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ジャパンモビリティショー2023、家族連れからもビジネスマンからも支持されて111万2000人

東京モーターショーからモデルチェンジして行なわれたジャパンモビリティショー2023

日を追うごとに来場者が増えたジャパンモビリティショー

 ジャパンモビリティショーが成功だったのか? 失敗だったのか? 誰でも簡単に分かるのが、入場者数となるだろう。コロナ禍前となる前回の東京モーターショー2019の入場者数は約130万人。今回は、会期が1日短い中で111万2000人。主催者である自工会が一つの目安としてあげていた100万人を突破した。

 自工会 豊田章男会長は、最終日に行なわれたマツコ反省会で、100万人以上集まるイベントは夏の高校野球と例を挙げていたが、東京モーターショーからモデルチェンジしたジャパンモビリティショーでも、自動車業界の魅力を裏付けられたことになる。

ジャパンモビリティショー日別来場者数

10月26日(木曜日) プレスデー・オフィシャルデー 8,023人
10月27日(金曜日) 特別招待日 36,932人
10月28日(土曜日 )一般公開日 126,979人
10月29日(日曜日 )一般公開日 123,079人
10月30日(月曜日 )一般公開日 109,461人
10月31日(火曜日 )一般公開日 95,530人
11月1日(水曜日 )一般公開日 79,644人
11月2日(木曜日 )一般公開日 96,314人
11月3日(金曜日 ・祝日)一般公開日 158,874人
11月4日(土曜日 )一般公開日 143,685人
11月5日(日曜日) 一般公開日 133,523人
合計 1,112,044人

 もちろん、100万人を超えたのは開催期間が長かったからという面もある。ただ、その入場者数を見てみると、安定して10万人近くの数字になっており、日を追うごとに入場者数が増えているのが分かる。

 これは、ジャパンモビリティショーの評判がよかったことを示しており、後半にかけて入場者数の増えるイベントは口コミで「よかった」というポジティブな意見が広がったことにほかならない。もちろん、口コミなのでポジティブ・ネガティブ両方ともあるのが常で、評者によっては自分に都合のものだけを見て(ネットはとくに、自分の見たいものだけを見る傾向にあり、使いこなしがなかなか難しいメディアでもある)しまいがちだが、ポジティブに振れていたことは入場者数が示しているだろう。

 この辺りは、入場者数の裏付けがなくても、プレスデー以外にきちんと足を運んでいたら分かること。記者も、3連休では11月3日、5日と訪れたが、とくに11月3日は何が起こっているのかと思うほどの混雑だった。明らかに前週の週末より多く、この時点でジャパンモビリティショーが多くの人に受け入れられたのを確信できた。

家族連れが多かったジャパンモビリティショー

 実際、一般公開日に足を運んで気がつくのが、家族連れが多かったこと。その背景には高校生以下無料という施策もあるとは思うが、それにしても多かった。

 小学生や中学生と思われる若い人だけでなく、ベビーカーを多数見かけた。東ホールは自動車メーカーの出展が多く、とくに混んでいたのだが、メーカーによってはベビーカーなどの優先レーンを設けて子供連れに配慮しているのを見ることができた。これは、ぜひ次回のショーでは、展示台を設けるような自動車メーカーには徹底していただき、ジャパンモビリティショーの特色として打ち出していただきたい部分だ。

 ベビーカーは、おそらく人生で初めてのモビリティであるかもしれず、子供たちと保護者がよい印象を持ち帰ることは、モビリティショーを継続的に開催していくために大事な要素となる。

 記者自身、広島から東京に親の転勤で引っ越してきて、東京モーターショーに連れて行かれて、とても衝撃を受けた記憶がある。大混雑でバスが動かず、銀座辺りからえんえんと晴海まで歩かされ、弟と一緒にぶうぶう文句を言っていた。当時、我が家のクルマは日産サニーだったため、日産のあった2号館(のはず)に行った記憶があるが、子供のため近寄れず、壁に飾ってあったR383の印象しか残っていない。そして、帰りもえんえんと歩いて、勝鬨橋の先で何かを食べたという思い出が、自身初のモーターショーだった。

 非常につらい思い出ではあるが、広島の田舎から(当時は安佐郡)東京に出てきて、なんかすごく人が一杯いて、なんかすごいショーだったくらいしか覚えていない。それに比べると、確かにジャパンモビリティショーの人は多かったが、子供連れに配慮されていて、よいショーだなと思った。

ビジネスマンが多かった、平日のジャパンモビリティショー

 今回、ジャパンモビリティショーに変わって、大きく変化した印象を受けたのが、平日におけるビジネスマンの多さだ。端的に書くと、スーツ姿を多く見かけた。

 平日の午前中からスーツ姿でコンセプトカーのある東館、サプライヤーのある西館などに向かい、さまざまな人を見ることができた。

 また、東の7や、西の2にはスタートアップ系の企業が多く、そうしたところでもスーツ姿を見ることができ、情報収集? 商談?などをしていたのだろうか。

 そして、昼過ぎにはフードトラックの並ぶエリアでテレワーク。PCをたたいている人も多かったし、Web会議をしている人も普通に見かけた。コロナ禍以降の働き方改革を感じた部分だ。

 このスーツ姿が多かったのは、単なるクルマを見に行くショーから、モビリティの未来を見つけるショーに変わったことが大きいだろう。会社が終わってから行くイベントではなく、モビリティショーがビジネス的な側面を持つことと、働き方の変化もあり会社にきちんと届を出して行けるショーになった兆候だろう。

 それを象徴するのが、ジャパンフューチャーセッション。自治体、官僚、業界のさまざまな人が登壇。将来の話、今の話、問題点や考えていることなどを聞くことができた。エンタメコンテンツではないため、聞く側にある程度の興味がないと楽しくはないものだが、聞き手の意識でいくらでも面白く聞けるものになっていた。これをつまらないという人もいたが、それはその人の興味が向いていないだけとも言えるし、興味の方向が合わなかったということが最大の要因かもしれない。

 これだけビジネスマンが増えたイベントとして踏み出せたのだから、平日のジャパンモビリティショーではもっとビジネスマンに配慮して、朝9時から始まる(昼過ぎには会社に行ける)とか、テレワークできるエリア(クルマでもいいかもしれないが)、インターネットと電源環境の充実を図る必要があるのかもしれない。

 いずれにしろ、ビジネスマンの行けるショーの要素を持つことで平日に大きく入場者数が落ち込まなかったことが、100万人以上の集客につながったのは間違いない。

食べるところに困らなかった、ジャパンモビリティショー

 今回の、ジャパンモビリティショーで、最もうれしかったのが食べるところに困らなかったこと。一般的に大規模イベントでは、食べるところとトイレに困ることは満足度の低下につながるのだが、多くのフードトラックが集まることで、まったく食べることができないという人は少なかったのではないだろうか。

 記者自身は武蔵野市に住んでおり、武蔵野市の「肉山」が出店しているということで、結構そこで食べていた。ただ、飲みものを買うのは自販機をあらかじめ見つけておくなど一工夫が必要だったので、飲み物系のフードトラックがもう少し多いとうれしかったかもしれない。個人的には、東の7の横で売っていたレモンスカッシュは美味しかった。

 一方、これらフードトラックの配置がどうなっているのか、知る手段が少なかったことは欠点だろう。例えば、南の1あたりのフードエリアはあまり告知されておらず、ある意味穴場として利用させていただいた。

 また、デモランエリアで牛タンを頼んだら、あの「利久」のフードトラックだった。名店の牛タンを偶然食べることができたが、本来は狙っていくべき案件でもあるだろう。来場者の運や工夫に頼っていた面はあるが、食べることができれば不満も和らぐので、トラック案内を充実しつつ、日本最大のフードトラックイベントとして発展してほしいところだ。

ワクワクできた、ジャパンモビリティショー

 ジャパンモビリティショーにこれだけ多くの人が集まったのは、子供が多かった、ビジネスマンが多かったというのももちろんだが、何よりもクルマ好きもワクワクできる多数のクルマが展示されていたからだろう。本誌でも多くの記事を掲載したが、マツダ「アイコニック SP」、ホンダ「プレリュード コンセプト」、トヨタ「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」、レクサス「LF-ZC」など世界初公開車が盛りだくさん。とくに人気を集めたクルマに共通していたのは、市販化が近そうだと思われるものであったことである。

 プレリュード コンセプトなどはその典型だが、ホイールアーチのプレスラインの面出しが行なわれており、一般日に訪れた人たちがプレスラインについて論議しているなど、市販化への高い期待があった。

 また、これはトヨタブースが典型だが、プレスデーは記者席であったところを一般公開日には取り払い、市販車や市販予定車を展示。会期中に正式発表のあった新型クラウンセダンや、新しいセンチュリーには大きな注目が集まっていた、というか近づくのも困難な状況が起きていた。

 西館のサプライヤー展示の場所にも、数々の新技術が展示されており、クルマ好きも、ビジネスマンもワクワクできるものになっていた。前回から好評だった、トミカやキッザニアなどのコンテンツもしっかり用意され、子供連れにも満足できるイベントになっていた。

 ワクワクという意味では、H2エナジーフェスティバルというコンサートイベントも新しいお客さんを引きつけていた。水素で発電した電気を使って、音楽コンサートやお笑いを提供するものだが、若い女性などこれまでのモーターショーでは見られなかったお客さんが訪れた。

 もちろん、これらのお客さんはあまりクルマに興味はないかもしれないが、そのような人たちもモビリティショーに訪れたということは意義があるのではないだろうか?

 モビリティと関係ないことをしているという意見も見られたが、例えば自動車のイベントで1日で最も多くの人を集客するインディ500は、約30万人以上の人が決勝日に集まる。ただ、全員がレースを見ているわけではなく、インディドッグを食べてお酒を飲んでいたりするほか、オーバルの中心部で行なわれているコンサートには数万人が集まっている。実際、記者も2017年のインディ500取材時にライブ会場を取材しようと思ったが、ベテラン記者に「あそこに行くと帰ってこられなくなるし、何が起きるか分からない」と言われ「インディすげぇ」と取材をあきらめたことがある。これは極端な例だが、大規模イベントとはそのように何もかも飲み込んでいくものだろう。

 大事なことは、モーターショーのままであったら絶対に訪れない人たちがH2エナジーフェスティバルには訪れたということだ。その人たちが水素発電を体験し、「クルマのイベントって楽しい、モビリティって楽しい」という印象を少しでも持ち帰っていただいていたら、新たなファンの獲得として大成功ではないだろうか。多くの人にモビリティに触れるきっかけを作った大切なイベントと言えるだろう。

 ただ、H2エナジーフェスティバルは、コンサートなどが行なわれていないときはデッドスペースとなっていたのも事実。スペースの有効活用という意味では、まだまだ工夫が必要なコンテンツとなっていた。

スタートアップも驚いた、ジャパンモビリティショーの集客力

豊田章男自工会会長とマツコ・デラックスさんによって最終日に行なわれた大反省会
日あたり約10万人

 今回のジャパンモビリティショーの新たな挑戦は、モビリティのスタートアップを呼び込んだこと。日本のもの作りの中心となる自動車産業と、未来のもの作りなどに期待が集まるスタートアップのミートポイントになったことだ。

 スタートアップは、豊富な人材や設備を持つ自動車産業と出会うことができ、自動車産業も成熟した企業にはない熱さをスタートアップ企業から感じていた。

 そのスタートアップの人たちや、スタートアップ企業目当てで訪れた人が驚いていたのが、とにかくジャパンモビリティショーに訪れていた多くの人。実際、初めてモビリティショー(モーターショー系のイベント)に訪れた会社の同僚は「なんでこんなに人がいるんすか?」と言っていたし、出展者の方も「とにかく人が来てくれている」と語っていた。

 今回のジャパンモビリティショーでは、1日約10万人が東京ビッグサイトに訪れており、通常のIT系の展示会と比べると約10倍。日本のIT系でビッグイベントとなるCEATECで1日約2万人なので、5倍の集客力があったことになる。

 子供時代に東京駅から晴海まで歩くのがモーターショー、バイクに乗れるようになってからは、幕張ICのはるか手前から渋滞するのがモーターショーとたたき込まれた自分は、「なんでこんなに人がいるんすか?」と聞かれても、「クルマだから」という面白味のまったくない答えを返すしかなかった。

 クルマ・バイク・商用車はそれだけ人々の心を捉える製品であるし、豊田章男自工会会長が常に語っている「クルマは“愛”がつく工業製品」であることを、同僚の質問で改めて実感したしだいだ。

あまりに多くの人が訪れたためか、ホスピタリティの低下もあったジャパンモビリティショー

 ここまで初めて開催されたジャパンモビリティショーの印象を書いてきたが、東京モーターショーからの改革はうまくいったように見える。しかしながら、うまく行き過ぎて起きた問題を感じることがあった。

 それは、主催者側がこれだけ多くの人が訪れることを想定していなかったこと。

 もともと、数々の待機列が発生していたジャパンモビリティショーだが、会期後半の3連休では、信じられないような光景を見ることがあった。記者は、3連休は最初の3日と最後の5日に訪れたのだが、そこかしこに人があふれ「○○分待ち」という表示を見ることができた。

 たとえば大人気のホンダジェットでは最大で90分待ち、自工会のおみやげショップでは入場に45分待ちといった具合。未来のモビリティを見つけに行くショーではあったが、ゆりかもめを降りたところから大混雑が起きているところもあり、道路は駐車待ちのクルマで渋滞している。

 南館の上にある人気のキッザニアに行くために、西館の長大なエスカレータでは長大な待機列が発生するなどもあった。

 もちろんキャパシティを超える人が入ったことが原因だったが、たとえば西館のエスカレータ待ちに関しては、西館で上に上がらず南館まで歩けばガラガラのエレベータがあるため、案内不足という面も見られた。

 東館はとても混んでいたが、南館は比較的空いており、東館と南館を結ぶ導線があれば緩和するように見える部分もあった。なにより、東館には東館の地図だけ、西館には西館の地図だけが掲示されており、「想定外の人の多さだったんだな」ということも感じられる状態。トータルでの導線を図ることで、緩和する部分も見られた。

 また、会場で多く聞かれた声が、「なぜ最新の市販車がないの?」ということ。コンセプトカーなどは展示されているのだが、発表日の近い新型車を期待して訪れた人も多かったようだ。トヨタブースでは、プレスデーでは記者席だったエリアを一般公開日は転換。新型クラウンセダンやクラウンスポーツ、新しいセンチュリーを展示するなどして、“ものすごい人数”の人たちが押し寄せていた。将来買えるかもしれないコンセプトカーも人気はあるが、今買えるクルマへの興味はさらに高いということだろう。

 いろいろなイベントに訪れていると、人気が続いているイベントは“買える”ということがキーになっていることを感じる。たとえば、日本で人気のオートサロンはカスタムカーが買えるし、コミックマーケットはマンガなどが買える。何かとイベントの例として挙げられる、CES(シーイーエス、昔はコンシューマーエレクトロニクスショーであったが、最近は最新技術の見本市のような位置づけとなり、主催者はシーイーエスと呼んでいる。日本ではセスと呼ばれることが多い)の本質は、Eureka Parkに出展する数百のスタートアップと話ができ投資できることだ。GoProなどはその典型で、GoProに投資ができた企業、代理店契約ができた企業は、よい買い物ができたということになる。

各種イベントの日あたり来場者数
10万人のレベル

 翻ってジャパンモビリティショーを見ると、クルマが買えないにもかかわらず、これだけの集客ができていることに驚く。で、ありながら、訪れる人は購入できる新型車を見たいと思っているし、気に入ればその場で買いたいと思っている人は多いだろう。もちろんディーラーの問題などもあるだろうが、今回はスマホアプリでさまざまな案内をしていた。

 であるなら、住んでいる地域を同意を得て登録し、ショーでクルマを見て気に入ったら、近隣ディーラーでの試乗予約、引いては購入予約などもできるのではないだろうか。モビリティショーが人気のショーであり続けるためには、訪れる人の強い要望にどれだけ応えられるかにあるでのはないだろうか。

 そもそも、最近引き合いに出される中国の自動車ショーはクルマが買える、ここで大きく差が付けられている部分でもある。

ジャパンモビリティショーへの変革は成功だったのか?失敗だったのか? そして毎年開催は?

 ここまで東京モーターショーからの変化点を多く書いてきたが、これだけの変革があったからこそ多くの人が引きつけられたショーになったと言える。冒頭に記したが、後半に入場者数が増えているのは3連休という日並びもあるが、ショーの評判がよく、多くの人が訪れてみようと思ったことにほかならない。このような大規模イベントは近年になく(そもそも豊田会長の言っているように100万人を超えるイベントは、ほかに夏の甲子園しかない)、これを失敗と位置付けるのは、あるバイアスをかけて見るしかないだろう。

 では、大成功だったかというと、想定外に多くの人が訪れた結果、ホスピタリティが悪化している部分も見られ、自動車業界だけに次回へのカイゼンが必要な部分だ。また、最新の市販車が見たいといった来場者の要望に応えていないところもあり、2年に一度大規模にコンセプトカーを見せるという形を続けるだけのショーが続くかは挑戦になる。

 そこで気になるのが、豊田自工会会長が会期の初期に語った「『毎年毎年、多くの方に見ていただこう』という声が沸き起こってきたら、成功の一つではないかというふうに思います」という、毎年開催の可能性。

 今回のショーの集客の一つの要因がビジネス客であり、最新のモビリティ情報を収集するには、2年に一度ではショーそのものが忘れられてしまう。技術の進むIT業界では、多くのイベントが年次開催であり、CES、CEATECなど例を挙げるのに困らない。また、企業の予算の組まれ方を見ても、年次開催のほうが「この時期にこのショーがあるから、ここで情報収集」とやりやすく、望ましい方向性だろう。

 では、出展者はというと、自動車メーカー以外に意識して聞いてみたところ、「これだけ人が入るならあり」との声が多かった。ただ、多かったのは「会期が長すぎる」との声で、土日を含み2週間にわたって人を用意するのが難しいとのこと。「1週間なら~」という話を数か所で聞くことができた。

 一方、年次開催を望まない声を聞くことが多かったのが、東京モーターショー以来の従来からの出展者。これらの企業では、2年に一度という予算組みがされており、大規模にお金や人、時間をかけてコンセプトカー、ブースを作り込んでいる。そのため、そのレベルで毎年やるのは難しいとの声が多かった。

 ただ、イベントを訪れるお客さんが望んでいるのは、コンセプトカーもそうだが、今買えるものにアタッチできるかどうかというのは、一般公開日を見る限り明らかだ。最新のクルマを見て触って買えるというのなら、販売売上という別のビジネスの可能性も見えてくる。

 これはクルマだけでなく、例えばタイヤについても同じで、一番人気のあったタイヤ記事は、市販の近いコペン専用のフィン付きタイヤだった。

 このことから見えてくるのは、日あたり約10万人という規模は維持しながら、未来も見えて、最新のクルマや製品を買いたいという来場者の期待に応えるショーではないだろうか? 実際、自工会のおみやげショップに45分も並ぶという事態は、何かを買って帰りたいという気持ちの表われにも見えた。

 平日はビジネスマンの要望に応え、土休日は家族連れの要望に応えるということができるなら、年次開催の可能性も見えてくるだろう。

 今回のジャパンモビリティショーの意見で多く見かけたのは、外国ブランドの出展の少なさ。だが、日にクルマ購入予備軍が10万人集まり、多くのクルマが売れるのであれば、出展しないという選択肢も減るのではないか。“買える”イベントにすることで、いろいろ変わってくる部分もあると思う。

 今回、豊田会長は会期冒頭「東京がジャパンとなり、モーターショーがモビリティショーに変わる。名前だけの変化じゃないなぁというのを、相当感じ取られるのではと思います」と語っていた。名前だけの変化だけではなく、未来の可能性をたくさん感じられるショーであったのは間違いない。

 親に連れられて訪れた小学生時代、免許を取得する前にバイクに乗れた中学生時代、そして怒濤の新型バイクラッシュの高校生時代(カメ!とかの時代ですね)、幕張に移った大規模化時代と、これまで多くの東京モーターショーを自分なりに見てきたが、ジャパンモビリティショー2023は大きな変化があったにもかかわらず、最もワクワクさせてくれた。控えめに言って、最高でした。