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トヨタ、4年連続8度目のWRCマニュファクチャラーズチャンピオン獲得でシトロエンに並ぶ 豊田章男会長は「私たちは“負け嫌い”」
2024年11月25日 10:24
トヨタが逆転で4年連続マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得、8度目でシトロエンに並ぶ
11月24日、マニュファクチャラーズチャンピオン争いがトヨタとヒョンデで激戦となっていたWRC(世界ラリー選手権)最終戦ラリージャパンがゴールを迎えた。今シーズンのWRCはドライバーズタイトル、コンストラクターズタイトルとも激戦で、その決着は最終戦に持ち越されていた。
ドライバーズタイトルは、ヒョンデのオィット・タナック選手、ティエリー・ヌービル選手に絞られていたが、コンストラクターズタイトルはトヨタとヒョンデが競り合う状況に。しかしながら、ヒョンデのほうが15ポイントリードしており、トヨタにとって逆転は非常に難しい状況だった。
4日間で争われる最終戦ラリージャパンにおいても、タナック選手が3日目まで首位。トヨタはコンストラクターズチャンピオン獲得がほぼ不可能な状況に追い込まれていたが、そのタナック選手が最終日の最初のSS(スペシャルステージ)となるSS17でゴール直前リタイヤ。これにより今シーズンの新WRCポイントシステムにより、土曜日に一旦確定していたタナック選手のポイントがなくなり、ドライバーズチャンピオンはヌービル選手が獲得した。
日曜日のみの争いでポイントを獲得するSuper Sundayではヒョンデが1ー2、トヨタが3-4となっていたため、最終ステージとなるSS21直前ではコンストラクターズタイトル争いは553ポイントの同点に。この最終ステージは最大5ポイントの追加ポイントが獲得できるパワーステージとなっており、日曜日の順位は逆転不能なものの、このパワーステージでの順位によるポイント積み増しがコンストラクターズタイトルの行方を決するものとなった。
約1年間、13か所で世界戦を行なってきた戦いが、最終戦最終日の最終ステージで決着がつく。新しく導入されたポイントシステムは非常に分かりにくいものだった(日曜日にタナック選手がリタイヤしたので、木曜日から土曜日で蓄積したポイントがなくなって順位が変わってしまう)が、とてもドラマチックな状況を生み出した。
ラリーでは1台1台走るため走行順によって、状況が刻々と変わっていく。まず、先手でポイントを積みましたのがヒョンデ勢。ミケルセン選手が好タイムをマークしてトップに立つ。次にそれを上回ったのがドライバーズチャンピオンが確定しているヌービル選手。ヌービル選手は渾身のアタックで8分40秒4と素晴らしいタイムを記録する。
そこに、後からアタックした勝田貴元選手が割り込む。これでヒョンデ勢は1位と3位。トヨタ勢は勝田選手の2位。この後に走るセバスチャン・オジエ選手、エルフィン・エバンス選手のどちらかがヌービル選手を抜かないと逆転は難しい状況に。すると先に走るセバスチャン・オジエ選手が、ヌービル選手に対してマイナスのスプリットタイムを記録し激走するさまがモニターに映し出され、それを応援するTOYOTA GAZOO Racingの面々が放映される。
オジエ選手は見事最速タイムを出して、エバンス選手にミスのない限りはトヨタがマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得した……と多くの人が思った。このときのタイム順位は、オジエ選手(+5)、ヌービル選手(+4)、勝田選手(+3)、ミケルセン選手(+2)。実は、エバンス選手が5位までに入れば同ポイントとなり、トヨタのマニュファクチャラーズチャンピオン獲得だが、エバンス選手がリタイヤすればこれまでのポイントがゼロになるし、タイムがわるすぎると1ポイント差で負ける可能性があった。エバンス選手はきっちり3番手タイム。これにより、オジエ選手(+5)、エバンス選手(+3)でトヨタ勢は8ポイント。一方、ヒョンデ勢はヌービル選手(+4)、ミケルセン選手(+1、エバンス選手の走りで順位が下がった)で5ポイント。このポイントがここまで同点だった553ポイントに積み増され、トヨタ561ポイント対ヒョンデ558ポイントとなり、3ポイント差でトヨタのマニュファクチャラーズチャンピオンが確定した。
トヨタのマニュファクチャラーズチャンピオンは4年連続で8度目。WRC歴代2位となりシトロエンに並んだ。ちなみに最多はストラトスや037で知られるランチアの10度になる。
また、トヨタは今シーズン、WRCのサポートレースとなるWRC2に「GRヤリス ラリー2」をカスタマーレーシング向けに市販化。サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組が最終戦ラリージャパンで2位に入ったことにより、こちらはドライバーズタイトルを獲得した。GRヤリス ラリー2は、世界最速で公道を走る市販レーシングカーとなった。
TOYOTA GAZOO Racing WRTコメント
豊田章男(TGR-WRT会長)
「私たちは“負け嫌い”」
この合言葉を口にしながら諦めずに最後まで戦い続けたTOYOTA GAZOO Racing WRTのみんなと、今日は心から喜び合いたいと思います。
ヤリ-マティ、カイ、トム、
エルフィン、スコット、
セブ、ヴァンサン、
貴元、アーロン、
カッレ、ヨンネ、
チームのみんなありがとう!
サミとエンニもおめでとう!
ヒョンデの皆さま、ヌービル選手、ヴィーデガ選手、タイトル獲得おめでとうございます。最終戦、最終日、最終ステージまで皆さんと戦えた2024年のWRCは本当にエキサイティングでした。我々がつくるラリー車の音や匂いを、東アジアの道でファンの皆さまに見てもらえることは、アジアの自動車メーカーの我々にとって大きな意味があることだと思っています。これからも一緒にアジアのモータースポーツを盛り上げていきましょう!来年もいい勝負しましょう!
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
ジェットコースターのようなシーズンでしたが、ラリージャパンに臨むにあたっては、タイトル獲得のチャンスがまだあることは理解していましたが、可能性はそれほど高くありませんでした。それでも、我々は最後の最後まで戦い続け、その上でどうなるのか様子を見るつもりでしたが、実際に最後まで戦いを続け、それがタイトル獲得につながりました。今シーズンの後半には、ラリーの最終盤でポイントを失うという悲惨な日曜日が3回ほどありました。一時は望みが断たれたようにも思われましたが、我々は反撃を続け、重要な意味を持つ日曜日を迎えることができました。これは、最後まで戦い続けること、決して希望を失わないことの大切さを示すものです。
エルフィン・エバンス(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
ラリージャパンの最終日はとてもエキサイティングな一日となり、喜ぶべき最終結果を得ることができました。チームにとってのホームラリーであるこのイベントで、再び優勝することができて本当に嬉しく思います。また、マニュファクチャラーズタイトルの獲得に貢献できたことも、本当に嬉しいです。チームのメンバー全員にとって大きな意味を持つことですし、その一員であることを誇りに思います。望んでいたようなパフォーマンスを、週末を通して常に発揮できたわけではありませんが、最後まで諦めずに頑張りました。今朝、プッシュしなければならなかったオィットには同情しますが、それによって私たちにチャンスが巡ってきました。それでも、最後までしっかり走りきり、必要なポイントを獲得するのは容易ではありませんでした。
セバスチャン・オジエ(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
ここ日本で最後のステージに全力で臨んだ結果、これ以上はないと思えるほど素晴らしいシーズンの終わりを迎えることができました。大きなプレッシャーを感じていましたし、パワーステージではオールオアナッシングの走りで挑みました。そして、このタイミングでいいパフォーマンスを発揮することができ、チームとともにタイトルを獲得できたことを非常に嬉しく思います。チームのみんな、そしてもちろんモリゾウ会長が喜ぶ顔を見るのは最高の気分ですし、シーズン中、チームのメンバー全員が努力してきたことが報われました。決して諦めてはならないということが、今回改めて証明されたと思います。
勝田貴元(GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
本当に厳しいシーズンでしたが、最後にマニュファクチャラーズタイトルを獲得することができたので、とても嬉しいです。今週末は辛抱強く走らなくてはならず、決して簡単ではありませんでしたが、なんとか最後まで走りきることができましたし、パワーステージではプッシュすることもできました。チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれましたし、彼らのサポートがなければ、成し遂げることができなかったと思うので、チームとチームメイトにはとても感謝しています。今週末は、多くのファンの皆さんが応援してくれました。自分自身は今回表彰台に立つことができなかったので、皆さんには申し訳なく思いますが、応援には感謝しています。