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aheadのウィンドウフィルム体感セミナー開催 業界初のヘイズ除去や、UVカット、IRカット機能をデモで紹介

2022年7月22日 開催

ヘイズ除去を実現し、UV全波長域100%カット、IRカット率96~99%を誇るaheadのウィンドウフィルム。前席3面に使用できるクリアタイプ3種類とスモークタイプ2種類の計5製品をラインアップ

ボルボ「C40 Recharge」のオプションにも採用されたウィンドウフィルム

 aheadは7月22日、クルマや建築物などのガラスに貼ってUV(紫外線)やIR(赤外線)をカットするウィンドウフィルムについて解説する新製品体感セミナーを都内で開催した。

 このセミナーでは製品が効果を発揮する対象がUVやIRといった視認が難しいものだけに、aheadが研究機関に依頼して実証された試験報告といったエビデンスや、効果を体感できるデモンストレーションなどが多数用意された。

 aheadのウィンドウフィルムは主に可視光線の透過率別に5種類をラインアップ。車検時に可視光線透過率70%以上が求められる「前席3面」と呼ばれるフロントウィンドウや運転席/助手席のドアウィンドウでの使用を想定した「クリアタイプ」が可視光線透過率80%、87%、90%の3種類、そのほかのウィンドウで使用可能な「スモークタイプ」が可視光線透過率10%と20%の2種類となっており、JIS規格でのUV遮蔽率は全製品で100%、IR遮蔽率は可視光線透過率80%の「TSM-80C」のみ96%で、そのほかは99%を実現している。

 クルマに装着する際の価格は作業を行なう施工店によって変動するが、材料費と工賃などを合わせた総額で、おおむね前席3面で10万円~15万円といった金額を想定しているという。正規施行店もすでに複数存在しているが、現在は全国の販売網を構築中ということで一覧などの用意はないので、興味がある人はaheadフイルムのWebサイトから問い合わせれば、近隣の取り扱い施行店などを紹介してくれるとのこと。

製品ラインアップの一覧

 これまでの採用実績では、ボルボ・カー・ジャパンのBEV(バッテリ電気自動車)「C40 Recharge」のパノラマルーフに追加するディーラーオプション「UV&IRカットフィルム」として正式採用。また、いち早く展開をスタートさせた韓国では過去5年間で約8000台の商用車に施行しており、日本以上に年間の気温変動が大きい韓国でも、これまでに熱割れなどのトラブルは1件も起きていないという。さらにウィンドウを多用する自動車ディーラーのショールームでも、全国2000店舗以上のトヨタ店、レクサス店で施行され、ホンダカーズ用賀店などのホンダ系販売店、シュテルン葛飾などのメルセデス・ベンツ系販売店でも導入されている。

「C40 Recharge」のパノラマルーフに追加するディーラーオプション「UV&IRカットフィルム」として正式採用
韓国では過去5年間で約8000台の商用車に施行。熱割れなどのトラブルは1件も起きていない
ウィンドウ面積の広いショールームなどで大きな効果を発揮するため、自動車ディーラーなどでも採用が進んでいる
株式会社ahead 代表取締役 近藤正純ロバート氏

 セミナーで製品解説を行なったahead 代表取締役 近藤正純ロバート氏は、高性能なウィンドウフィルムを世の中に送り出すことにより、日焼けなどの原因となるUVをカットすることで人々の健康を維持できるほか、UVカットによってクルマの内装材や建物内にある家具、ショールームなどに置かれている展示物やパンフレットなどの劣化を防止できると説明。また、IRカットは夏期に冷房で使われる電力の大きく引き下げが可能で、クルマでもオルタネータによる発電のロスを抑制してCO2排出量の削減が図れるなど、SDGsの目標達成に貢献できる製品領域であると解説した。

 市場に出まわっている既存製品にはまだまだ改良の余地が残されていると感じたことから製品開発に着手して、自分たちのウィンドウフィルムは同業他社の製品が最高で99%、または「紫外線透過率0%」と表現しているUVカット率で100%を実現。IRカットでも最高90%程度が多いところを、aheadのウィンドウフィルムでは96%~99%を達成したほか、これまで機能性を追求したウィンドウフィルムでは回避が難しいと考えられてきた強い光が当たったときのヘイズ(白濁)発生を大幅抑制しており、これまで業界になかった高い性能を持つ製品になっているとアピールした。

ウィンドウフィルムは人々の健康や環境対応などさまざまな面で貢献できる製品ジャンルだと近藤氏は説明
aheadのウィンドウフィルムは既存製品とは別軸のポジションに存在する製品だとアピール

4製品で肌へのダメージが大きいUV-Aまで全波長100%カット

aheadが実施したアンケートの調査結果。クルマにウィンドウフィルムを導入する人の80%がUVカット性能を重視していると判明した

 aheadがクルマでのウィンドウフィルムの導入者に対して実施したアンケート調査で、導入の理由として最も回答数が多かったUVカット(日焼けしないこと)の性能については、分析の結果、実はユーザーの多くが本来のUVカット率だけでなく、日差しに含まれるIRの影響で顔や腕などに感じるジリジリとした暑さを「日焼けしている」と誤認していると判明。ユーザーに「日焼けしない効果がある」と感じてもらうためには、UVカット率に加えてIRカット率を高める必要があるとした。

 また、UVカット率についての詳細な解説も実施。ahead製でUVカット100%を誇る可視光線透過率87%の「TSM-87C」と、他社製の「UV透過率0%」と表記する製品の2種類を用意し、分光透過率の分析を東京都立産業技術センターに依頼したデータをエビデンスとして紹介した。

 ひとくちにUVと言っても、地表近くまで届くUVには波長315nm~400nmの「UV-A」と、波長280nm~315nmの「UV-B」の2種類があり、分析結果のグラフでは、TSM-87Cは波長250nmの位置から400nmを超えるまでしっかりと0をキープしているが、他社製品は途中でわずかに透過する部分もあり、400nmの少し手前から急激に透過の数値が高まっていることが挙げられた。

aheadの「TSM-87C」は400nmを超えるまで透過をしっかり0に抑え、全波長でのUVカット率100%を達成

 これについて近藤氏は、実はJIS規格における紫外線の波長領域は250nm~380nmと規定されており、これに照らし合わせればUV透過率0%という表現も間違いではなく、ahead製品でも可視光線透過率90%で車検での適合性を重視した「TSM-90C」については、JIS規格の波長領域は250nm~380nmでカット率100%、250nm~400nmではカット率99%という数値になっていると明かしたが、ほか4製品では400nmまでのUV-A全波長を確実にカットしたほかには存在しないウィンドウフィルムになっていると紹介した。

「UV透過率0%」と表記される他社製品とahead製品の比較デモ
UVを吸収して変色するシートを貼った写真パネルの上に、他社製品とahead製品のウィンドウフィルムを被せてブラックライトで照らしていく
左側の他社製品はUVが透過してわずかに変色しているが、ahead製品を被せた右側は変色していないことが分かる
中国の人民元を使ったデモ。偽造防止策の1つとして、中央にある100の数字の上に、ブラックライトのUV光を反射して100の数字が浮かび上がる仕組みが施されている
他社製品とahead製品のウィンドウフィルムをそれぞれ木製フレームに入れて被せた上からブラックライトを照射
他社製品は100の数字が浮き上がっている
ahead製品は反応なし

暑さ対策ではIRカット率や遮蔽係数だけでなく、熱透過面積の抑制が重要

人間が感じる暑さは「空間温度」と「直射熱」の2種類がある

 IRカットの性能については、まず、人間が感じる暑さとしては「空間温度」と「直射熱」の2種類があり、エアコンなどを使って空間温度を下げるだけでは不十分。直射熱はウィンドウから入ってくるIRが乗員の体や内装材などに当たって発生するため、エアコンと合わせてIRカットをすることが快適な空間作りにとって重要な要素となる。

直射熱による顔や腕の熱さを軽減することで乗員が「エアコンが効いている」と感じるようになる

 UVカット率の紹介と同じく、IRカットの性能についても分光透過率の分析データを使用。まずは同じ可視光線透過率90%、IRカット率99%と公表されているaheadのTSM-90Cと他社製品について分析したデータを比較して、IRに分類される780nm以降の透過率を見た場合、製品仕様上の最高点を示すIRカット率はどちらも同じ99%だが、他社製品は一部だけ大きくカットできているものの、そのほか大部分はカット率が10%程度となっている。一方でTSM-90Cは右肩下がりのIRカットを実現して、より多くの範囲でIRを遮断して直射熱の発生を防ぐ高い効果を得ているとした。

グラフ内で赤く塗られたIR透過領域が熱に変わる部分。右側のTSM-90Cは他社製品より広い面積をIRカットしており、より遮熱性能が高いことを示している

 また、IRカットによる熱透過面積が重要であることを示すため、同じahead製品のTSM-87CとTSM-80Cを計測した分光透過率データも提示。表面的な数値では可視光線透過率87%のTSM-87CがIRカット率99%、可視光線透過率80%のTSM-80CがIRカット率96%となっているが、分光透過率のグラフで確認するとTSM-80Cの方が圧倒的に広い範囲でIRをカットしており、より高い遮熱性能を持っていることが分かる。

数値上のIRカット率は左側のTSM-87Cの方が高いが、IRが透過して熱になる面積は右側のTSM-80Cの方が圧倒的に広く、より高い遮熱性能を持っていることが分かる

 このほか、建築業界などでは太陽光線の流入熱量を示す遮蔽係数という数値も知られており、この数字が低いほど遮熱する効果が高いとされているが、近藤氏は前出されているIRカット率99%のTSM-90Cと他社製品を比較したグラフを再び提示。遮蔽係数だけを見れば他社製品の方が低い数値となっているが、実際の遮熱性能はTSM-90Cが上まわっていると自信を持っており、遮蔽係数も1つの指標として重要であると理解を示しつつ、aheadのウィンドウフィルムではより本質的な遮熱性能を重視しているとアピールした。

aheadのウィンドウフィルムは遮蔽係数の低下ではなく、効率的にIRをカットして遮熱性能を高めることを目指して製品開発を行なった
IRカット率のデモでは専用の計測器を使用。左右に仕切られた計測スペースの下側に温度センサーが設置されて「上昇温度」「室内温度」を計測。実際に手を入れて温度の違いも体感できる
左右どちらにも無加工のガラスを置いた状態で、左側だけにTSM-90Cを設置。1分間のIR照射でガラスだけの右側は7.2℃温度上昇したが、TSM-90Cを置いた左側は2.0℃上昇に留まっている
続いて右側に、TSM-90Cと同じ可視光線透過率90%の他社製品を設置して1分間IR照射。右側の温度上昇は5.5℃に抑制されたが、同じ可視光線透過率90%でもTSM-90Cの方がより高い遮熱性能を発揮している
設置するシートをaheadのTSM-80C(左)とTSM-87C(右)に変更したデモ。IRカット率はTSM-80Cが96%、TSM-87Cが99%だが、温度上昇はTSM-80Cが1.1℃、TSM-87Cが2.2℃で逆転。最高点であるIRカット率だけでは遮熱性能を判断できないことを示している

業界初のヘイズ除去に成功し、常にクリアな視界を提供

左に他社製ウィンドウフィルム、右にaheadのウィンドウフィルムを貼った写真パネル
ブラックライトのUV光を当てると左側の他社製品は白っぽい反射で写真が見えにくくなるが、ahead製品を貼った右側は写真がクリアなままとなっている

 数値化される機能以外としては、新しいaheadのウィンドウフィルムでは業界初となるヘイズ除去に成功。これまでUVカットなどの機能を高めた高性能フィルムでは、強い光が当たったときに光を反射して白く濁るヘイズが角度によって発生することは避けられないものだったが、クルマのフロントウィンドウがヘイズの発生で視認性を低下させることは好ましくない。また、自動車ディーラーのショールームでも、展示している車両がはっきりと見えなければ販売にも影響を与えかねないだろう。

 これまでは高性能フィルムの使用時にトレードオフになる面として半ば看過されてきたが、aheadのウィンドウフィルムではこれまで以上のUVカット率やIRカット率といった性能向上を図りつつ、同時にヘイズの大幅低減を実現して、多くのシーンでヘイズを抑制。角度によって発生したときも極めて少ない白濁量として、常にクリアな視界が提供できるようにしている。

aheadのウィンドウフィルムで実現したヘイズ除去性能のデモ。左側の一般的な高性能フィルムはブラックライトの光が表面に反射したヘイズで下に置かれた写真の視認性が低下しているが、右側のahead製品はほぼ反射が起きず、下の写真もクリアに見えている(21秒)

 最後に近藤氏は、「この業界でも非常に性能の高いフィルムができあがりました。気の遠くなるような試行錯誤を開発部隊が続けてようやくたどり着けた境地です。このフィルムによって世界的なSDGsの流れに貢献できる、社会問題を解決する一員になるという夢を持って進めていきたいと思っています。電気代も非常に値上がりしており、環境負荷削減など問題はいろいろありますが、この薄いフィルム、たかがフィルムではありますが、そんな問題解決のお役に立てると信じております。そんな志を持って進めていきたいとわれわれ一同思っております」と意気込みを語ってセミナーを締めくくった。

セミナー終了のあいさつに立った株式会社ahead 取締役 清宮克幸氏。「いかがだったでしょうか。凄い、面白いといった感想を持っていただけたかと思います。われわれはこの商品で世の中をよくするために頑張ってまいります」とコメントした