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ヘイキ・コバライネン選手がSPKの「シミュレーターラボ」初体験 最新機器の感想や2025年シーズンの意気込みを語る
2025年3月3日 11:36
初乗りシミュレーターでトップレベルのドライビングテクニックを披露
元F1ドライバーで、日本国内ではSUPER GTに参戦しながら全日本ラリー選手権にも参戦するなど、幅広いジャンルで活躍するヘイキ・コバライネン選手が、SPKヘリテージ・センター内にある「シミュレーターラボ」を訪問し、最新シミュレーターを体験したほか、今年のモータースポーツ活動の意気込みなどを語った。
今回の訪問は、コバライネン選手が所属し、2025年シーズンもトヨタの「GR YARIS Rally2」で世界ラリー選手権(WRC)RALLY JAPANと全日本ラリー選手権への参戦を発表している「Rally Team AICELLO(アイセロ)」が、レーシングギアなどを取り扱うSPKのサポートを受けることから実現したもの。
SPKのシミュレーターラボには、ポーランドの「Motion Systems(モーション システムズ)」が開発した電動アクチュエータ「QUBIC SYSTEM(キュービック システム)」を採用した筐体が4台設置してあり、コバライネン選手はまず、ストローク量が最大10cmもある大型アクチュエータを6本搭載したモデル「QS-S25」を試乗。マシンは「GR86」で、コースはニュルブルクリンク北コース。ソフトはアセットコルサを使用。F1ドライバー時代からシミュレーターを活用しているとのことで、初めて乗る筐体とは思えないほどスムーズなドライビングをいきなり披露してくれた。
続いて巨大スクリーンを備えつつ、4軸式アクチュエータ「QS-CH1」と水平稼働する「QS-CH2」を組み合わせたモデルを試乗。マシンはル・マン24時間レースなどWEC(世界耐久選手権)に使用されているTOYOTA GAZOO Racingのハイパーカー「GR010 HYBIRD」で、コースは同じくニュルブルクリンク北コース。
コバライネン選手は、「大画面は迫力もあって素晴らしい」と話しつつ、F1ドライバー時代に使っていたシミュレーターに対して最新機器は、「タイヤの表現がよりリアルに再現されている。当時のシミュレーターは、常に新品のタイヤを履いて走っている感じだったけれど、今のはちゃんと劣化していくし、熱を入れることでグリップしていく状態まで再現されているから凄く進化している」と解説してくれた。
最後は、4本のアクチュエータで最大0.88Gまで再現可能という筐体「QS-V20」で、同時にVR(バーチャルリアリティ)ゴーグルを使用してプレイ。マシンはトヨタの「GR86」で、コースはニュルブルクリンク北コース。慣れないVRゴーグルにもすぐに適応していたが、さすがにノーマルのGR86でニュルブルクリンク北コースを走ると、リミッターに届いてしまい、ほぼ6速アクセル全開のシーンが多かった。
自宅にもシミュレーターを置いているというコバライネン選手は、「毎月たくさん活用しているけど、だいたい1回乗るのは2時間くらい。しっかり集中して練習するのがいい」とのこと。また、「シミュレーターは、コースレイアウトやどこで速度を出す、減速するなどを覚えるのには適している。ただし、シミュレーターでたくさん練習してから、実際のコースもたくさん走ることも大事」と、これからドライバーを目指す人へのアドバイスをくれた。
また、現在は全日本ラリー選手権のみに参戦しているコバライネン選手は、「今はラリーが一番楽しい。でもラリーはサーキットのように決まった場所を周回する競技ではないため、シミュレーターを使った練習はちょっと難しい」とも教えてくれた。最後にコバライネン選手は、1995年にサファリラリーを制した「セリカ(ST185)」でのドライブを楽しんでいた。
ライバルでもあり盟友でもある「D-SPORT Racing」と対談
この日はダイハツ工業とSPKが、モータースポーツを起点とした“もっといいクルマ作りづくり”および、モータースポーツのすそ野を広げ“走る楽しさをみんなのものに”する活動として取り組んでいる「D-SPORT Racing Team」も同席。
Rally Team AICELLOと同じく、2025年も世界ラリー選手権(WRC)RALLY JAPANや全日本ラリー選手権、さらにTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ(ラリチャレ)にも参戦することから夢の対談が行なわれた。
Rally Team AICELLOは2018年に新城ラリーにトヨタ「86」で参戦しキャリアをスタート。「Make a smile」や「Enjoy Rallying」をチームコンセプトに掲げ活動し、2025年もコバライネン選手とコ・ドライバーに北川紗衣選手を迎え、「AICELLO速心DLヤリスRally2」でシリーズチャンピオン奪還を目指している。また、チームを運営しているアイセロは、学生がイコールコンディションで運転技術を競う大会「フォーミュラ・ジムカーナ」にも協賛するなど、SPKと同じくモータースポーツのすそ野を広げる活動も行なっている。
Rally Team AICELLO チーム代表の牧野太宣氏は、「活動初期はヘイキ・コバライネン選手がSUPER GTとの掛け持ちだったこともあり、フル参戦ではなかったのですが、SUPER GTを退かれて、ここ3年はフル参戦できています。ただ昨年は思うような結果を出せなかったので、今年は自分たちがラリーを楽しみながら、皆さんにも楽しんでいただいて、最終的にいい結果が残せたらいいなと思っています」とコメント。またドライバーを務めるコバライネン選手も、「今は体調も万全で、とてもいい状態なので、しっかりと結果を出したい」と活躍を誓っていた。
また、シミュレーターラボにはD-SPORT Racing Teamのマシン「コペンGRスポーツ」も用意され、コバライネン選手が運転席に乗車。「本当に小さくて驚いた」と興奮気味に語ったほか、コペンでラリーに出てみたいと聞かれたら、「う~ん、ちょっと小さすぎて無理かなぁ」と笑いを誘った。
D-SPORT Racing Team監督の殿村裕一氏は、「フル参戦3シーズン目となり、今年もよりよいクルマづくりを目指して頑張りたい」、ドライバーの相原泰祐選手も、「これからも毎戦改善を繰り返しながら、ラリーの現場で鍛えたアフターパーツを、D-SPORTからユーザーにお届けできるようにしていきたいです」と今後の抱負を語った。
なお、2月28日~3月2日に開催された全日本ラリー選手権 第1戦「RALLY 三河湾 2025 Supported by AICELLO」は大会名にもあるように、アイセロが大会自体のサポートを実施。コバライネン選手と北川選手らはJN-1クラスで2位(総合でも2位)、コペンではなく「イースGR-Sコンセプト」で参戦した相原泰祐選手とコ・ドライバーの上原あずみ選手らは、オープンクラスで3位の好成績を残している。

















