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NVIDIA、「GTC 2022」でトヨタとEV開発で提携するBYDの自動運転向け半導体「DRIVE Orin」採用発表

2022年3月22日 発表

BYDへのADAS/自動運転向け車載半導体「DRIVE Orin」採用を発表するNVIDIA ジェンスン・フアン(Jensen Huang)CEO

 半導体メーカーのNVIDIAは、技術カンファレンス「GTC 2022」の基調講演で、ADAS/自動運転向け車載半導体「DRIVE Orin(オーリン)」が中国の大手バッテリEVメーカー「BYD」や、アメリカのバッテリEVメーカー「Lucid Motors」に採用されたことを発表した。NVIDIAの車載半導体が、量産EV世界最大市場の最大手メーカーに採用されることになる。

 NVIDIA GTC 2022の基調講演には、NVIDIAの創業者でもあるジェンスン・フアン(Jensen Huang)CEOが登壇。DRIVE Orinの採用拡大を語るともに次世代AVプラットフォーム「DRIVE Hyperion 9」も発表した。

採用例の増える車載半導体「DRIVE Orin」

 今回BYDとLucid Motorsに採用が発表された車載半導体「DRIVE Orin」は、254TOPS/25SPECintの性能を持つとされ、すでにトヨタ自動車の「ミライ」や「レクサス LS」向けに発表・発売した「アバンスドドライブ」に使われている「DRIVE Xavier(エグゼビア)」の30TOPSに比べると8倍の性能を持つ次世代車載半導体になる。

 DRIVE Orinは、ボルボやジャガー、メルセデス・ベンツなどが採用を表明しており、ボルボでは2022年からその搭載車が発売されていくという。トヨタ自動車とBYDはEVの研究開発合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社」を2020年4月に発足しており、そのBYDが次世代車載半導体にDRIVE Orinを選んだことになる。

次世代自動運転プラットフォーム「DRIVE Hyperion 9」

メルセデス・ベンツの採用するDRIVE Hyperion 8
Hyperion 8の実現するもの

 車載半導体「DRIVE Orin」は、自動運転プラットフォーム「DRIVE Hyperion 8」として提供もされており、メルセデス・ベンツは2024年の車両から、ジャガー・ランドローバーは2025年の車両から搭載していく。このDRIVE Hyperion 8は、360度カメラ、レーダー、LiDAR、超音波センサー(ソナー)から構成され、自動運転などを実現していく。

 NVIDIAは今回、このHyperion 8の進化版であるHyperion 9を発表。車載半導体にはDRIVE Orinの約4倍の性能である1000TOPSの性能を持つ、DRIVE Atlan×2で構成。14台のカメラ、9つのレーダー、3つのLiDAR、20個の超音波センサーを搭載し、Hyperion 8の2倍のセンサーデータを処理できる自動運転プラットフォームになるという。これによって自動運転の安全性をさらに高め、運転を完全に自動化できるレベル4やレベル5の自動運転を実現していく。

 もちろんその実装は採用する自動車メーカー次第とはなるが、自動車メーカーはこのプラットフォームベースでADAS/自動運転システムを作り上げていくことで、独自に一から実装するより大幅なシステム性能向上とコストダウンを図れることになる。

新たに発表されたDRIVE Hyperion 9