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トヨタ 豊田章男会長、ヒョンデ チョン・ウィソン会長を乗せて同乗ドリフトデモラン 「ビジネスからではなく、クルマ好き連合になろう」と
2024年10月27日 17:16
トヨタとヒョンデが韓国で共催イベント
トヨタ自動車とヒョンデの共催による「ヒョンデN×TOYOTA GAZOO Racingフェスティバル」が10月27日、韓国京畿道龍仁エバーランドスピードウェイで開催されている。このイベントは両社がモータースポーツ文化発展とファン層拡大のために開催したイベントで、2000枚用意されたチケットが売りきれるほどの人気になっている。
WRC(世界ラリー選手権)最終戦ラリージャパン(11月21日~24日)開催前のイベントとなり、現在WRCでチャンピオン争いをしている両社が国を超えて共催する大規模イベントになる。このようなイベントが国際イベントとして開催されるのは珍しく、両社のモータースポーツへの思いが現われているといってもよいだろう。
参加ドライバーもWRCドライバーチャンピオン争いのポイントリーダーであるティエリー・ヌービル(Thierry Neuville)選手や、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ=マティ・ラトバラ(Jari-Matti Latvala)代表に加え勝田貴元選手など韓国での人気の高い選手たちが参加しており、デモランも大いに盛り上がっている。
このデモランには、トヨタ 豊田章男会長とヒョンデ チョン・ウィソン会長も参加。豊田章男会長はモリゾウ選手としてチョン・ウィソン会長を助手席に乗せてデモランし、その後に2人でメインステージに登壇。豊田会長は最初に「サランヘヨ(愛しています)」とあいさつ。韓国のお客さんに気持ちを伝えた後、チョン会長とイベント開催の経緯について紹介していた。
「ビジネスからではなく、クルマ好き連合になろう」と豊田会長
トヨタとヒョンデはWRCでチャンピオン争いをしているほか、国際市場でもライバル関係にある。トヨタは世界最大級の自動車会社であるし、ヒョンデもグループにヒョンデ、KIA、ジェネシスとブランド展開。2023年の年間販売台数では、トヨタ自動車、フォルクスワーゲンに次ぐ世界3位の684万5000台を記録し、世界的な自動車メーカーへと躍進。また、海外市場の伸びも目立っており、世界的なレースへの参戦がその一助になっている。
ヒョンデの高級車ブランドであるジェネシスもWEC(世界スポーツカー選手権)への参加を表明しており、WRCに続いてトヨタのライバル関係になるバチバチの競争相手。その中で、会長同士が年初に会ってモータースポーツの普及に関して意気投合。10か月をかけて、この共催イベント開催にこぎつけたとのことだ。
ヒョンデ チョン・ウィソン会長との同乗デモランを終えた豊田会長に、ライバルでもあるヒョンデとこのイベントを共催したことについてうかがってみた。
豊田会長は、このイベントへの思いとして「ありがとうを伝えたかった」と最初にいう。豊田会長はクルマ好きでもあり、自動車会社の経営者でもあるが、クルマ好きがいてこその自動車会社であり、1人でもクルマ好きを増やしたいと思って走り続けている。
その感謝の思いを伝えるためにヒョンデとイベントを共催。チョン会長と思いも共有して、イベント開催にこぎつけた。ライバル関係と見られがちな両社だが、豊田章男会長は「象徴的だったと思う。トヨタの会長とヒョンデの会長が一緒に」「これが未来作りだと思う」と語り、このイベントから始まる何かの手応えを感じている様子。
トヨタもヒョンデも水素自動車であるFCEVを手がける量産メーカーであり、そのようなビジネス協業についての話もあったのかと思われるが、まずはビジネスではなく、クルマが好きだという思いが大切だと語る。
豊田会長は、「ビジネスだとさまざまなビジネスマターになるが、そうではなくて『クルマ好き連合になろう』。それが大事な気がする」といい、ビジネスありきで話すのではなく、クルマ好き同士の話がベースにあり、その上でクルマの未来を作っていくのが大切だと示唆する。
実際、豊田会長は25日までは日本でビジネスを行ない、26日には岡山国際サーキットのスーパー耐久でモリゾウ選手として予選に参加。その足で韓国へ飛び、ヒョンデN×TOYOTA GAZOO Racingフェスティバルに参加している。
イベントでもチョン・ウィソン会長とのデモランを行なったほか、イベントに訪れたお客さんのためにサーキットタクシーのドライバーとしてもアサインされており、ほかのドライバーが走るときには両手を挙げて応援している。
今回はトヨタ 中嶋裕樹副社長も同行しており、「(イベントの)責任は全部(中嶋が)取りますから」と中嶋副社長をイベントスタッフに紹介。「お客さまを笑顔にすること、そしてできればクルマ好きにすること」を朝礼でスタッフ同士の紹介とともに、全員に伝えていた。
豊田会長は、このイベントを単発ではなく「できたらこれを継続的に。これ単発で終わるのではなくラリージャパンにこの流れを持っていきたい」と、2028年まで継続開催が決まったラリージャパンへの後押しの意味もあると語り、積極的にイベントに参加していた。