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スズキ、新型グランドクロスオーバーバイク「GSX-S1000GX」 説明会 スポーツツアラーとアドベンチャーモデルを融合

2024年2月29日 開催

新型「GSX-S1000GX」

 スズキは2月29日、1月25日に発売した新型「GSX-S1000GX」の新商品説明会を行なった。

 同説明会では、新型GSX-S1000GXのチーフエンジニアである野尻哲治氏のほか、スズキ 二輪事業本部から、デザインについて小川和孝氏、電子制御について柳田祥之氏、車体設計について宮川敬太郎氏、走行性能について田畑廉氏が登壇して、新型GSX-S1000GXの特徴などを説明した。

新型GSX-S1000GXの開発を担当した、左から、スズキ株式会社 二輪事業本部の小川和孝氏、柳田祥之氏、野尻哲治氏、宮川敬太郎氏、田畑廉氏
新型「GSX-S1000GX」

S1000シリーズに登場するグランドクロスオーバー「GSX-S1000GX」

新型「GSX-S1000GX」チーフエンジニアの野尻哲治氏

 新型GSX-S1000GX開発の背景については、チーフエンジニアの野尻哲治氏から説明があり、GSX-S1000GXのクロスオーバータイプというのは、欧州を中心に今人気が定着しているカテゴリーで、世界市場で約3万台の市場規模があるという。「GSX-S1000GT」といったスポーツツアラーと「Vストローム」といったアドベンチャーモデルを融合させたクロスオーバーバイクがGSX-S1000GXであると説明した。

 野尻氏は「スズキは、1000ccクラスにおきまして、スタンダードカテゴリーとしてGSX S1000シリーズ、アドベンチャーシリーズとしてDL 1050シリーズを展開しておりますが、今までこのクロスオーバータイプのカテゴリーに対する商品はありませんでした。そこで、この3万台の市場に対応すべく、GSX-S1000GXを開発しました。日本におきましては、スタンダードカテゴリーの需要が根強いのですが、近年はアドベンチャータイプの需要も高まっております。スズキのVストロームのブランドも定着してきましたし、弊社が浜松で開催しているVストローミーティングにも、たくさんのライダーが来ていただけるようになっております。一方、日本ではまだこのクロスオーバータイプというものは認知されてるとは言いがたく、これから市場を開拓していくものと考えております」と、これから市場を拡大していくモデルであると位置付けた。

 今回投入するGSX-S1000GXを含めて、S1000シリーズは4バリエーション展開となり、直列4気筒 999cm3エンジンを搭載するスポーツネイキッド「GSX-S1000」を基本に、「KATANA」、スポーツツアラーの「GSX-S1000GT」、クロスオーバーバイクの「GSX-S1000GX」を展開する。

S1000シリーズの展開

 S1000シリーズについて、野尻氏は「スポーツネイキッドである、S1000をベースに、基本コンポーネントを共有しながら、サスペンションを含めた部品などを専用設計とすることで、用途に合わせた商品化を行ない、それぞれに、乗り味の違う車両に仕上げてあります。今回のS1000GXに対して、近しいと思われるS1000GTでは、オンロードツアラーとして作り込みを行ないましたが、今回のS1000GXでは、クロスオーバーとしての作り込みをしっかり行ないました」と紹介した。

G:Grand、X:Crossoverと「グランドクロスオーバー」を意味するGXを名称に採用

 GSX-S1000GXのコンセプトは、モデル名に採用された「GX」のとおり、G:Grand、X:Crossoverと「グランドクロスオーバー」としている。GSX-S1000GXのハンドルポジションは、GSX-S1000GTより38mm高く、43mm手前に設定された。また、V型2気筒エンジンを搭載するアドベンチャーモデル「V-STOROM 1050」のフロントサスペンションストローク160mm、リアホイールトラベル160mmという数値に対して、GSX-S1000GXではそれぞれ150mmを確保した。

「GSX-S1000GT」や「V-STOROM 1050」との比較
ハンドルポジション

 野尻氏は、「グランドクロスオーバーという、このコンセプトを満足させるために、ハイパワーな直列4気筒エンジン、17インチホイールを持ち、高いスポーツツーリング性能を発揮するGSX-S1000GTの長所と 直立的なライディングポジションとロングストロークサスペンションを組み合わせて、快適な走行が可能なVストローム1050の長所を持たせた、クロスオーバーとしてのGSX-S1000GXを設計することを考えました」と話した。

 GSX-S1000GXのシート高は830mmとなっているが、気になる足つき性について野尻氏は、「欧州仕様に関しましては、ヒップポイントをGTより15mm高くしましたが、日本市場は日本人に合わせてヒップポイントを上げず、シート高は830mmを確保しました。シート高と足つきに関しては、日本では特に注目されますが、私が身長163cmですけれども、そんな私が跨がってもそんなに気にならない、シート高の数値ほどには気にならなくなっております。その理由としては、シートのサイドを削り込みまして、足つき性に関しては十分考慮して開発いたしました。なので、830mmという数字よりも、実際の足つき性はよくなっております」などと強調した。

GSX-R1000のエンジンをベースにGSX-S1000GXに合わせた特性を採用
スズキ・アドバンスド・エレクトロニック・サスペンション(SAES)をスズキの二輪車として初採用
ロングツーリングの快適性を左右する空力特性にも力を入れた