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ル・マン24時間レース、2026年から水素燃焼エンジン車の参戦が可能に トヨタ佐藤社長は「非常に前向きに受け止めています」と

左から、トヨタ自動車 佐藤恒治社長、マツダ 毛籠勝弘次期社長、ACO ピエール・フィヨン会長、STO 桑山晴美事務局長

 5月27日、スーパー耐久第2戦富士24時間レースを開催中の富士スピードウェイにおいて、トヨタ自動車、マツダ、STO(スーパー耐久機構)は記者会見を開催した。この記者会見には、ル・マン24時間レースの主催者であるACO(Automobile Club de l'Ouest、フランス西部自動車クラブ)のピエール・フィヨン会長がゲストとして招かれた。

 トヨタからは佐藤恒治社長、マツダからは毛籠勝弘次期社長、STOからは桑山晴美事務局長が参加。毛籠次期社長、佐藤社長からはル・マンへの挑戦が語られたほか、2023年6月10日~11日に開催されるル・マン100周年についての紹介が行なわれた。

 その席上、ピエール・フィヨン会長から驚きの発表がなされた。現在、ル・マン24時間では、「MissionH24」という形で水素を燃料とする燃料電池を使用したレーシングカーによるレースを行なおうとしている。毎年ル・マン24時間レースが行なわれるサルトサーキットでFCEVによるデモ走行を実施。レースの可能性を探ってきた。

 フィヨン会長は、「ご存じのように私たちはMissionH24というプログラムを通じて、レースの世界に水素を導入する取り組みを行なっています。私たちは当初、その大きなポテンシャルから燃料電池を選びました。そしてそれは今でも正しい選択だったと信じています。現在、水素内燃機関もその可能性の1つとして提示されています。ルマン24時間レースのレギュレーションは、常に自由と多様性を提唱してまいりました。そのため、ルマン24時間レースの水素クラスへの参戦を希望するメーカーには、燃料電池と水素内燃機関の両方の技術を認め、導入することをここに公式に発表いたします」と発表、FCEV(燃料電池車)に加え、HICE(水素内燃機関)と海外では表記されることの多い、水素燃焼エンジン搭載車、つまり水素GRカローラにもル・マン24時間参戦の道が開かれた。

 トヨタ佐藤社長はこの突然の発表に、「今日、このような発表をいただいたということは、非常に大きな意味を持つと思います。非常に前向きに受け止めています。今日、具体的なことを申し上げるということには至りませんが、近い将来笑顔でいい発表ができるようにしていきたいという風に。前向きな、若干、不安を内包した笑顔で答えさせていただきます」と、参加に前向きな姿勢を示した。

 トヨタは現在、圧縮水素によるエンジンと、液体水素によるエンジンを開発中だが、ご存じのように液体水素GRカローラは本日が世界で初めてのレース参戦になる。2026年の際にどちらのエンジンを使うのかという質問については、「時間軸の問題などを考えると、高圧水素の気体のほうの成立性が高いのかな」(佐藤社長)と答えた。

 なお、2026年以前のMissionH24の取り組みについてフィヨン会長は、ル・マン決勝日の前日となる金曜日に発表すると予告した。