ニュース

松任谷正隆氏、エッセイ集「車のある風景」出版記念イベントに出演 クルマの過去から未来まで安東弘樹氏とクルマ談義を展開

2023年10月31日 開催

安東弘樹氏(左)、松任谷正隆氏(右)

 音楽プロデューサーで自動車愛好家で知られる松任谷正隆氏が10月31日、自身のエッセイ集「車のある風景」発売を記念した出版記念イベントに出演。東京・代官山 蔦屋書店で開催されたイベントでは、松任谷氏とフリーアナウンサー・安東弘樹氏のトークイベントが開催され、クルマの過去、現在、未来についてクルマ談義が展開された。

 エッセイ集「車のある風景」は、JAFメディアワークスが発行するJAF(日本自動車連盟)の機関紙「JAFMate」で連載中の人気エッセイ「車のある風景」を単行本化して発売するもの。松任谷氏が、クルマにまつわるさまざまな出来事や思いを軽妙に綴ったエッセイ集で、「JAF Mate」から生まれた新レーベルJAF Mate Booksの記念すべき第一弾作品ともなる。

 同書では、未発表の新作を含む全61話で構成され、味わいのあるカラーイラストや貴重な写真のほか、松任谷氏が懐かしい愛車とそのエピソードについて語る「僕の自動車回顧録」も特別付録として収録されている。

音楽とクルマの関係から自動運転の未来までクルマ好き2人がトークを展開

松任谷正隆氏のエッセイ集「車のある風景」出版記念イベント

 松任谷氏と安東氏はともに、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務めるなどクルマ好きで知られる。トークショーでは、憧れの存在であったクルマが身近な存在となり、テクノロジーによってクルマも進化してきたこと、さらにAIの登場によって変化していく未来について想像するなど、クルマ好き同士のクルマ談義が展開された。

 クルマに対する憧れについて、松任谷氏は「今年72歳になりますけども、僕が生まれた年くらいって戦後は終わってなかった感じなんです。だからクルマを持ってる人はすごい少なかったし、街を走ってる外車は大体、駐留軍の払い下げのアメ車みたいな。だからアメ車にみんな憧れる。で、その後のテレビ番組が今では信じられないけど、ゴールデンタイムが大体アメリカのホームドラマだったんです。それがやっぱりすごい刷り込まれて、今考えるとそこらへんで影響を受けて、アメリカのホームドラマでは大抵必ずクルマありますから……、憧れた。自分がクルマを持つなんて信じられなかった」と話すとともに、クルマへの憧れからトヨタ自動車「パブリカ」の発売に合わせて行なわれた車名の公募に、「ファミリア」と書いて応募したことなども明かされた。

 また、トークの中で、現在は自動車の大転換期にあることについて話題がのぼると、松任谷氏は「安東さんはよくご存じのように、今、クルマの大転換期じゃないですか。本当にアナログレコードのような存在にエンジンのクルマはなってくる。でも、僕はなくならないと思ってるんです。貴重なアナログ盤はとっておきたいなみたいなのがないですか」との思いを語るとともに、「僕も電気自動車を持ってます。新しいものもおもしろいし、古いものもおもしろい。配信の音楽も好きだし、アナログ盤も好き」と、新しいものに対するバランス感覚を語った。

 バッテリEVとエンジン車のユーザーに対立構造があるではないかという安東氏の指摘に対しては、「それは、僕は時間が解決するような気がします」とも話した。

 テクノロジーの進化が音楽とクルマに与えた影響について話す場面では、松任谷氏は「僕は音楽を作ると言っても音を作る編曲家なので、楽器を使って、ミュージシャンを使って音を組み立てていくんですけど、クルマがキャブレターから燃料噴射に、特にそれが電子的に燃料噴射する時代になっていくのと、音楽が生のミュージシャンたちの中にシンセサイザーが入っていく時代があるんですよ。それ、すごい同じようなタイミングなんです。クルマを見ていると音楽が分かるかもって思ったことがあるんですよ。で、逆に音楽を聞いていると、クルマはこうなるんじゃないのって分かるかもって思ったことがある」と話した。

 そして、AIの登場によって実現しつつある自動運転の未来について、松任谷氏は「今は僕、音楽の方が少し先行ってると思っていて。ヒューマンとシンセサイザーが共存してる、その割合がちょっとずつ違うんでいろんな音楽ができるんだけど……。もちろん、人だけのものもあれば、機械だけのものもあるんだけど、なんかこう全般的に見てミックスなワールドになっている。それを考えていくと、自動運転のワールドと人が運転していくワールドが共存していきそうなニュアンス」にあるとの印象を述べるとともに、「ただね、1個だけあって、やっぱり僕は一般道を自動運転っていうのは、あんまりないような気がしてるんです。やっぱ高速道路だけじゃないのかなっていうのが、なんとなく僕の感じ」と付け加えた。