大逆転劇で幕開け「ケーヒン 鈴鹿2&4レース オープニングスペシャル」開催 130R~ヘアピン、西コースの様子もリポート |
生まれ変わった鈴鹿サーキットのこけら落としとなるイベント「ケーヒン 鈴鹿2&4レース オープニングスペシャル」が開催された。国内2輪レースの最高峰JSB1000と、国内4輪レースで最も人気のあるSUPER GTが同時開催されるとあって多くのレースファンが鈴鹿に集結した。今回は2輪、4輪のレースの結果に加え、多くの観衆が集まった東コースや、改修途中の西コース(130R~ヘアピン)の様子もご紹介しよう。
鈴鹿サーキットでは昨年8月以来となるビッグレースの開催、しかも2輪ファンと4輪ファンの両方が集まったことで、メインスタンド裏のGPスクエアなどは、土曜日の朝から多くの観客であふれていた。印象としてはいつも以上に家族連れで観戦に来た人が多いように感じた。
GPスクエアは多くの観客が集まった | |
グランドスタンド裏の1Fには売店が並ぶ | GPスクエアには冠スポンサー「KEIHIN」の展示ブースも |
GPスクエアのスタンド寄りには、今回の冠スポンサーであるKEIHINの2台のマシンが展示され、多くのファンが写真を撮っていた。今回、冠スポンサーとなった株式会社ケーヒンは1956年に京浜精機製作所として創業、キャブレターや電子制御燃料制御システム、ハイブリッド自動車のモーター制御や自動車用空調システムを自動車メーカー各社に納入する総合システムメーカーだ。97年に京浜気化器などグループ会社を合併し社名を現在のケーヒンとしている。
1959年のマン島TTに参戦したホンダにキャブレターを供給、85年にはホンダF1のECUを供給するなど、約半世紀にわたりモータースポーツに携わり続け、2006年に2輪のJSBに参戦するコハラレーシングをスポンサード。今シーズンから4輪SUPER GTに参戦するリアルレーシングのスポンサードを始めた。そして同社として初めて冠スポンサーになったのが、今回のケーヒン 鈴鹿2&4レース オープニングスペシャルだ。
マシンが目の前で見られるピットウォークも大人気で、日曜日の分が土曜日に完売するほどだった。土曜日の夕方には中学生以下の子供がいる親子が無料で参加できるキッズピットウォークが開催され、ピットからトンネル、最終コーナー、観覧車横と続いた列の最後尾は最終コーナー付近まで達していた。各チームのドライバーがサインや記念撮影に応じ、中嶋悟監督も自らサインをしていた。ヨシムラでは予選を走った実際のスーパーバイクにまたがれるなど、積極的なファンサービスが行われていた。
■JSB1000 予選1位の秋吉耕佑が優勝
最初に行われた決勝レースは、国内2輪レースの最高峰JSB1000だ。レースは予選1位のF.C.C.TSR Honda 秋吉耕佑選手が2位以下を離して優勝。2位~4位争いは最終ラップまでもつれる混戦で2位に山口辰也、3位に酒井大作、4位には前年チャンピオンの中須賀克行が入った。冠スポンサーKEIHINの看板を背負って期待された伊藤真一は予選からマシンセッティングが決まらず、粘りの走りで5位に食い込んだ。
■GT500は大逆転でZENT CERUMO SC430が優勝
52周で行われたGT500は予選1位のMOTUL AUTECH GT-Rがスタートからトップをキープ。序盤こそタイヤを温存する走りで2位のZENT CERUMO SC430に攻められるが、徐々にペースを上げ独走状態に。2位以下はZENT CERUMO SC430、PETRONAS TOM'S SC430、IMPUL カルソニック GT-Rの三つ巴の争いを展開。中盤には後方からHASEMI TOMICA GT-R、RAYBRIG NSX、ARTA NSXの3台も加わり6台の2位争いとなる。
大観衆の前をフォーメイションラップで通過するGT500 | GT500のスタート | 1コーナーを混乱もなく抜けていくGT500 |
東コースの各スタンドには多くの観客が詰めかけた | 終盤までトップを維持したMOTUL AUTECH GT-R |
各チームタイヤ交換、ドライバー交代を行い、ここで順位を落としたのがZENT CERUMO。PETRONAS TOM'S、IMPUL GT-R、RAYBRIG NSXに先行され事実上の5位へ。ここからZENT CERUMO立川祐路の怒濤の追い抜きが始まる。30週目の130Rで外からRAYBRIG NSXを、43週目のスプーンでIMPUL GT-Rを抜き2位のPETRONAS TOM'Sの脇阪に迫る。
残り10周を切ったあたりでトップのMOTUL GT-Rが徐々にペースダウン。右リアタイヤにトラブルが出て残り6周のバックストレートの入り口で脇阪に2位を明け渡す。3位の立川も130R手前でMOTUL GT-Rにアウトから並びかけるが、コーナー侵入でアウトに振ったMOTUL GT-Rと接触してコース外に押し出される。ほぼ全輪がダートに落ちた瞬間にはクラッシュかと思わせたが、ひるむことなくそのまま追走しシケインでインを刺し2位浮上。
さらに翌周、残り5周のシケインで2位の脇阪にアウトから並びかけ、ボディーを接触したまま2台併走で進入。立ち上がりでイン側をキープしついにトップへ。この後HASEMI TOMICA GT-RとRAYBRIG NSXが同じシケインで接触。クラッシュしたHASEMI TOMICA GT-RにARTA NSXとGT300が巻き込まれ多重クラッシュとなりセーフティーカー導入。このまま先導車についてスロー走行のままゴールとなった。気迫の走りを見せた立川は国内GTレース最多の12勝目を獲得した。
最終順位は以下のとおり
1位 ZENT CERUMO SC430、立川祐路/リチャード・ライアン
2位 PETRONAS TOM'S SC430 脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー
3位 IMPUL カルソニック GT-R、松田次生/セバスチャン・フィリップ
4位 ENEOS SC430、伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム
5位 ROCKSTAR 童夢 NSX、道上龍/小暮 卓史
6位 KEIHIN NSX、金石年弘/塚越広大
■GT300はハンコックタイヤが初優勝
GT300は優勝候補のプリヴェ アップル 紫電がエンジン始動に手間取りピットスタート。最後尾から追い上げることに。予選で初ポールポジションを獲得したHANKOOK PORSCHEがスタートから独走。安定したペースで周回を重ね、ハンコックタイヤが初優勝となった。2位にはM7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7、3位にはエスロード MOLA Zが入った。
JSB1000の次戦は5月22日~24日に大分・オートポリスサーキット、SUPER GTは5月3日、4日に富士スピードウェイで開催される。鈴鹿サーキットで行われるビッグレースは、5月16日、17日に開催されるフォーミュラー・ニッポンとなっている。今年も各サーキットで白熱のレースが展開されそうだ。幸い休日はETCで高速上限1000円の恩恵もあるので、是非サーキットへ足を運んで、生のレースを観ていただきたい。
■西コースも着々と改修工事進行中
改修工事見学会では東コースしか見ることができなかったので、西コースの様子を紹介しよう。最終コーナーから西コースへ向かうと、新たに作られたQ2スタンドがある。ほぼ工事は終わった状態だが、まだ今回は入ることができなかった。同様にダンロップコーナーに面するEスタンドもまだ開放されていない。
130Rを見下ろすGスタンドは下半分が完成した状態となっていた。上半分も造成は完了しているので、近いうちに完成すると思われる。ヘアピンも入り口のLスタンドが造成まで完了、Iスタンドも従来のスタンドの手前に増設される部分が造成まで済んでいる。Jスタンドへの階段や細かな通路の改修も進んでおり、また次回、鈴鹿サーキットに来る頃には西コースも様変わりしていそうだ。また機会があったら報告しよう。
ヘアピン常設スタンドからパノラマ撮影 |
最終コーナーRスタンドから東コースをパノラマ撮影 |
■フォトギャラリー
(奥川浩彦)
2009年 4月 23日