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ジャガー、「I-PACE」のバッテリを二次利用した「エネルギー貯蔵ユニット」開発

2022年3月15日(現地時間)発表

ジャガー・ランドローバーがEV用バッテリを再利用し、移設可能な「ゼロエミッション・エネルギー貯蔵ユニット」を開発した

一般家庭の約1週間分の生活に必要な電力を貯蔵可能

 英ジャガー・ランドローバーは3月15日(現地時間)、発電機メーカーのプラマック(Pramac)とパートナーシップを締結し、ジャガーのバッテリEV(電気自動車)である「I-PACE」の車載バッテリを二次利用することで、移設可能な「ゼロエミッション・エネルギー貯蔵ユニット」を開発したと発表した。このパートナーシップは、EVのバッテリの新たな循環型経済ビジネスモデルを構築するという同社の計画の第1弾となる。

 今回プラマックが開発したエネルギー貯蔵ユニット「オフグリッド・バッテリ・ESS(エネルギー・ストレージ・システム)」は、I-PACEのプロトタイプや技術テスト車両のバッテリから取り出したリチウムイオンセルを搭載。主電源へのアクセスが限られている、または利用できない場合に、ゼロエミッションで電力の供給が可能となる。

 プラマックは、ジャガー・ランドローバーから供給された車載バッテリ、モジュール、配線などを再利用してESSを製造し、その割合は最大85%にのぼるとしている。なお、残りのマテリアルはサプライチェーンに戻され、リサイクルされる。

 最上位モデルのESSの容量は最大125kWhあり、これはI-PACEをフル充電、一般家庭であれば1週間分の生活に必要な電力に匹敵するとしている。また、ソーラーパネルからの充電も可能とし、双方向コンバータとそれに付随する制御管理システムを備えたバッテリシステムで構成される自己完結型となり、商用レンタルも可能としている。

 このESSユニットは、FIAフォーミュラE世界選手権のテスト日に、ジャガーTCSレーシングがコース上でのマシンのパフォーマンスを分析する最新鋭の診断機器や、ピットガレージへの補助電源供給に使用されている。さらに、南アフリカ共和国ヨハネスブルグにある世界最大のジャガー・ランドローバー・エクスペリエンス・センターにも導入されていて、施設の主電源からの電源供給が不安定なときに補助する役割を担っているとのこと。

 ジャガー・ランドローバーは、2039年までに排出ガス量実質ゼロの達成を目指すというコミットメントの一環として、BEV用バッテリの二次利用やそれ以上の用途を実現するプログラムの立ち上げを予定。二次利用されるバッテリは再生可能エネルギー貯蔵のような定置用途に使用され、その供給量は2030年までに年間200GWhを超え、300億ドル以上の価値を生み出すことが見込めるとしている。