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トヨタ新体制発表会見、佐藤恒治次期社長は2026年を目標に次世代のバッテリEVをレクサスブランドで開発と表明

トヨタ自動車株式会社 佐藤恒治次期社長

 トヨタ自動車は2月13日15時、東京の品川プリンスホテルで記者会見を行なった。この記者会見は、オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド形式で、トヨタの公式YouTubeチャンネルでも中継が行なわれた。

 この記者会見には、4月1日からトヨタ自動車 社長に就任する佐藤恒治氏が登壇し、新たな体制を紹介するとともに従来とは異なるアプローチでバッテリEV開発を加速していくことを発表した。

トヨタ自動車 佐藤恒治次期社長会見

佐藤恒治次期社長のテーマは「継承と進化」

新体制のテーマは「継承と進化」

 佐藤恒治次期社長は4月からの新体制について説明。「新体制のテーマは継承と進化です。それはこの13年間豊田社長が土台を作ってくれた商品と地域を軸にした経営です。この13年でTNGAやカンパニー制の導入によって素性のよいクルマ、開発効率の向上を実現してまいりました。こうしたクルマ作りの基盤を活かし、町いちばんのクルマ屋を進めてきた結果、グローバルでバランスの取れた事業構造に変わりました。損益分岐台数は仕入れ先のみなさまと取り組んできたもの作り改革や体質の強化によって、リーマンショックのときと比べて3割以上も改善しました。なによりも大きな財産、トヨタに浸透した『もっといいクルマをつくろうよ』という価値観で、機能軸ではなくクルマ軸、議論よりも現場でまず行動する。お客さまの笑顔のために必死に努力をする。こういったクルマづくりの原点を大事にする会社、『クルマ屋』といえる会社に、トヨタは変わってきたと思います。4月からは、この『豊田章男経営』を新体制で実践してまいります」と佐藤次期社長はトヨタの変化を紹介。

 新体制で目指す進化は「モビリティカンパニーへの変革」であるとし、「電動化」「知能化」「多様化」に取り組んでいくとした。

TNGAによるクルマ作り
地域別小売台数
損益分岐台数
豊田章男経営を新体制で実践していく
「電動化」「知能化」「多様化」に取り組んでいく

 佐藤恒治社長を支える2人の副社長には、中嶋裕樹 Mid-size Vehicle Company兼CV Company Presidentと宮崎洋一 Chief Competitive Officer兼 事業・販売 Presidentが就任。中嶋氏は新Chief Technology Officerに、宮崎氏は新Chief Financial Officerに就任する。

 また、新郷和晃 Toyota Compact Car Company PresidentがChief Production Officerにも就任し、デザイン面を見ていたSimon Humphries氏がクルマ開発センター デザイン領域 統括部長に加えChief Branding Officerに就任する。

 上記に加え、小川哲男 北米本部 本部長と上田達郎 中国本部 本部長が執行役員に新任。コミュニケーションを統括する長田准 Chief Communication Officer兼渉外広報本部 本部長を加えた執行役員体制を敷く。

 佐藤恒治氏が兼任していたChief Branding Officerには前述のとおりSimon Humphries氏が就任し、Lexus International Co. Presidentには渡辺剛氏が、GAZOO Racing Company Presidentには高橋智也氏が就任する。

現副社長は、現場に専念していく
新しい執行体制。副社長は宮崎氏と中嶋氏の2名

2026年を目標に、電池やプラットフォーム、クルマの作り方などすべてをバッテリEV最適に

 とくに注目の集まる電動化においては、バッテリEVに最適なクルマ作りを行なっていくという。「これまで豊田マスタードライバーのもとで、トヨタらしい、レクサスらしいBEVを作る準備を進めてまいりました。その取り組みの中で、自分たちが目指すBEVのあり方が見えてまいりました。機が熟した今、従来とは異なるアプローチで、BEVの開発を加速してまいります」(佐藤次期社長)と、2026年を目標に電池やプラットフォーム、クルマの作り方など、すべてをBEV最適で考えた「次世代のBEV」をレクサスブランドで開発していくとした。

 佐藤次期社長は、これまでの熱エネルギーが常に存在する内燃機関を前提としたクルマ作りと、熱エネルギーを創出する必要があるバッテリEVのクルマ作りは異なるとし、新しいプラットフォームにおいては熱マネジメント、つまりサーマルマネジメント面における新しい考え方が入っていることを示唆した。

 また、トヨタがバッテリEVなど電動化面において遅れているのではという質問については、「今すぐできること、CO2を足下から減らしていくこと」に取り組んできたとし、「グローバルな電動車の比率は23%、トヨタは27~28%となっている」と説明。実際の電動化率は高いのに、そう見られてしまいがちなところにはコミュニケーション不足もあるとし、その面での改善も必要だとした。