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高専卒でチーフエンジニアからレクサスの新プレジデントとなった渡辺剛氏 これからのレクサスについて語る

3月1日からLexus International Presidentとして就任した渡辺剛氏

あこがれのチーフエンジニアに

 トヨタ自動車が大きな役員人事を発表し、Lexus International Presidentの佐藤恒治氏が新しくトヨタ自動車の社長になることが明らかとなった。そして、その後任として選ばれたのが、レクサスで電動化を推進しているElectrified担当チーフエンジニアを務めていた渡辺剛氏だ。

 渡辺氏は群馬工業高等専門学校を卒業後、1993年にトヨタに入社。幼いころからクルマに憧れがあったという渡辺氏は、「将来はクルマ作りの仕事に携わりたい」という思いがあった。トヨタに入社してからの研修期間でチーフエンジニア制度を知って以来、チーフエンジニアを目指してきたという人物。

 トヨタに入社してからは東富士研究所でエンジンシステムの先行開発に従事。約20年にわたり、排出ガス規制にまつわるようなシステム開発などを担当したのち、2012年にレクサスへ異動。念願がかない、FR系モデルを中心に開発・企画を担当し、フラグシップモデルである「LS」のほか、2013年末ごろからは前プレジデントの佐藤氏と「LC」の開発をスタート。GA-Lプラットフォームの開発にも従事した。

 2017年からは電動化に舵を切っていくレクサスの中で、チーフエンジニアとして「UX300e」、新型「RZ」の開発を担当し、2020年からLexus Electrified開発部の担当部長として、電動化の推進を指揮してきた。

渡辺は新型「RZ」のチーフエンジニアを務めた

「みんなを笑顔にするクルマを、とにかく作ってくれ」

 今回、渡辺氏は「2月12日に突然、『東京に来てください。豊田社長との懇談会があります』と言われ、13日の夕方の新幹線で名古屋から東京に向かっている間に豊田社長の退任と新社長の発表をメールニュースで知って、メールを3度見くらいしました(笑)」と、全く何も聞かされないまま、14日に豊田社長から次期プレジデントの内示を受けたと明かし、豊田章男社長から「みんなを笑顔にするクルマを、とにかく作ってくれ」と、「たった1つだけやることを明確に指示していただいた」と今後の方向について語った。

 また、自身が高専卒でトヨタに入社したことを踏まえ「今のトヨタはすごくいろんな意味で、組織や体制が大きく変化しています。年齢だとか、学歴だとか、そういうものは一切関係なく、ある目的や役職を持った人間が、その役割を果たすために必要な仕事を担っていき、目的を持って変わっていくというようなことが現実的に起きていることを改めて思いました」と、今回の体制変更についての思いを述べた。

 最後に、今後のレクサスについて「レクサスがずっと大事にしてきた素性のよさを、電動化技術を使うことで伸ばしていけると気づき、BEVによってどうやったらレクサスらしさを引き上げていけるのかと考えるようになりました。次の時代の電動化ということで、どのような電動化があるのかということをBEVに限らず5年くらいいろいろな要素開発を含めてやってきております。今後、さまざまな地域で本格的にBEV専用モデルを展開していくという意味ではまだ課題はあると思っていますが、そういった本格的な展開時期を迎えるにあたって、改めて1からBEVというものにフォーカスをして、仕込みを行なっている最中です。今後はさまざまな地域のニーズに合わせ、BEVを含めた電動化システムをタイムリーに、モデルとして普及できるようなことを2030年に向けて進めていきたいと思っております」と語った。