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トヨタ、新人事制度で年功序列を廃しチャレンジを評価 社内公募やFAを導入し、イノベーション余力のため700名追加採用

トヨタ自動車株式会社 佐藤恒治次期社長

佐藤恒治 次期社長、東崇徳 人事本部長が会見

 トヨタ自動車は3月15日、第4回労使協議会を開催。賃金などの春交渉の終了後に佐藤恒治 次期社長、東崇徳 人事本部長が出席しての記者会見を開催した。すでに公表されているように、賃金・賞与については第1回労使協議会で組合側の要求に対して満額回答。第2回~第4回は組合側の要望もあり働き方などについての話し合いを行なってきた。佐藤恒治 次期社長、東崇徳 人事本部長は、トヨタの今後の働き方に関する発表を行なった。春交渉の最後となった第4回労使協議会は、リアルで30人、オンラインで1400名が参加した。

 佐藤次期社長は豊田社長から「未来に向けた話し合いを新しい体制で」と言われ、4月から発足する新体制で働き方などについても協議。「トヨタが挑戦をし続ける会社であるためにわれわれがどう変わらねばならないのか」を念頭に、今後トヨタが向かう「モビリティカンパニーへの変革を考えた」ものだという。

トヨタ自動車株式会社 東崇徳 人事本部長

 そのために佐藤次期社長ら新執行部が一番大事にしなければならないと考えるのが「人への投資に総合的に取り組んでいくこと」。給与・賞与については成長を実感するためにも当然必要なものと語るが、「個々が成長を実感して挑戦できるような職場環境を作っていくこと」が大切だという。

 そのような前向きな話し合いができたとし、そのベースには「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願い」というトヨタの基本的な考えがあると語った。

年功序列を廃し、社内公募・社内FAを導入するトヨタの新人事制度

「だれもが、いつでも、なんどでも、失敗を恐れず挑戦できる」人事制度

 新たに導入する新人事制度については東崇徳 人事本部長が最初に説明。新しい取り組みは、「だれもが、いつでも、なんどでも、失敗を恐れず挑戦できる」ものであるという。そのための取り組みの3本柱が、「多様性:自分らしい人生を」「成長:挑戦と失敗を」「貢献:産業の未来のために」となる。

 具体的には現在40%となっている男性の育休(希望者)を100%に拡大し、性差の別なく取れるようにするなど、「生み・育てる」人を全力サポートすることから、社内公募制度を本年10月から開始し、社内FA制度を2024年4月から開始するなど本人希望の尊重を拡大。

 さらに基本的な人事評価制度は、課題創造型のチャレンジを一層促す評価制度を導入し、2024年4月に年次、学歴、職歴、入社形態を評価要素から排除し、産業や社会の貢献につながるチャレンジを評価する制度を導入する。東人事本部長は、「年功序列的なものを撤廃して、チャレンジを評価する制度に」と表現し、新たな人事制度になるという。

多様性
成長
貢献

 また、佐藤次期社長は労使協議会を進めていく中で、新たなチャレンジは必要だが、そのためのリソーセスも必要ということになり、約700名の新規人材を採用。「一番大切なのは、これまでの効率重視の環境ではなく、イノベーティブな環境でイノベーションを促進していく」「リソーセスの補充が必要、精神論では変わっていかない」(佐藤次期社長)と語り、イノベーションへの具体的な手当として700名の採用になったと語った。

リソーセスとマネジメント