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レゾナック、「パワーモジュール」の開発を強化するための評価・開発拠点を本格始動

2023年1月17日 発表

レゾナック社内で実装した評価用パワーモジュールパッケージ

 レゾナックは1月17日、自動車の電動化に欠かせない「パワー半導体」と、これをパッケージした「パワーモジュール」の材料開発を強化するため、栃木・小山事業所内に「パワーモジュールインテグレーションセンター」(PMiC)を本格始動させると発表した。

 従来は自社内で行なっていた評価・シミュレーション機能を自動車メーカーや半導体メーカーなどの取引先とも共有して材料開発に生かすとともに、EV市場拡大と同時に熱マネジメントの専門性と重要性が高まるなか、パワーモジュール向けの新たな材料提案の拠点を目指すとした。

 PMiCは、パワーモジュールの試作用装置・評価装置・シミュレーション装置・設備を持つ研究拠点。パワーモジュールやそれを構成するパワー半導体は、EVなどの自動車電動化に欠かせない部材として注目されているが、モーター駆動の際、電気的損失に伴い大量の熱を発生させるという課題もあるという。この技術課題を克服し、熱を逃したり(放熱)、電気的な損失を減らしたりすることがEVの燃費向上や航続距離延長につながるが、これらの機能改善は、自動車メーカーや半導体メーカーだけでは実現が難しく、材料にまでさかのぼって改善することが求められているとのこと。

 このような背景を受け、レゾナックは2021年7月にPMiCを立ち上げ。自社の幅広い材料を使ってパワーモジュールを試作し、顧客メーカーの設定条件に近い条件で評価して、その結果を材料開発にフィードバックし、適切な材料提案をスピーディに行なう態勢を構築した。2023年から、これらの試作・評価・検証機能を顧客にも共有し、共創を行なうことで、顧客が素材開発までさかのぼって技術革新を生み出すことを支援。顧客が求める機能に応じた最適材料を組み合わせ、自ら評価し、短期間で提案することで、パワーモジュールの開発期間短縮に寄与していく。

 2022年には、顧客側の試作評価回数を従来の2分の1に減らすことができた事例も出ており、2025年には、さらなる開発期間短縮への貢献を目指すとした。

 EVの世界的販売拡大を受けて、パワーモジュール市場は2030年には2021年の3.9倍に拡大すると見込まれており、特に需要拡大が予想されるのは、SiCベースのパワーモジュールとしている。

 レゾナックは「SiC エピウェハー」で、世界シェア25%を保有しているほか、焼結銅ペースト、熱伝導シート、耐熱封止樹脂、冷却器、樹脂ウォータージャケット、耐熱コート剤など、パワーモジュール関連材料を数多く保有。こうした強みに加え、パワーモジュールの評価・検証を積み重ねてきた知見と、自動車関連デバイスメーカーでパワーモジュール開発経験のあるエンジニアの参画も力として、パワーモジュール市場の成長をとらえていくとした。