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ルノー「カングー」と、ちょっといい景色を楽しむ小旅行

 ルノー「カングー」が新型の3代目となった。初代、2代目は実用的な荷物車の雰囲気を前面に押し出していたものが、3代目では機能はそのままにより乗用車に近づけた。

 そして、長距離ドライブには必須となった運転支援が充実し、運転と室内の快適性をアップさせたことも特徴だ。

装備も充実、荷物車の雰囲気は皆無となった内装
シートの厚みもたっぷりとあり、どの席でも座り心地がよい

 しかし、変わらないのはたくさん積めてスクエアな荷室と、フランス車ならではのスタイリング。カングーはそのときのルノーの顔に合わせて前面デザインを移り変わらせていて、今回もほかのルノー車の仲間だということを主張している。そして、ボディカラーもカングーといえばこの色、という「ジョン アグリュム」(イエロー)はもちろん、街や自然に映える色をセレクトしてきた。

岩が露出した山肌に、ブラウン テラコッタMのボディカラーは溶け込む

 今回、小旅行のお供となるカングーは、2つあるグレードのうちの「インテンス」でボディカラーは「ブラウン テラコッタM」。ブラウンとオレンジ色の中間という感じで、明るい昼間に見ればオレンジで、薄暗くなるとブラウンに近づく。名前の「テラコッタ」はイタリア語の「焼いた土」なので、素焼きの植木鉢やレンガといったイメージになる。

 自動車といえば自然とは相反しがちだが、この色ならば、自然ともマッチするはず。そこで自然を求めて旅に出た。

まずは涼しさを求めて長野と群馬の山の中へ

 カングーが新型になった2023年。東京都心部の気温が6月下旬から30℃を超えるようになり、7月はじめから35℃を超える猛暑日も出現している。そこでまずは標高の高いところで涼んでいこうということにした。

カングーで進んでいく

 1000m級でも涼しいは涼しいが、ガッツリと冷えを感じたい。さらに高い2000m級の山に行けば真夏でもひんやりとして寒いくらいのはず。

 そこで目指したのが、標高2172mの日本国道最高地点だ。長野県と群馬県の県境近くに位置する場所で、国道292号線にある。長野県側に下りれば長野市の北に位置する中野市に下りていく場所だ。

 ただし、東京から行くには複数のルートがある。実は今回の目的地はもう1つあり、群馬県沼田市のたんばらラベンダーパークだ。この2つを回るとき、行きと帰りが同じではつまらない。そこで、少し大回りをしてみようということで、軽井沢から浅間山を越えて行こうと思ったのだ。

 都内からは首都高速、外環道、関越道、上信越道と、軽井沢IC(インターチェンジ)までは高速道路となる。

見やすい7インチデジタルインストルメントパネル
8インチマルチメディアEASY LINKは全車標準装備

 カングーに乗ると分かるが、ルノー車らしいしっかりとラインに乗せやすいハンドリングを感じる。シャープなハンドリングとひとことで言い尽くせないほど、シャープさとナチュラルさがちょうどよくミックスされている。シャープなハンドリングは、高速道路などでは敏感すぎてしまうこともあるが、まったく苦にならないところがルノー車の味と言えよう。

シャープさとナチュラルさがちょうどよくミックスされたルノーのステアリングフィールで快適なドライブ

 そこに新型から運転支援のACCが加わったのだから、まさに鬼に金棒。機械任せでラクをするのも、手動でクルマとの会話を楽しむのもステアリングホイールのボタンスイッチ次第だ。

 高速道路を下りたら、今度は山道。今回のコースではそれほどきついカーブのある道は選んでいないが、カングーは以前からそのボディサイズながら、重心が高いクルマにありがちなアタマが振られる感じは少ないと定評があり、新型ではボディサイズの拡大以上にトレッドが拡大されたことから、より安定感が高まった。

 しかも、ルノー車らしくカーブのあとのナチュラルな復元力のあるハンドリングで、カーブの入り口でラインに合わせてステアリングを切り込んでおけば、立ち上がりは復元力を手のひらで調整するだけですっとカーブを駆け抜けられる。

ブラウン テラコッタMのカラーは緑と青空とのコントラストも美しい

 パワーについても、今回のお供は1.5リッターのディーゼルターボ。カングーのボディサイズからすればダウンサイジングターボとも言えるため、ターボのトルクバンドを合わせて山道を上っていくような感じになる。「7EDC」となる7速デュアルクラッチトランスミッションはトルコン式ATのような粘りはないものの、速度と回転数が決まれば上り坂もまったく苦にならない。

ディーゼルモデルに搭載されるのは、最高出力85kW(116PS)/3750rpm、最大トルク270Nm(27.5kgfm)/1750rpmを発生する直列4気筒SOHC 1.5リッターディーゼルターボエンジン。WLTCモード燃費は17.3km/L
シフトレバーをDポジションから右に倒すとMTモードになる

 速度とギアポジションを意のままに操作したいのなら、手動で変速も可能。その場合はシフトレバーを右に倒して前後に動かせば、自在に変速する。下り坂でエンジンブレーキを多用する場合でも操作は容易だ。

 その上、新型カングーではフロントブレーキだけでなくリアもベンチレーテッドディスクが採用され、山道での下り坂でのフットブレーキの多用はすべきではないのはもちろんだが、フットブレーキを利用しても安心感を増して運転できるようになっている。

17インチホイールと55扁平のタイヤで路面をしっかり捉える

アップダウンののち、2000mクラスへ

 山道にさしかかり、ディーゼルターボのパワーとルノーのハンドリングを楽しんでいると、いつのまにか標高が上がり、外気温が下がっていた。エアコンをOFFにして、窓を開けて外のひんやりした空気を楽しむことに。

国道最高地点へ向かっていく

 ディーゼルターボのエンジン音は、どちらかというとフロント側に集中している。エンジンの負荷が低いときに小さくカラカラと多少エンジン音を感じるところはあるものの、目立つ振動もなく全体的にはかなり静か。窓を開けて急坂を上っていても山の静けさをほとんど邪魔しない。

カーブとアップダウンの連続をディーゼルターボのパワーでいなしていく

 そして、気づけば標高2000mを超え、今回の1つの目標でもある日本国道最高地点へ到着した。

日本国道最高地点へ到達

 外はひんやり。カングーの温度計で13℃を表示。短い時間なら大丈夫だが長く外に出ていると夏の装いでは厳しいくらいになる。35℃を超えた東京からやってきて、この温度はなかなかの快感だ。

山を下っていく

カングーとラベンダーのコントラストが美しい! たんばらラベンダーパークへ

たんばらラベンダーパーク(群馬県沼田市玉原高原)

 十分に涼んだあとは、山を降りて次の目的地へ。たんばらラベンダーパークは、冬はスキー場、夏はラベンダーの咲き誇る公園だ。

今回は、カングーのボディカラーとラベンダーのコントラストを楽しみたく、開園前に特別に撮影させていただいた

 撮影した7月半ばはちょうどラベンダーが咲き始めるころ。咲く一歩手前はラベンダーの色が濃く、咲くにつれて視界に占めるラベンダーカラーの割合は増えていくが、色は若干薄まっていくという。

 カングーとのコントラストは、取材時がまさに最高だったが、今後はラベンダーがいっぱいの風景が広がり、より楽しめるという。

ラベンダー畑までは、山間の約20分の遊歩道か、約10分の夏山リフト(大人片道500円)で行ける

 たんばらラベンダーパーク内はおみやげ、食事、そしてソフトクリームまで充実。標高1350mに位置するパークは比較的涼しく、撮影スポットも豊富だ。

 なかでも、入園ゲートのあるリゾートセンターのラベンダー関連のグッズの豊富さは、一見の価値がある。

大人気というラベンダーソフト。左はミックス
ラベンダーの苗も販売

 ラベンダーの摘み取り体験会も開催されているので、生花を持ち帰ることもできる。車内でラベンダーの香りを楽しみながらドライブを楽しむことも可能だ。

カングーなら長距離ドライブも快適、日本の美しい景色を堪能できる

 帰路はラベンダーの香りを乗せて出発。郊外のドライブといえば、道の駅で地域産の農作物をたくさん買い込むということも楽しみの1つ。たんばらラベンダーパークの付近だと、道の駅だけでなく農協の即売所、サービスエリアなどで売られており、よりどりみどりで、つい買いすぎてしまうという状態だ。

通常時だと775Lのラゲッジは、リアシートを倒すと2800Lに拡大

 カングーなら広い荷室で、おみやげは買いすぎるほど買っても飲み込んでくれる。しかも乗り心地もよいからスイカといった割れやすい果物を何個も買っても大丈夫そうだ。

 避暑とラベンダー、そして大量のおみやげと、快適なドライブと、カングーならではの小旅行が楽しめた。

撮影協力:たんばらラベンダーパーク