ニュース
コマツ、水素燃料電池の働くクルマ「中型油圧ショベルのコンセプトマシン」展示 ディーゼル発電をトヨタ製FCスタックに
2025年6月1日 11:30
富士スピードウェイに展示された「中型油圧ショベルのコンセプトマシン」
小松製作所は、富士24時間レースを開催中の富士スピードウェイに水素燃料電池の働くクルマ「中型油圧ショベルのコンセプトマシン」を展示した。この中型油圧ショベルのコンセプトマシンは、上部にある油圧ショベル、下部にある走行機構を油圧で駆動するという機構を持っており、その油圧ポンプの駆動電力を水素燃料電池のFCスタックで生み出している。
通常の油圧ショベルであれば、油圧ポンプの駆動電力をディーゼルエンジンによる発電で生み出しているが、このコンセプトマシンではエンジン部分をカーボンニュートラル化するため燃料電池のFCスタックへ置き換え。排気ガスを発生しない構造を実現した。
このFCスタックや、燃料となる高圧水素を保管する70MPa水素タンクはトヨタ自動車が供給しており、トヨタとしては商業部門での水素利用を図ることで脱炭素社会へのマルチパスウェイを実現していく。
コマツとしても、排気ガスを発生しない油圧ショベルを実現することで、将来的なカーボンニュートラル社会へ対応することができ、実証実験をコマツとトヨタで行なっている。
油圧で駆動
360度旋回する上部構造にFCスタックと70MPaの高圧水素タンクは納められており、FCスタックで発電することで油圧を生み出す。この油圧は上部構造の油圧ショベルを動かすとともに、リング状の構造で接続された下部の駆動機構へも導かれ履帯で移動する。
下部の走行機構には電動モーターなどはなく、駆動機構も油圧で動作するという構造になっている。
実際の動作デモなどは行なわれていないが、展示されている中型油圧ショベルのコンセプトマシンは巨大なもので、新型MIRAI(ミライ)にも搭載されているFCスタックと同じ発電システムの乗り物とは思えないほど。
FCバスなどはよく見かけるようになったが、FCスタック発電を電動ポンプに使うことで、これほど巨大な乗り物を実現できるのは驚きだった。
油圧ショベルが燃料電池駆動となることで、建設機械の分野でも「脱炭素」であるカーボンニュートラルの選択肢を両社は作っていく。