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タミヤ、ゴードン・マレー・オートモーティブ「T.50」を1/24で模型化 超絶金型技術でコイルスプリング再現

2023年5月10日〜14日 開催

1/24スポーツカーシリーズ No.364 「GMA T.50」

タミヤ、ゴードン・マレー・オートモーティブの「T.50」を模型化

 タミヤが第61回静岡ホビーショーで発表したのが、1/24スポーツカーシリーズ No.364のGMA T.50。ブラバムやマクラーレンのF1デザイナーとして知られるゴードン・マレー氏が設立したGMA(ゴードン・マレー・オートモーティブ)が発売したスポーツカーで、T.50はマレー氏の50年のキャリアと50番目のデザインであることを意味して名付けられている。

 タミヤはこのT.50を現時点の同社の技術を盛り込んで模型化。組み立てやすさを意識しながら、超絶的な金型技術で精密再現を行なった。

超精密なタミヤの金型技術が楽しめるT.50

 T.50の特徴としてグラスエリアが広く、多くのウィンドウが使われていることが挙げられる。通常のクルマの模型であれば、クリアパーツを接着して仕上げるところではあるが、このクリアパーツの接着が意外と難しい。一般的な接着剤を使う際に量を間違えると、接着剤がはみ出てしまい、せっかくの模型の完成が残念なことになってしまう。

 そこでタミヤは主要なウィンドウパーツやライトカバーをはめ込み形式で設計。接着剤を使わずに取り付けることができるようにした。さらにこのはめ込み設計を活かして、リア部分の開閉を完成後も楽しめるようにしている。

各種のツメが設けられたクリアパーツ。合いもバッチリに見えた
マルチマテリアルな部品
鬼のように薄いダクテッドファン部の樹脂部品。そこにエッチングパーツを組み合わせる
このような感じに仕上がる。精密感ばっちり
ウィンドウを閉めた状態

 このような組み立てやすさに配慮されてはいるものの、タミヤのGMA T.50の見どころは精密感の高い組み立てキットであることだろう。 T.50の特徴であるリアのダクテッドファン部は、エッチングパーツとこれでもかとばかりに薄く樹脂成形された支持部で構成。マルチマテリアルな模型の楽しみを見せつける。

コクピットやシャシーまわりも精密再現
1/24とは思えないほどのフロントサスペンション
リアも同様。ローターとキャリパーが別体パーツであることが分かる

タミヤの金型技術の粋をつくしたコイルスプリング

超絶金型技術のコイルスプリング

 さらに驚愕なのは、サスペンションに用いられるコイルスプリングの再現。1/24スケールとなると、コイルスプリングはロッド部と一体成形されることがほとんどなのだが、これは前後4つのスプリングが部品として成形されている。さらにこのスプリングはスライド金型を用いて成型されているため、実際のスプリング同様に中空となっている。いわゆる湯に埋まっていない形で成形されている。

 タミヤのスタッフによると、金属部品で作ることもできたが塗装の手間(プライマーにより下処理)や塗装はがれ(金属の伸縮による塗装割れ)などを考えて、樹脂部品にしたとのこと。タミヤでは初のチャレンジとなり、コイルスプリングの付く位置もサスペンション上部になるため、目立つ色で塗ることができるとのことだ。

成形部品。手前のランナーが盛り上がっているのはスライド金型の逃げ。コイルのまわりに使われていない湯口があるのは試行錯誤の痕跡
スプリングコイル。横から見ても抜けている
押したら縮むとのこと
圧縮方向も抜けている。驚愕

 設計で実際難しかったのは、スライド金型部に加え、どこから樹脂を流すかということ。一般的にプラモデルの場合は高温に溶けた樹脂を高圧で流し込むが、これだけの精密部品になると樹脂を細部まで行き渡らせるのが難しくなってくる。そのため、どこから樹脂を入れるのか、どこから樹脂を出すのかという工夫や、どういう状態で流すのかなどが大切になってくる。

 このT.50のスプリングコイルまわりでは、使われない湯口をいくつか見ることができるが、これらはすべて試行錯誤の結果だという。最終的に使わなかった湯口はふたをされ、適切な湯口から流して成型されているとのことだった。

 この1/24 GMA T.50の価格は5500円。リアバンパーのエッチングメッシュなどマルチマテリアル部品も入っての価格となる。発売は8月、作りやすく配慮されつつ、高度な模型化が行なわれたGMA T.50にチャレンジしてみていただきたい。

ゴードン・マレー・オートモーティブのロゴ入りボックスアート。気分も上がる
タイヤ用コーティング剤も発売するとのこと。これまでの自動車模型に使って、タイヤをピカピカにすることも可能