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スバル大崎篤社長、トヨタ豊田章男会長のスバルデモランを見て「モリゾウさんに、ある意味ハッパをかけられた」
2024年11月18日 12:22
- 2024年11月17日 開催
スバルのニュル24時間参戦車両をトヨタ豊田章男会長がデモラン
11月17日、スーパー耐久最終戦富士を開催した富士スピードウェイにおいて、スバルのニュルブルクリンク24時間参戦車「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2024」のデモンストレーション走行が行なわれた。当初ドライバーは、スーパー耐久にも参戦する井口卓人選手とアナウンスされていたものの、実際にデモランが終わってみると運転席から降りてきたのはモリゾウ選手こと、トヨタ自動車 豊田章男会長。スバルのレーシングスーツを着てのデモランだった。
自動車メーカーのトップによるデモランも画期的(日本人はモリゾウさんのせいで当たり前と思いつつある部分があるが、レーシングスピードで走る経営者は世界的に見てもマレ)だが、そのトップが他社のレーシングマシンを200km/h近くで走行させているのも画期的だった。
しかも路面は雨上がりのウェットで、スバルの高速4WD性能を見せつける走りだった。
このデモランを出迎えたのは、スバル 代表取締役社長CEO 大崎篤氏。その大崎社長にモリゾウさんのスバルデモランを見た感想などを聞いてみた。
「モリゾウさんに、ある意味ハッパをかけられたなと」
──モリゾウさんがニュルブルクリンク24時間参戦車を富士スピードウェイでデモランするのを見て感じるところはありましたか?
大崎社長:スバルというブランドにおけるモータースポーツの柱は結構大きくて、ものすごいみなさん方に支援をしていただている。象徴的なレースがニュルブルクリンクの24時間レースなので、そこはやっぱりちゃんとこれからもやっていきたいなと思っています。そういう意味ではモリゾウさんに、ある意味ハッパをかけられたなと。私はそういう風に捉えて、がんばらなきゃいかんと思いました。
──今回のスーパー耐久では、スバルの航空機部門から出ているカーボンファイバーの廃材を、マツダがレーシング車両に再利用するなどの試みが行なわれていました。このような取り組みについての考えを教えてください。
大崎社長:うちはもともと航空機部門を持っていて、カーボン素材などは技術的に業界の中でも得意中の得意です。我々のクルマの技術部門との交流はもっともっと進めたいし、それが業界の中で、(マツダさんという)ライバルチームにも使っていただけるのは、こんなうれしいことはない。
みんながどんどん盛り上げてくれれば我々としてもうれしいし、ほかのチームのみなさんのメリットになるならもっとうれしい。
カーボン廃材の量は結構あり、我々がこれを(スーパー耐久の活動を)なんのためにやっているかと言ったら、カーボンニュートラルのためです。カーボンニュートラル社会の実現のためにやっているので、(カーボン廃材の利用は)その1つの取り組みにもなるわけです。
「水平対向エンジンは我々のアイデンティティ、大事に大事にこれからも育てて磨いていきたい」
──昨年、モリゾウ選手はラリー記者にスバルのラリー復帰を聞かれることが多すぎていやになったのか、ある時期からモリゾウ選手がスバルの復帰を即すポジションに回っているように見えました。昨年のJMS(ジャパンモビリティショー)でのデモランもそのように見えたのですが。
大崎社長:そういう意味ではプレッシャーをかけられているわけですが、なかなか難しいですね。出るとなると、具体的にどういう車両でどのようにやるかとか、なかなかレギュレーション上の難しいところもある。我々も離れてずいぶんたってしまったので、準備にも時間がかかるでしょう。長い目で見てください。
──今シーズンのスーパー耐久では、シーズン途中から参戦マシンをBRZからWRXをベースとした「High Performance X Future Concept(ハイパフォエックス)」へと変更しました。この意図は?
大崎社長:どちらも水平対向エンジンを搭載しています。BRZで自然吸気でFRでやり切って、ある一定の成果が見えました。これからは4輪駆動のターボで、カーボンニュートラル燃料で、可能性を追求する新しい局面に入ったと思います。
やはり一足飛びにバッテリEVにはいきませんので、ある一定というかかなりの長い期間ICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)系の商品は残っていくわけです。そういう意味では水平対向エンジンは我々のアイデンティティ、大事に大事にこれからも育てて磨いていきたい。(ニュル24時間やスーパー耐久参戦は)その象徴的な1つの取り組みですよね。
スバル姿で午前中を過ごしたモリゾウさん
今回スバルはモリゾウ選手のデモランをサポート。「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2024」の準備のほか、井口卓人選手、山内英輝選手、SDAドライバーなどもサポートを行ない、なんとスバル ニュルブルクリンク24時間チームの元監督である辰己英治氏もお手伝いに訪れていた。
辰己氏はSTI姿でピットにおり、お仕事は引退はしたものの「手伝ってよ」と声がかかったので、富士に来たとのこと。よく知られているように辰己氏は、モリゾウ選手が憧れるドライバーでもあり、モリゾウ選手の4WDの運転練習車がインプレッサであったことから縁も深い。
モリゾウ選手はサプライズで走ったため、あまりスバルのスーツ姿を見せられなかったのを気にして、ルーキーレーシングでのピットサービスはスバルのレーシングスーツ、スバルの傘、スバルのいすで実施していた。どこから持ってきたか分からないが、「ほら、スバルのいす」と指差すモリゾウ選手はどこかうれしそうで、ファンとともにスーパー耐久最終戦富士を楽しんでいた。