ニュース

トヨタ、セントレア、サントリーなど、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議と基本合意書を締結

2024年11月18日 発表

トヨタなど20社が参加した、水素・アンモニアなどのサプライチェーン構築を目指す基本合意書締結式

トヨタなど20社が水素・アンモニアなどのサプライチェーン構築を目指す基本合意書を締結

 愛知県が設立した「中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議」は11月18日、中部圏の会社など20社と、カーボンニュートラル実現に向け、中部圏における水素・アンモニアなどのサプライチェーン構築を目指す基本合意書を締結した。

 20社は、アイシン、愛知製鋼、出光興産、AGC、サントリーホールディングス、JERA、住友商事、セントレア(中部国際空港)、中部電力、デンソー、JR東海(東海旅客鉄道)、東邦ガス、トヨタ自動車、豊田自動織機、豊田通商、日本製鉄、日本ガイシ、ブラザー工業、三井住友銀行、LIXILで、それぞれにカーボンニュートラル化に取り組んでいる。

国への要請

 それら20社と、愛知県知事 大村秀章氏が一堂に会し、基本合意書締結式を行なった。

あいさつに立つ大村知事

 愛知県 大村知事は、「本日の締結は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、水素やアンモニアのサプライチェーンを中部で作っていくための大きな第一歩となります。日本一のモノづくり産業が集積するこの地域において、水素やアンモニアのサプライチェーンを構築することは、未来に向けてさらなる産業の発展および雇用の創出を考えております」「国には2030年までに立ち上がる案件への支援に加えまして、2030年以降の本格的な需要や需要を見込んで新たな方策構想というふうに示していただきたいと思います」と語り、中部圏の企業と一緒になってプロジェクトを進めていきたいと語った。

 週末はスーパー耐久最終戦富士で水素ハイブリッドハイエースのお披露目などを行なっていたトヨタ自動車 CTO兼副社長の中嶋裕樹氏は、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議 副会長としてあいさつ。大村会長のリーダーシップに感謝するとともに、集まったメンバーの力強い参画意識に感謝。「みなさま方と一緒に汗をかきながら、しっかりと未来に向けて持続可能な社会作りに貢献してまいります」と、力強く宣言した。

合意書に締結するメンバー

知多蒸溜所での水素活用を発表したサントリー

 サントリーホールディングスはこのタイミングに合わせ、知多蒸溜所での水素活用を発表。知多蒸溜所では蒸気を使用した連続蒸留器をグレーンウイスキーの製造に用いているが、サントリーホールディングス 常務執行役員 サステナビリティ経営推進本部長 藤原正明氏によると、その熱源を水素由来のものに切り替えていくという。

 知多蒸留所の立地も海に近いため、中部圏の利用形態(船による輸入なども考慮)に向いているといい、カーボンニュートラルによるウイスキー製造に取り組んでいく。

 すでに発表されているサントリー天然水 南アルプス白州工場および白州蒸溜所での水素利用は「やまなしモデルP2G」を活用。天然水を16MWの水電解システムで電気分解、グリーン水素を製造し両工場で熱源として利用していく。

 すでに水電解工場は白州蒸溜所の入口近くで建築が始まっており、2024年2月20日に起工式を実施。2025年の稼働を目指している。

選ばれる空港になるために水素が必要と語るセントレア

 セントレアを運営する中部国際空港 代表取締役社長 犬塚力氏は、水素が空港で供給できることが大切だという。現在、セントレアではFCEVバスやFCEVフォークリフトなどFCEVモビリティでの水素利用が進んでいる。

 それに加え、今後エアバスが水素航空機の構想を発表していることから、空港における水素燃料供給機能が大切になるという。水素航空機の時代に、水素が供給できない空港となれば、発着陸空港として選ばれず、空港としてのプレゼンスが下がっていく。

 選ばれない空港になってしまえば、空港としての売上も下がり、主要路線が張られていない空港は支線のルートも減ってしまう。実際、日本の空港ではカーボンニュートラル時代へ向けSAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)の不足が指摘されており、資源エネルギー庁などではSAFの確保や利用促進を呼びかけている。東京都でも廃食油で飛行機を飛ばす「東京 油で空飛ぶ大作戦」 などを実施するなど、エネルギー小資源国ならではの努力を行なっている。

 犬塚社長としては、水素やアンモニアをしっかり利用する体制を作り上げることで、航空会社に選ばれる空港を目指していくという。

合意書締結
会場となったSTATION AIでの記念写真