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裾野市で実証実験を行なった「LED照明を活用したスマート道路灯」の新たな活用法を京都女子大学学生が提案

2024年2月1日 開催

裾野市役所でLED照明を活用したスマート道路灯の新たな活用法について京都女子大学の学生が発表。裾野市長やダッソー・システムズ社長、NTTコミュニケーションズ担当者らが出席して発表に耳を傾けた

路面に「凍結注意」を表示する実証実験では住民の半数以上が「役に立つと思う」と回答

 2月1日に裾野市役所で京都女子大学データサイエンス学部の学生8グループによる「スマート道路灯の活用法・発展性」をテーマにした発表が行なわれた。

 これは、裾野市で2023年2月15日~3月31日に行なわれた「LED照明を活用したスマート道路灯による実証実験」に関連するもの。実証実験では、都市が抱えるさまざまな社会課題の解決と人々の暮らしの安全安心に寄与する取り組みの一環として、裾野市石脇柳端橋の道路照明灯に光で道路にメッセージを描いてクルマと歩行者とのコミュニケーションをとれるスマート道路灯路面描画装置を設置し、路面に「凍結注意」という文字を描画することで、ドライバーへの注意喚起と減速を促して、クルマのスリップ事故や歩行者の転倒防止効果があるかの検証が行なわれた。

スマート道路灯の機能と結果
2023年2月15日~3月31日に行なわれた実証実験概要と結果

 実証実験期間終了後に住民へのアンケートをとった結果、路面に描画された「凍結注意」の表示を見て減速したという人が43%、停止したという人が9%と、過半数の人が表示に気付く効果があったという。さらに、「凍結注意」の表示は役に立つかというアンケートでは、80%の人が役に立つと思うと回答。今後、道路灯に欲しい機能のアンケートでは、「飛び出し検知+路面描画によりドライバーへの注意を促す」機能が21件、「子供が見守りポイント通過時に保護者へ通知がいく」機能が7件など、ドライバーへの注意喚起や子供の見守りといった要望があったとのこと。

2023年2月15日~3月31日に行なわれた実証実験に関する住民アンケート結果
道路灯に欲しい機能についてのアンケート結果

 これにより、総務省からの支援を受けて、1月18日~2月29日の期間にAI搭載スマート道路灯とローカル5Gを活用した交通安全課題の解決に向けた実証実験を実施。路面描画機能により、路面へ夜間に「速度注意」の文字を描画し、AI画像認識により一定速度を超えた車両に対して電光掲示板で「ゆっくり」を表示するという取り組みを行なっているとした。

1月18日~2月29日に行なわれている実証実験の概要

 今後は、飛び出しや子供の見守り、災害時の安全を確認する仕組みといった安心安全のモデルのほか、街中の利用モデルとしてライティングによって店舗に集客したり、混雑状況を見える化したりといった用途も考えているとした。

スマート道路灯ビジネスの今後の拡張性

 また、ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏も出席し、「昨年9月に京都女子大学の方々とパートナーシップを締結させていただきまして、データサイエンスに関わる人材育成においてコラボレーションという契約をさせていただいております。今回も、スマート道路灯といったかたちのプロジェクトを通してさまざまなアイデア、フレッシュな考えを期待しております。市民の方々が安心・安全な社会を構築できるといったところを、ぜひともこのプロジェクトを通じてご支援できればと思っております」と、あいさつし、今回の発表への期待を語った。

ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏

 京都女子大の学生による発表では、スマート道路灯の有効活用法として、駐車場の空き情報、ドライバーの疲労軽減効果を狙うメッセージの投影、街の様子をAIカメラで分析して出展計画を練るなどの街づくりへの活用、道路設備の点検と報告、カメラやセンサーで取得した花粉量のデータと風向きのデータを組み合わせて活用するなど、さまざまなアイデアが披露された。

 この発表を受け、裾野市長の村田悠氏は「スマート道路灯のさまざまな活用方法についてご提案いただきましてありがとうございます。さまざまな提案を聞かせてもらえて、この1時間充実したいい気分になりました。2023年9月にダッソー・システムズさんと連携協定を結ばせていただいて、実地で、そして実学で、こういうところに参加ができる学生さんはなかなかいないと思っております。ぜひこういう経験を生かして、AI社会に対応できる能力を有した人材、問題解決ができる人材、新しい価値観を創造できる人材、ということで頑張ってもらいたいなと思っています。今後とも、社会実験の場、そしてよりよい交通システムの構築など、社会基盤の整備をしていくために、裾野市はこの地をいつでも実証の場として使っていただけることをお約束いたしますので、これからもぜひよろしくお願いしたいと思います。スマート道路灯とローカル5Gのコラボが全国に広がることを願っております」と今回の実証実験による将来の発展に期待を話した。

村田悠裾野市長