ニュース

ダイハツ、側面衝突試験の認証申請での不正行為に関する記者会見 「試験に1回で合格したかったのではないか」と奥平社長

2023年4月28日 発表

ダイハツ工業株式会社 くるま開発本部 本部長 寺前英樹氏(左)、同社 取締役社長 奥平総一郎氏(右)

 ダイハツ工業は4月28日、同社が開発を行なった海外市場向け車両4車種の側面衝突試験の認証申請における不正行為を確認したと発表した。

 同日にダイハツ工業 取締役社長 奥平総一郎氏、同社 くるま開発本部 本部長 寺前英樹氏が出席し、記者会見が行なわれた。

 今回の不正行為は、トヨタ自動車「ヤリスエイティブ」「アギヤ」のほか、プロデュア「アジア」に加え、開発中の1車種における側面衝突試験において、認証する車両の前席ドア内張り内部の不正な加工を行なっており、法規に定められた側面衝突試験の手順・方法に違反があったというもの。なお、調査によって側面衝突試験以外の項目では問題は発見されていないとのこと。

 該当車種の該当国での販売台数は2023年3月末時点で計約8万8000台。不正行為の事実が判明後、速やかに審査機関、認証当局に報告・相談を進めており、トヨタと協議し、認可対象国における出荷を停止。現在出荷停止をしているのは、ヤリスエイティブで、対象国はタイ、エクアドル、メキシコ、マレーシア、サウジアラビア、UAE、クウェートなど14か国。今後、審査機関、認証当局の立ち会いのもとで再試験などを行ない、側面衝突性能が法規に適合していることが確認され次第、出荷を再開するとしている。

 再発防止については、これまで調査を行なってきた内部調査委員会に加え、独立した第三者委員会を設置し、内容の解明および、真因分析を行ない、これに基づく再発防止策をとりまとめていくとのこと。調査結果については第三者委員会からの報告を再度告知するとした。

 ダイハツ工業 取締役社長 奥平総一郎氏は「当社は法令遵守を経営の根幹と考えております。お客さまはステークホルダーの皆さまから信頼される企業グループとなることを目指し、コンプライアンス活動を推進してまいりました。それにもかかわらず、今回このような不正行為が行なわれていたという実態が判明いたしました。お客さま、ステークホルダーの皆さまの信頼を裏切ることとなってしまったことは、痛恨の極みでございます。大変重く、受け止めております。今後、第三者委員会による調査結果を通し真因を究明し、うみを出し切ることで、二度とこのような信頼を裏切る事態を発生させないよう、抜本的な再発防止策を講じていく所存でございます。それに加え、改めて法令遵守の重要性を社内に徹底的に浸透させ、コンプライアンス意識を第一とした企業体質の再構築に取り組んでまいります」と述べた。

ダイハツ工業株式会社 取締役社長 奥平総一郎氏

 具体的な不正行為に関しては、試験車両のドアトリムにわざと壊れやすい部分を作成して認証試験を受けていたとしている。これにより、「人体に当たる部分において、シャープエッジを出さないようにする」といった認証試験項目をクリアしたかったのではないかと考えているとのこと。

 現在出荷されている車両状態であっても試験には十分合格するとのことだが、奥平氏によると、認証試験を1回で合格したいという担当者の想いがあったのではないかとし、詳細についてはまだ判明していないため、今後の調査を進めていくとした。

 加えて、生産国は複数にわたるが、開発と認証試験は滋賀県のテクニカルセンターで行なわれたとのこと。不正行為が行なわれたのは認証試験の場となり、認証試験の時期はヤリスエイティブは2022年3月、アジアは2022年9月となると、寺前氏から説明された。

ダイハツ工業株式会社 くるま開発本部 本部長 寺前英樹氏

 また、社内調査を行なった結果、不正が発覚したのは今回発表された車種のみとなり、日本国内で販売している車両については不正が確認されておらず、現在使用しているダイハツ車において何らかの対応をする必要はないとした。

 なお、2022年に同じグループである日野自動車で不正行為が発覚した際に内部調査を行なったものの、調査範囲が排出ガス認証および、燃費認証に関する部分に限られており、そのほかの範囲においては調査を行なわなかったため、今回の不正発覚が遅れたのではないかとしている。

ダイハツ工業株式会社 会見