ニュース
キヤノン、モータースポーツ撮影に最適な「EOS 7D Mark II」
連写性能10コマ/秒、65点クロスAFセンサーを搭載
(2014/9/16 22:38)
キヤノンは9月12日、モータースポーツの撮影に最適なデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D Mark II」を発表した。2009年9月に発表した「EOS 7D」の後継機で、連写性能は10コマ/秒、65点全点クロスAFセンサーを搭載するなど、モータースポーツを含むスポーツ撮影全般に最適な仕様に強化した。価格はオープンプライスで店頭予想価格は20万8000円前後(税別)。11月上旬から出荷を開始する。
EOS 7D Mark IIは動体撮影に特化した性能を持つ、キヤノンのAPS-Cのフラグシップモデル。2009年10月発売のEOS 7Dから実に5年の時を経てモデルチェンジが行われた。EOS 7D Mark IIはターゲットを野鳥、鉄道、飛行機、野生動物、スポーツ、モータースポーツと明確に打ち出し、オートフォーカス性能、連写性能など動く被写体を撮影するために必要な機能に磨きを掛けた。
撮像素子は有効2020万画素のCMOSセンサー。映像エンジンには「DIGIC6」をデュアルで搭載して処理能力を向上させた。記録サイズはラージで5472×3648ピクセル。常用のISO感度はISO 100~16000。拡張感度はISO 51200まで対応する。連写性能は10コマ/秒。連写枚数はJPEGで約1090枚、RAWで約31枚。レリーズタイムラグは0.055秒だ。
従来機のEOS 7Dは有効1800万画素、DIGIC4のデュアル搭載、記録サイズは5184×3456ピクセル。常用感度がISO 100~6400、拡張感度ISO 12800、連写性能が8コマ/秒、連写枚数はJPEG約130枚、RAW約25枚、レリーズタイムラグは0.059秒なので、全てのスペックで上まわっている。
注目のAF性能はEOS 7DのAFポイントが19点のクロスに対し、EOS 7D Mark IIは65点で全点クロスと大幅に強化された。プロ用の「EOS-1D X」と同様の「EOS iTR AF」を継承し、被写体の色や顔を認識して被写体を自動追尾することが可能となった。EOS-1D Xにはない人の形を認識できる機能も搭載している。また、測距点から被写体がズレても追従する「AIサーボAF III」も搭載している。さらにEOS 70Dと同様な「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載。ライブビューや動画撮影時のAF性能が大幅に向上した。
レンズ光学補正には従来の周辺光量補正に加え、色収差補正、歪曲収差補正が加わった。インターバルタイマー、バルブタイマー、多重露出撮影なども機能追加されている。またGPS機能が搭載され、撮影時に位置情報を記録することが可能だ。新たに搭載した「フリッカーレス撮影」機能は、屋内スポーツの撮影で照明のフリッカー(ちらつき現象)による露出のバラ付きを抑制できる。
記録メディアは従来のCFのみから、CFとSD/SDHC/SDXCに対応したダブルスロットに変更。液晶モニターは画面サイズは3型で同じだが、約92万ドットから約104万ドットに変更された。EOS 70Dで採用されたバリアングル液晶ではなく固定式。使用バッテリーは新しくなって容量がアップしたLP-E6N。従来のLP-E6も使用できる。
外形寸法は148.6×78.2×112.4mm(横×奥行き×高さ)。横幅と高さはEOS 7Dとほぼ同じだが、奥行きは5mmほど大きくなっている。本体のみの質量は820gでEOS 7Dと同じだ。
●EOS 7D Mark IIとEOS 7Dの比較
EOS 7D Mark II | EOS 7D | |
---|---|---|
センサーサイズ | APS-C(22.4×15.09mm) | APS-C(22.3×14.9mm) |
有効画素数 | 2,020万画素 | 1,800万画素 |
記録画素数(L) | 5,472x3,648ピクセル | 5,184×3,456ピクセル |
連写速度 | 10コマ/秒 | 8コマ/秒 |
常用感度 | ISO 100-16000 | ISO 100-6400 |
拡張時最高感度 | ISO 51200 | ISO 12800 |
AF測距点 | 65点(全点クロス) | 19点(全点クロス) |
測距輝度範囲 | EV -3~18 | EV -0.5~18 |
映像エンジン | DIGIC6×2 | DIGIC4×2 |
液晶モニター | 3型/約104万ドット | 3型/約92万ドット |
記録メディア | CF、SD/SDHC/SDXC | CF |
内蔵ストロボ | ガイドナンバー11 | ガイドナンバー12 |
使用バッテリー | LP-E6N | LP-E6 |
大きさ(W×D×H) | 148.6×78.2×112.4mm | 148.2×73.5×110.7mm |
本体質量 | 820g | 820g |
ここからはCar Watch読者に向けて、モータースポーツ撮影に焦点を当ててEOS 7D Mark IIを見ていきたい。まずは連写性能。従来機の8コマ/秒が10コマ/秒と2コマ増えた。実際に5コマ/秒、6コマ/秒、8コマ/秒のカメラを使い分けた人は分かると思うが、秒2コマの差は大きい。連写性能の向上のため、ミラーの駆動方式はバネ式からモーター駆動に変更されている。また、シャッターの耐久性も15万回から20万回と向上している。
AF性能は従来の19点クロスから65点クロスへと大幅にスペックアップした。実際のフォーカス性能は使用してみないと分からないが、かなり期待できると思われる。AF性能で注目したいのはAFポイントの配置だ。多くの一眼レフカメラではひし形にAFポイントが配置されているが、EOS 7D Mark IIは横長の長方形に近いレイアウトになっている。従来よりフレームの隅に被写体を置いてもオートフォーカスを使って撮影できるのは魅力的だ。
防塵防滴性能の向上も見逃せないポイントだ。天候の影響を受けやすい野鳥、電車、飛行機、モータースポーツの撮影を考慮して、防塵防滴性能を大幅に向上させている。その性能はEOS-1D XとEOS 5D Mark IIIの中間くらいになったとのこと。
実際に手に取ると、サイズ、重量はほぼ同じだが、奥行きが5mmほど長くなり、グリップを持ったときに少しその差を感じる。大きな差ではないので、EOS 7Dユーザーでも違和感なく使用できるだろう。
従来機の発売から5年が経過していることもあり、メニュー系は大幅に変更されている。すでにEOS 5D Mark IIIやEOS 70Dでは変更されたメニュー内容となっている。
残念なのは発売日。2009年に発売されたEOS 7DはF1日本グランプリの開催日に出荷が開始された。今回は11月上旬なので、10月に開催されるF1、WEC、WTCCの世界選手権3レースには間に合わない。SUPER GTの最終戦は11月15日~16日開催なので、このあたりがターゲットになりそうだ。
いずれにせよ、モータースポーツ撮影をされる方には注目の新製品なので、Car Watchでは後日レビューなどをお届けしたいと思っている。