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3M、通学路の安全性向上を目指す「スクールゾーン・プロジェクト」 2024年までに世界23か国100か所で実施

2022年4月11日 発表

2022年3月に先行実施した山形県東根市立東根中部小学校周辺通学路でのガードレールへの反射材追加取り付けの様子

日本では4月から全国6か所の通学路で反射材を活用した標識や路面標示を順次設置

 スリーエム ジャパンは4月11日、3Mが2024年までに世界23か国100か所の通学路で歩行者の視認性と道路の安全性の向上を目指す「スクールゾーン・プロジェクト」を3月から開始したことを発表した。

 世界では未整備の道路や横断歩道の未設置、見通しのわるさなどが原因で、多くの子供たちが登下校時に危険にさらされており、通学路での事故は後を絶たないという。日本も例外ではなく、政府の調査によると平成23年~令和2年までの子供の交通事故死者・重傷者数は「歩行中」が最も高い割合を占め、未就学児は65.6%、小学生は56.5%となっている。通学路の安全は最も優先すべき課題の1つであり、日本政府も「交通安全対策に関する関係閣僚会議」などで対策を話し合うなど、対応を加速させている。

3Mの路面標示材を使った道路の見え方の比較例:昼間(左)、夜間(右)

 今回3Mが立ち上げた「スクールゾーン・プロジェクト」は、より安全な通学路の実現に向けて人々の関心を集め、通学路整備の世界的モデルを確立することが目的。日本では地方自治体と連携し、4月から全国6か所で3M製品を提供、通学路の安全向上のための施工を順次開始する予定が立てられている。

 3Mは80年以上にわたって道路標識用反射シートなどの研究開発をしており、その知見を活かして今回のプロジェクトでは薄暮時や悪天候時に高い視認性を発揮する反射材や、昼夜問わず見やすい高輝度な路面ライン材など、3Mの技術を組み合わせた高性能な資材を活用して通学路の視認性と安全性の向上に取り組むという。

 日本では全国6か所で3M製品を使用し、通学路の安全向上のための施工が行なわれる予定だが、第1弾として4月から山形県東根市立東根中部小学校にて、「注意喚起のための路面標示貼付、蛍光色の警戒標識設置」「立て看板の設置」「ガードレールへの反射材の追加取付」「全天候型路面標示の施工」の4つを開始。これらの施工により、速度抑制やドライバーの視認性の向上を図ることでより安全な通学路を目指すとしている。

 また、上記施工のほか、3Mの反射材を使用したランドセルなどに貼り付けられるステッカー2種類(各600枚ずつ)の全校児童への配布も予定している。

2022年3月に先行実施した山形県東根市立東根中部小学校周辺通学路でのガードレールへの反射材追加取り付けの様子

 スリーエム ジャパン トランスポーテーション&エレクトロニクスビジネス 常務執行役員の伊藤誠氏は「未来を担う子供たちの安全確保は、今後の持続可能な社会の実現のためにとても重要です。3Mはすべての子供たちが安心して教育を受ける権利があり、安全に通学することがその障害になってはいけないという信念に基づいて本プロジェクトを行なっています。通学路の安全性向上は3Mが単独で実現できることではないですが、本プロジェクトを通してより多くの方が課題への認識を高め、今回の取り組みがモデルケースとなり、日本を含む世界の通学路に良い影響を与えることを期待しています」と述べている。