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トヨタ、READY RoboticsとNVIDIAと協業しロボットシミュレーション環境 「機械学習とAIが製造プロセスの進歩を可能に」

トヨタ、READY RoboticsとNVIDIAと協業しロボットシミュレーション環境構築

READY Robotics、NVIDIA、トヨタが協業

 ロボット用OSを提供するREADY Roboticsは1月17日、トヨタ自動車およびNVIDIAと産業用ロボットで協業すると発表した。トヨタは、READY RoboticsのForgeOSをNVIDIA Omniverse上で開発されたロボットシミュレータであるNVIDIA Isaac Simと連携して採用、トヨタのアルミニウム熱間鍛造生産ライン向けに最先端のシミュレーションロボットプログラミング環境を構築していく。

 READY Roboticsは、この画期的なコラボレーションにより、トヨタの製造工程における安全性と効率性が向上するという。通常熱間鍛造生産ラインにおける鍛造用ロボットをプログラミングするには、プログラミング中に金属部品が高温のままである必要があり、安全性に大きな課題があるとする。NVIDIA Omniverse環境におけるNVIDIA Isaac Simロボットシミュレーション、ForgeOSをシームレスに接続することで、複雑なロボット熱間鍛造ルーチンを素早くプログラムし、最適化することができるとしている。

 このSIM-to-Realワークフローでは、ForgeOSが工場フロアのセル(生産単位)からオリジナルのNVIDIA Isaac Simシミュレーションにリアルタイムの生産データをリレーでき、生産状況のリアルタイムデジタルツインも可能になる。

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機械学習とAIが製造プロセスの進歩を可能にする未来を見すえる

 トヨタ自動車 素材材料技術部グループマネージャー 鈴木一広氏は、「ForgeOSのユニークなアーキテクチャは、NVIDIA Isaac Simのシミュレーション機能と物理システムの制御を橋渡しするため、この生産ラインに必要なSIM-to-Realワークフローを可能にします。つまり、シミュレーションでプログラムを作成し、そのプログラムを転送した後、ForgeOSを使用して実際の生産データを取得し、プロセスを反復的に改善することができるのです」「私たちは、機械学習とAIが製造プロセスの進歩を可能にする未来を見据えています。しかし、すべては現在のプロセスを改善することから始まり、同時に工場から有用なシミュレーションへとデータを抽出します」とコメント。

 NVIDIAのEmbedded and Edge Computing担当バイスプレジデント Deepu Talla氏は、「産業プロセスを実世界に展開する前に高忠実度でシミュレーションすることで、コストを削減しながら生産性と安全性を大幅に向上させることができます」「トヨタとREADY Roboticsのコラボレーションは、NVIDIA Isaac Simのような、製造業における産業デジタル化の可能性を解き放つ技術の先駆的活用の素晴らしい例です」とコメントしている。