ニュース

JAIA、関西初開催となった「輸入電動車普及促進イベントin大阪」 経産省や国交省、環境省らも列席して応援

2022年6月30日 開催

JAIAが大阪にて関西エリア初となる「輸入電動車普及促進イベントin大阪」を開催し、出展自動車メーカーや後援している経産省、国交省、環境省、大阪府などの担当者らが列席した

関西エリア初、四輪二輪同時展示も初となった電動車促進イベント

 JAIA(日本自動車輸入組合)は6月30日、大阪駅前にあるグランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターにて「JAIA輸入電動車普及促進イベントin大阪」を開催した。

 このイベントは、来たるカーボンニュートラル時代に向けた輸入電動車の展示イベントで、輸入四輪車インポーター9社、輸入二輪車インポーター3社と、充電関連事業者8社、整備人材関連1社が参加し、計17台の電動車と8台の電動二輪が展示された。なお、関西エリアでの初開催に加え、四輪と二輪の電動車を同時に展示するのは、JAIAとしては史上初の試みだという。

JAIA理事長のクリスチャン・ヴィードマン氏(ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長)

 JAIA理事長のクリスチャン・ヴィードマン氏は、開催に先立ち参加者に感謝を述べた後、「JAIAでは輸入電動車の普及促進を図るべく、昨年から電動車の認知向上を目的としたイベントを実施しています。2021年度に初めて東京で開催しましたが、今年は輸入車メーカーのシェアが10%を超える関西地域の大阪で初めて実施します。また、今回のイベントの見どころは、電動四輪車だけでなく、燃料電池車や電動二輪車といった幅広いモデルをご覧いただけるところです」とあいさつ。

 また、実際のマーケットの動向についてヴィードマン氏は、「JAIAメンバー各社の電動四輪車のラインアップが2020年10月時点では10ブランド20モデルだったのに対し、現時点で14ブランド62モデルと短期間で3倍に拡大しました。そして、JAIAメンバー各社が日本市場に対して積極的にモデルを投入した結果、2021年はBEV(バッテリ電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド)の販売が急拡大し、BEVは前年の約2.7倍の8610台と着実に販売台数が伸びています。PHEVと合わせると輸入車全体の5.3%のシェアを占めています。特に乗用車のBEVにおける輸入車の比率は2021年に40.6%を記録し、前年の19%から急増しました」と輸入電動車の好調さをアピール。さらに、この急成長の背景にあるのは「政府や地方自治体による充電インフラの整備や電動車購入に対する補助金のおかげです」と、ヴィードマン氏は政府や地方自治体への感謝を述べた。

 しかし、ドイツは電動車に対する購入補助金が増額され、充電インフラの整備もさらに進んだことで、2020年には14%だった電動車の割合が2021年には26%まで増加。アメリカ政府も2030年までに50万基の充電設備を設置することを目標に大規模な予算を投入していると海外の動向に触れ、「日本は車両のラインアップが増え、航続距離も伸長されるなどユーザーの充電環境は改善されつつあるが、特に都心部における集合住宅での充電インフラの不足など、電動車の今後のさらなる普及を実現するためには課題も残されている」とヴィードマン氏は語り、JAIAではこの課題解決のための“EVタスクフォース”を立ち上げ、ユーザーニーズを把握しながら、関係各機関と意見交換を行ない、連携して課題を解決へと導いていく取り組みを開始していると締めくくった。

電動化社会へ向けての課題とJAIAへの感謝を語った経済産業省の清水氏

 経済産業省の大臣官房参事官 自動車・再生可能エネルギー担当 清水淳太郎氏は、すでに発表している、2030年代半ばまでに新車販売の電動化比率を100%にすることや、2050年までに自動車のライフサイクル全体でのカーボンニュートラル化を目指すといった政府のグリーン成長戦略方針に触れ、「現状はまだ電池だったり、水素といった燃料の脱炭素化というさまざまな技術が競われている。いろいろな選択肢を広げながら、カーボンニュートラルに向けて動いている状況で、BEVやPHEVはその選択肢の1つで、電動化社会というものをしっかり構築して進めていかなければいけない。また政府も、クルマの購入支援や充電インフラの整備といったことを中心に、後押しを推進している」と現状を語った。

経済産業省 大臣官房参事官 自動車・再生可能エネルギー担当 清水淳太郎氏

 続けて「クルマの普及と充電インフラの整備が、鶏が先か卵が先かという議論を生んでいて、この先どのように進めていくか。また、どんどん車種が拡大して消費者の選択肢が増えていることはありがたいと思っているが、その半面、使い慣れたガソリン車から乗り換えたときの充電インフラや、暑いとき寒いときの不安など、消費者の認知度をいかに広めるかなど課題があることも認識している。そうした観点で、こういったイベントを通じて消費者に知ってもらうことが非常に重要だと思っているので、今回のように盛大なイベントを開催していただいたことに感謝を申し上げたい」とコメント。

 清水氏は最後に「整備士不足やマンションの充電インフラなどの課題もあり、今後も意見交換を積極的に進めながら日本社会全体のレベルアップを進めていきたい」と述べた。

国際基準の統一や整備士不足問題解決への意欲を語る国土交通省 真下氏

 国土交通省の自動車局 審査・リコール課 不具合情報調査推進室長 真下一則氏は「日本のCO2排出量の約2割を占めている運輸部門。その大部分を占めている自動車分野の低炭素化、脱炭素化を促進することが不可欠となっている。国土交通省では、環境性能に優れた車両の普及を図るためにエコカー減税など政策税制を実施したり、燃料電池やハイブリッドのタクシー・バス・トラックなどの普及を推進するなど、関係業界の意見や要望を聞きながら、関係省庁と連携しつつカーボンニュートラルに向けて最適なアプローチを担保できるように各種政策に取り組んでいる。また、乗用EVの電費性能試験については、日本も国連WP29(自動車基準調和世界フォーラム)に参加していて、議論を交えながら令和2年に国際基準が成立したことで、自動車の型式認証の相互承認が可能となった」と日頃の活動を紹介。

国土交通省 自動車局 審査・リコール課 不具合情報調査推進室長 真下一則氏

 さらに真下氏は、自動車整備士の人材不足についても触れ、「依然として深刻な状況となっている。国土交通省としては、点検項目の確認方法の合理化などによって生産性を上げることと、整備士の役割と重要性をしっかりと訴えることで問題解決を図っていく。先日、新たにワーキンググループを立ち上げ、地域組合にも委員になっていただき、自動車整備士の職場定着などについて議論を交わしていて、年度内に一定の結論を得たいと考えている」と課題解決への意欲を語った。

「都市部から日本全体にEVを波及させていきたい」環境省 福嶋氏

環境省 近畿地方環境事務所 環境対策課長兼地域脱炭素創生室長 福嶋慶三氏

 環境省からは、近畿地方環境事務所 環境対策課長兼地域脱炭素創生室長の福嶋慶三氏があいさつを行ない「先程説明があった通り、日本のCO2排出量の約2割を占めている運輸部門ですが、実は傾向としてはまだあまり変わってない。これをどうやって下げていくかが非常に重要なポイントなのですが、そういった観点でやはり電動車が重要になってくると思っています。また、環境省としてもマンションやショッピングモールなど、充電インフラの整備について最大限に取り組んでいきたい。政府が昨年6月に地域脱炭素ロードマップを策定し、今年4月から各地方環境事務所では、対象を地域に拡充して脱炭素の取り組みをスタートさせている。個人的にも、大阪、京都、神戸など都市部を中心にどんどんEVを広めていって、日本全体に普及、波及していいけたらいいなと思っています」と期待を語った。

サスティナブルで美しくスタイリッシュな電動車が走る街を実現したいと大阪府の金森氏

 大阪府の環境農林水産部 環境政策監 金森佳津氏は、「大阪府では2050年のカーボンニュートラル実現に向け、区域の温暖化対策実行計画にて、2030年までに大阪府内で販売される乗用新車のうち9割を電動車、また4割をゼロエミッション車にするというフローを掲げております。しかし、現在ゼロエミッション車の販売はわずか1%程度にしかすぎず、今年度新たに大阪府気候変動対策推進条例を改正し、自動車販売事業者さまに電動車の普及の取り組みをお願いする制度を設けました」と、現状の課題に対する施策を語った、

大阪府 環境農林水産部 環境政策監 金森佳津氏

 また、金森氏は「ヴィードマン理事長がおっしゃるとおり、都心部の集合住宅における充電設備不足が課題だと認識していて、まず府内にある公共的に使える充電器、現状約800か所を少しでも増やそうと考えていて、多くの消費者が利用する商業施設の充電設備の整備に助成金を出すことが決まった」と、大阪府として実施している施策を語った。さらに「昨年11月には、大阪電動車共同普及サポートネットという組織を設立して、官民共同で横連携を広げて、いろいろな取り組みをしていく」と新しい動きも紹介。

 最後に「2022年度は府民向けに電動車の試乗会を実施する」と金森氏は述べ、加えて「展示会場にあるような、サスティナブルで美しくスタイリッシュな電動車が、この大阪の街を颯爽と走る。そんな心躍る社会を一緒に実現したい」と締めくくった。

スマートモビリティによる未来社会を描かれる2025年の大阪・関西万博

 続いて、公益財団法人2025年日本国際博覧会協会 機運醸成局地域・観光部 審議役の森栄子氏が登壇。3年後に開催が迫る大阪・関西万博については、大きなテーマが「いのち輝く未来社会のでデザイン」で、“いのちを救う”“いのちに力を与える”“いのちをつなぐ”という3つの“いのち”をサブテーマに設定し、全体のコンセプトは“未来社会の実験場”とし、「2030年よりも先を見据えた提案ができるような万博にしていきたい」と森氏は語る。

公益財団法人2025年日本国際博覧会協会 機運醸成局地域・観光部 審議役 森栄子氏

 また、大阪・関西万博の大きな特徴の1つとなるのが、スマートモビリティな万博であると紹介し、「会場内外周トレイン」「会場内パーソナルモビリティ」、さらに「空飛ぶクルマ」の実用化にもチャレンジして、スマートモビリティな社会の実現を試みると紹介。森氏は「万博の各種モビリティにBEVやFCV(燃料電池車)など次世代モビリティを導入することで、カーボンニュートラルが実現された未来社会の姿を会場全体、または会場内外で描き出していきたい」と語った。

「電動モビリティの促進を1つの大きな軸にしている」と語る関西電力の児玉氏

 最後に登壇した関西電力 ソリューション本部開発部門 開発部長の児玉智氏は「関西電力は昨年3月に数値目標を掲げた『ゼロカーボンロードマップ』を発表し、電動モビリティの促進を1つの大きな軸にしている」とあいさつ。また、2年前に電動モビリティを推進する専任の組織を立ち上げ、BEVや充電器のリースサービス、電動バスの車両本体や充電器関係、バスのエネルギーを最適かつ量と時間をコントロールする制御システム、さらに電動化に向けた工事を一括して行なうパッケージサービスの提案など、さまざまな事業活動を全国に展開していると紹介した。

関西電力株式会社 ソリューション本部開発部門 開発部長 児玉智氏

 そして、昨今の電力需要のひっ迫による節電依頼などに触れ、「非常に不安定で、今後もさまざまな電力状態が予想される中で、電動モビリティの充電をいかにうまくやっていくかというのが大きな課題だと思っています。将来的には電動モビリティのバッテリを活用して、余った電力をバーチャルパワープラントシステムに使ったり、走りながらモビリティに充電できる走行中給電システムなど、新しい技術を開発しながら、社会全体としてエネルギーと電動モビリティの掛け算におけるソリューションを提案していきたい」と未来の展望を語った。

会場内に飾られた電動車と電動バイク

 JAIA輸入電動車普及促進イベントin大阪では、会場内にBEV、PHEVなど輸入電動車、輸入電動バイクが展示され、メーカーの垣根を超えた意見交換や情報交換なども行なわれていた。

BMW iX3 M スポーツ
BMW i4 M50
シトロエン E-C4 シャイン
ジャガー Fペイス
ヒョンデ NEXO
メルセデス・ベンツ EQC
アウディ e-tron
アウデ e-tron スポーツバック
ベントレー ベンテイガ ハイブリッド
ヒョンデ IONIQ 5
ランドローバー レンジローバーPHEV
フィアット 500e
BMW iX xDrive50
メルセデス・ベンツ EQE
アウディ RS e-tron GT
テスラ モデルY
BMW CE 04
GOCCIA GEV600
GASGAS MC-E 5
Husqvama Motorcycles EE 5
KTM SX-E 5