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廃食油で飛行機を飛ばす「東京 油で空飛ぶ大作戦」 小池都知事、日揮HD佐藤CEO、JAL赤坂社長、ANA井上社長がSAFをアピール
2024年3月31日 19:28
小池都知事らが「東京 油で空飛ぶ大作戦」
クルマの世界では2050年のカーボンニュートラル達成に向かってさまざまな取り組みが行なわれているが、航空機の世界でも脱炭素に向けての取り組みが進められている。その一つがSAF(サフ、Sustainable Aviation Fuel)と呼ばれる燃料への切り替えを行なっていくことで、SAFを航空燃料として使うことでCO2排出量を下げようとしている。
大陸間横断が前提となる航空機の場合、カーボンニュートラル化にあたって重量エネルギー密度に劣るバッテリを主発動機に用いることは現実的ではなく、現状ではジェット燃料を低炭素のものに置き換える動きが進んでいる。その代表的なものがSAFで、主成分をカーボンニュートラルのものとすることで、低炭素化を図っていく。もちろん将来的にはカーボンニュートラル化は必須で、水素ジェットエンジンなどの提案が各所で行なわれている。
SAFを製造するには各種の材料が必要で、廃食油などはその一つ。日揮ホールディングスは国内初の大規模商用生産へ向けて国産SAF製造サプライチェーンの構築に取り組んでおり、JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)らとSAFの商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」を設立していた。
3月24日には、その取り組みを加速するため、人口1400万人を誇る東京都と連携。東京都が「ACT FOR SKY」に加わり、東京都知事 小池百合子氏、日揮ホールディングス 代表取締役会長CEO 佐藤雅之氏、日本航空 代表取締役社長 赤坂祐二氏、全日本空輸 代表取締役社長 井上慎一氏が出席しての発表会が行なわれた。
小池都知事は発表会場となった羽田空港が東京都にあることを紹介。東京都としても脱炭素化に取り組んでおり、航空業界における脱炭素化も大きな要素であると説明した。
その上で、「東京 油で空飛ぶ大作戦」を都として協力に後押しすることを明言。「食用油で飛行機が飛ぶことを多くの人に知っていただきたい」という。
すでに日本国外ではSAFの製造が始まっており、低炭素化を図った燃料を供給できる空港もある。一方、日本は国内にSAFの商用プラントがなく、日本国内でのSAFの給油は輸入したものを使用している。この辺りの構図は、クルマのカーボンニュートラル燃料と同様のものだが、航空業界では「東京 油で空飛ぶ大作戦」などの活動によって、SAF国産化を着実に進めている。