしていた。

モリゾウ選手

 毎年、全国各地を巡って行なわれているラリチャレだが、2022年は「ラリーツーリズム」を前面に打ち出した。ラリーツーリズムとは、ラリーをきっかけに旅をしてみようというもの。何らかのきっかけがあると旅はしやすいものだが、そのきっかけを積極的に作り、地域活性化につなげていこうとしている。実際、今回のラリチャレ安芸高田においても少数ながら旅行パッケージが売り出されており、完売となっていた。

 地域と密着して草の根モータースポーツを育てていこうというラリチャレの毎年の取り組みもあってか、安芸高田市の取り組みも2022年は大規模に。開会式に登壇した安芸高田市長 石丸伸二氏は、2022年のセレモニアルスタートの場所として、市内の観光スポットである「神楽門前湯治村」を用意。温泉街からラリー車が次々にスタートしていくという、地域色豊かなスタートシーンが見られた。

安芸高田市長 石丸伸二氏
セレモニアルスタート

「TGRのラリーチャレンジは村おこし」とモリゾウ選手

 レース終了後、モリゾウ選手から共同で話を聞く機会があり、ラリチャレが打ち出した新たな軸であるラリーツーリズムに関しても質問が及んだ。モリゾウ選手は「TGRのラリーチャレンジは、ずっと村おこしだと思うんです」という。

 その村おこしの一環として広域なエリアを設定する必要のあるラリーという競技を使い、さらにトヨタ自動車 社長でもあり、日本自動車工業会 会長でもあり、ただのクルマ好きのモリゾウ選手でもあり、最近はFIA(国際自動車連盟)の評議委員になった自分がラリーに出場することで、多くの人が来てくれるきっかけになるという。

 モリゾウ選手自身は、自分を「客寄せパンダ」と表現。パンダに匹敵するほどのかわいさがあるかは個人の見解となるが、セレモニアルスタートの場所となった神楽門前湯治村では、「モリゾウさ~ん」「社長さ~ん」と多くの声援が飛んでおり、モリゾウ選手目当ての観客が多かったのも事実。モリゾウ選手自身は、そういった自分の集客力も意識しつつ、日本各地の地元のためになんとか自分のできること、つまりラリーをベースに村おこしをしていこうとラリチャレを続けているようだ。

 その思いは当然ラリーを開催する地域の自治体にも伝わり、2022年のラリチャレでは安芸高田市もセレモニアルスタートに地域の特色が出る神楽門前湯治村を用意、開会のあいさつで市長が選手に向かって「期待してください」というほどのものになった。

ラリチャレで「ラリーの底辺を作りたい」

 モリゾウ選手は、このラリチャレに継続して取り組んでいくことでラリーの底辺を作っていきたいという。トヨタ自動車としてはTOYOTA GAZOO RacingとしてWRC(世界ラリー選手権)に参戦して、チャンピオンを獲るほどの世界的活躍なのはご存じのとおり。日本でもGRヤリスで2021年は勝田選手がチャンピオンを獲るなど、トップレベルでの戦いは続けている。

 そのラリーというモータースポーツを、ラリチャレで広げていきたいとのだという。「こういうモータースポーツが、特にラリーが本当に持続的に広がっていくためには、底辺がね、まず広がってなきゃいけない」(モリゾウ選手)といい、最初はトヨタとして取り組み、持続的に行なうことで地元に根付くのが大切とのこと。豊田章男社長という、ある意味自動車業界を代表する人がラリー好きのモリゾウ選手として参加することで人が集まる、そういったことも考えに入れつつ、一方では純粋にラリーを楽しんでいた。

 とくに今回は、同クラスに出場していた小倉クラッチの小倉康宏社長に勝てたことがうれしかったとのこと。小倉社長に負けないように体も作ってきたとのことで、ラリーアスリートとしての側面、モリゾウ選手的には「負けぎらい」の面ものぞかせながら、同クラス同士の勝負についても語ってくれた。

 実際、囲み取材が終わると早速小倉社長の元に向かい、モリゾウ選手はラリー談義を楽しんでいた。ちなみにモリゾウ選手としての第2戦は、今週末に行なわれるスーパー耐久の鈴鹿戦。水素カローラで、スバルやマツダと戦っていくことになる。

参加者による記念写真