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スーパー耐久第2戦富士24時間、最初のスティントを終えたモリゾウ選手に聞く 「最初のペースメーカーができた」

モリゾウ選手としてファーストスティントを走ったトヨタ自動車 豊田章男会長

 5月26日~28日、富士スピードウェイで「スーパー耐久第2戦 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」が開催されている。5月27日15時には決勝レースが始まり、世界初の液体水素レーシング車両が走り始めた。

 この液体水素レーシング車両は、トヨタ自動車が開発した32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/MORIZO/石浦宏明/小倉康宏/Jari-Matti Latvala)になる。オープニングを担当したファーストドライバーは、モリゾウ選手こと豊田章男 トヨタ自動車会長で、2年前の気体水素の車両と同様に、自分自身もステアリングを握り世界へ向けての挑戦を発信していく。

 30周以上を走り、無事1スティント目を走り終えた豊田会長に簡単に話を聞くことができた。豊田会長はレース前に、「決勝レースで完走するということは、このチームの意思ある行動と情熱が、また1歩未来に近づくことになります」と語っており、未来を切り開く強い意志を見せていた。

 豊田会長は開口一番、「最初のペースメーカーができたかな」と語る。耐久レースにおいては、レースの入りが大切で、そこを落ち着いて入ることで24時間を走りきるためのペースができるという。気体水素のカローラに比べて250kgほど重くなってしまっている液水カローラだが、バランスはいいとのこと。24時間の完走に向け、手応があるようだ。

 注目のWRCチームのヤリ-マティ・ラトバラ代表とのタイム対決については、「強い、強い」と。どうもラトバラ代表は鍛えてから来日したらしく、サーキットでのラップタイムが向上しているとのことだ。この辺りはレースが終わってから明らかになるだろう。

 2023年の富士24時間についての印象は、「今回、本当に海外からのお客さんが多いです。日本がひさびさに注目されている。G7もありましたし。日本はずっと現実を語ってきたし」と、注目の高さを感じている。実際、ACO(Automobile Club de l'Ouest、フランス西部自動車クラブ)のピエール・フィヨン会長などVIPが来日しており、ル・マン24時間への水素燃焼車両参戦を発表。いろいろな意味で時代の動きを感じる。

 そういった流れについては、「今回、よりね、(クルマにかかわる)多くの人の共感につながるためには、1秒でも多く走りたい。そうすると、また一歩行けますから。(自分の役割は)多くの人が安心して働ける雰囲気作りでしょうね。私が失敗するなとか言ったら進まないと思います。私がトヨタのために仕事をしていたら、こんなに多くのメーカーがST-Qクラスに集まってくれなかったと思います。ここもやはり評価してもらいたいポイントだと思います」と語る。

 記者は長年モリゾウ選手の走りを見ているが、モリゾウ選手はいつも誰かのために走っている。そうした走りが、フィヨン会長の水素自動車試乗につながり、ル・マンのルール作りにつながった面もある。そうしたことをちょっとでも理解して、時代を変えようとする液水カローラの戦いを見てもらいたいとのことだった。

液水GRカローラ