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マツダ、スーパー耐久に300馬力のバイオディーゼルMAZDA3を投入予定 ガソリンエンジン技術者は「水素とか何でも燃やせる」と

2022年はスーパー耐久のST-Qクラスにフル参戦するマツダ

スーパー耐久にフル参戦したマツダ

 3月20日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)でスーパー耐久第1戦が開催された。このスーパー耐久で大きな話題となっているのが、マツダが55号車 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男)としてフル参戦すること。マツダのワークス参戦はル・マン24時間レース以来となり、ル・マン優勝車と同じ55号車での参戦となる。

 このMAZDA2は1.5リッターのSKYACTIV-D 1.5エンジンを搭載し、燃料にはユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」を用いて走るもの。2021年のスーパー耐久最終戦岡山でスポット参戦し、2022年シーズンはフル参戦をマツダは決断した。

 ただ、そのフル参戦にあたってマツダは1.5リッターのSKYACTIV-D 1.5エンジンをチューニング。2月23日の富士公式テストから1.8リッターのSKYACTIV-D 1.8で使われているターボ用のタービンを組み込むことで約3割のパワーアップを図った。

55号車 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男)

 この3割アップの仕様でフル参戦に挑むと当然のように思われていたが、決勝前日のトヨタ、スバル、マツダの共同会見でマツダ 丸本明社長はサプライズ発表が行なわれた。その内容は、エンジニアからスバルやトヨタの強力さを聞いたため、後半戦には300馬力を発生する2.2リッターディーゼルを投入していくという。

 現状SKYACTIV-D 2.2はCX-5搭載モデルで最高出力147kW(200PS)/4000rpm、最大トルク450Nm(45.9kgfm)/2000rpmを発生しており、運転領域が狭まるとはいえ、1.5倍の出力を発生していくことになる。

300馬力のSKYACTIV-D 2.2とMAZDA3を投入

マツダ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 丸本明氏(右)と、同 常務執行役員 前田育男氏(左)

 この決定の経緯について、丸本社長とチーム代表でもあり参戦ドライバーでもあり常務執行役員でもある前田育男氏に聞いてみた。「GR86とBRZのガチンコ勝負に加わりたい」と前田氏が言ったところ、パワートレーンのエンジニアからパワーウェイトレシオを計算して2.2リッターのディーゼルエンジンであるSKYACTIV-D 2.2を搭載する提案が出てきたとのこと。その提案を丸本社長に上げたところ、「そうか」と一言で決まったという。丸本社長的には、スタッフの決断を二つ返事で支持したのが投入決断の経緯のようだ。

 ちなみにMAZDA2のパッケージでは、SKYACTIV-D 2.2とそれに対応する高トルクのトランスミッションを載せることができない。必然的にマシン変更となるのだが、MAZDA3になるのか確認したところ「内緒だけどMAZDA3」と語ってくれた。

 MAZDA3は内外装のデザインが美しいクルマとして知られている。その美しいクルマがどういったレーシングカーになって登場するのかは楽しみなところ。300馬力のSKYACTIV-D 2.2を搭載したMAZDA3が、トヨタとスバルの戦いにどう割って入るのかも興味深い。

 前田氏によると「パワーウェイトレシオは(トヨタやスバルに)近づくのだが、ラップタイムはどうなるか分からない」とのことで、将来のクルマの戦闘力は未知数。MAZDA2でしっかりと課題出しを行なって、シーズン後半での新車投入を目指していく。

 ちなみに、ディーゼルエンジン以外の投入は考えていないのかと確認してみたら、「ガソリンエンジンをやっている連中は水素とか何でも燃やせると言っている」(丸本社長)と、驚くべき答えが返ってきた。ガソリンエンジンのSKYACTIV-Gで水素を燃やすのかカーボンニュートラル燃料を燃やすのか分からないが、どちらにしろチャレンジングな話であるのは間違いないだろう。

 この新しいエンジンに関しても、丸本社長から指示をすることはないという。マツダの内部からの提案があれば何かが動いていくのだろうか?

  直噴エンジンは水素コンバージョンに向いており、SKYACTIV-Gはもちろん直噴エンジンだ。現段階では夢のような話だが、マツダの内部にそのような話があることを明かしてくれた。