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ル・マン24時間100周年、6連覇を目指すトヨタが車検に登場 BoP変更について小林可夢偉チーム代表に聞く

TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表であり、7号車のドライバーでもある小林可夢偉選手

公開車検に登場したTOYOTA GAZOO Racingの2台のマシン

 100周年を迎えたル・マン24時間の公開車検が6月2日~3日の2日間にわたってル・マン市内で行なわれている。2日目となる6月3日は、トヨタ、キャディラック、ポルシェ、フェラーリなど優勝を争うハイパーカークラスのマシンが登場した。

 TOYOTA GAZOO Racingは100周年のル・マンに、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)、8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー)の2台のToyota GR010 Hybridでエントリー。2018年から続く5連勝を6連勝に伸ばすべく挑んでいく。

TOYOTA GAZOO Racing WECチームの記念写真

 ちなみにル・マンの連勝記録は、トヨタとアウディが5連勝(ただし、アウディは2度の5連勝)、フェラーリが6連勝、ポルシェが最多記録で7連勝。トヨタが今年勝てば耐久王と呼ばれたアウディの5連勝を抜き、フェラーリの6連勝に並ぶ。ル・マン24時間最多勝の7連勝も見えてくることになる。

 そうしたこともあるのか、フェラーリは2023年のル・マン24時間でハイパーカークラスに復帰。トヨタと勝負する道を選んだ。

5月31日に変更されたBoP

 トヨタにはこれまで開発を続けてきたという近年の歴史があり、今シーズンの成績を見ても、ル・マン24時間の勝利はほかのチームよりも有利と思われてきた。しかしながら、今回、ル・マン24時間開催直前の5月31日にBoP(Balance of Performance)がWEC Committeeによって変更、37kg増となってしまった。

WEC Committee Balance of Performance of the Hypercar category

・重量

CADILLAC V-Series.R 1035kg → +11kg → 1046kg
FERRARI 499P 1040kg → +24kg → 1064kg
GLICKENHAUS 007 1030kg → ±0kg → 1030kg
PEUGEOT 9X8 1042kg → ±0kg → 1042kg
PORSCHE 963 1045kg → +3kg → 1048kg
TOYOTA GR010 - Hybrid 1043kg → +37kg → 1080kg
VANWALL Vandervell 1030kg → ±0kg → 1030kg

 キャデラックにはスティントあたり最大エネルギー量が+1MJ、フェラーリには+2MJ、トヨタには+4MJと、ハイブリッド用のアディショナルエネルギーが用意されたものの、ポルシェより軽かった車重がハイパーカークラスで最も重くなるなど、重量面で厳しくなっている。

 エネルギーを付加されることで相殺される部分はあるかもしれないが、車重が重いということはタイヤに対する負荷やブレーキに対する負荷が高くなり、一気にさまざまなリスクが増大していく。直前での変更はレースを面白くするかもしれないが、これまでの各チームの努力をある意味なかったことにする処置にも見える。

 この急なBoP変更について公開車検のインタビューゾーンに入った小林可夢偉 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表に聞くと、「本来は、プラットフォームのBoP変更はルール上あるんですけど、それ以外のBoP変更は、クラスの変更はルール上変えるタイミングではないというルールの下、僕たち開発をしてここまで来たんですけど、ここで変更になりまして、素直に驚きしかありません」と語る。

 これによりGR010が失うタイムは、1.2秒とシミュレートされているが、可夢偉代表はBoPの変更を問題にしているのではないという。

積極的にファンとふれあう小林可夢偉選手

 可夢偉代表は、「僕らここまでずっといいレースをしていて、準備をしてきて、いきなりこの直前に変える。しかも、変えるというルールならば何も異論はないんですよ。いきなりルールを変えたんですよ。BoPの変更ではなく、(その元となる)ルールを変えた。というところに対して、正直に言うと非常に残念です」と、言葉を丁寧に選びながら語ってくれた。

 この件に関しては、公開車検の直前もチーム代表としてFIAらと協議を行なっていたようで、ドライバーでもある小林可夢偉選手の時間がいろいろ削られているようにも見えた。

 可夢偉代表は、そのような状況の中でも、公開車検後に行なわれるチームの記念写真では、明るい表情でチームをリード。記念写真後は、公開車検場に集まったファンに対し、積極的にサインをして回っていた。

 GR010が実際にはどのようなタイムで走るかは、6月4日から始まるテストデーである程度分かるのではないだろうか。BoPの変化を気にしつつ、ハイパーカークラスのタイムに着目していただきたい。

ファンの求めにすべて応えていた小林可夢偉選手