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機械翻訳サービスを展開するDeepLが事業説明会 自動車やヘルスケアなど専門性の高いビジネスで拡大中
2025年6月18日 23:39
- 2025年6月18日 開催
DeepL(ディープエル)ジャパンは6月18日、東京エディション虎ノ門(東京都港区虎ノ門)において企業向けビジネスと日本市場への取り組みに関する説明会を開催した。説明会ではDeepL アジア太平洋統括 社長の高山清光氏、エンタープライズ営業本部 第二営業部 部長の吉岡大地氏が登壇して日本市場戦略や企業向けAI翻訳ソリューション、導入事例、最新機能などについて説明した。
DeepLは世界中の個人やビジネスの言語の壁を取り除くことを使命として、2017年にヤロスワフ・クテロフスキー氏が機械翻訳のサービスを開始。文脈を考慮した自然な翻訳を特徴としており、対応言語は33言語。現在ケルン、東京、ベルリン、ロンドン、アムステルダム、オースティン、ニューヨークなど12の国と地域にオフィスを構え、そのユーザー数は、20万以上の企業や政府機関となり、個人でいうと8億人以上が使っているツールになる。
日本におけるDeepLの歩みとしては、2020年3月に日本語対応し、同年8月にはDeepLの有料版でより高度な翻訳機能とセキュリティを提供するDeepL Proの提供を開始。2023年5月には日本語の敬体(です・ます調の文章)・常体(だ・である調の文章)に対応し、同年7月にDeepLジャパンが設立された。その後、2024年にAIを活用した文章作成アシストツールのDeepL Write、企業向けに設計された高度なAI翻訳ソリューションのDeepL for Enterprise、リアルタイム音声翻訳ツールのDeepL Voiceを展開するなど、続々とサービスの幅を広げている。
そうしたDeepLジャパンのアジア太平洋統括 社長に就任することとなった高山氏は、「自分自身も言語の壁があって悩んでいましたし、多くの日本人の方が言語で悩んでいると思うので、そういった悩みを解決できるのがDeepLではないかと思って着任した」と就任した背景について語るとともに、「DeepLがそもそも思っている“言語の壁を取り払う”ということを私自身もミッションとしてやっていきたい」と抱負を語った。
一方で日本市場はドイツに次いで2番目に大きな市場であることが語られ、東証プライム上場企業の半数以上がDeepLを活用しており、日本における導入企業としてはJAE(日本航空電子工業)、日本新薬、サイボウズ、富士フイルム、ソフトバンクなど、また自動車関連ではパイオニアが採用しているとのこと。これについて高山氏は、「こういった会社さまが精度の高さであったりとか用語集、それからセキュリティの観点が評価され、幅広い業種で採用が進んでおります。見ると分かるとおり、製造業ですとか金融、自動車、ヘルスケアなどへの導入、また法務部門も非常に大きいんですけども、専門性の高いビジネスで広がっている」と説明。
また、ビジネスにおける言語の壁を数字に表すと、業務で週に1回以上英語を使用している割合が60%、その中で英語での会話に課題を感じている割合は56%、さらに発音への苦手意識から自信が持てない人の割合は64%になるといい、「総じて日本人は英語がちょっと苦手というところがあると思いますが、多分みなさまの企業におかれても、英語に関する業務は英語ができる人にどんどん寄っていってしまっているんだと思います。英語ができる人ががんばるところから、全員が言語ツールを活用してビジネスを伸ばしていく時代になっていくのかなと思います」とコメント。
加えて海外展開の早い企業は売上成長率が10~15%高いこと、早いタイミングでグローバル人材を採用した企業は企業価値が大きく高められているというデータがあるとし、「グローバル競争力の強化が必要な状況になっている中で、多言語で迅速かつ正確なコミュニケーションをすることによって市場の拡大ですとか顧客満足度の向上につながりますので、企業の競争力強化であったりですとか、繰り返しますが日本企業は特に言語の壁が競争力の足かせになっている現状がありますので、そこを打破するソリューションというのが求められていると感じています」と述べた。
最後に高山氏は日本における企業向け事業の注力分野について触れ、「企業向け機能の充実」「業種特化型ソリューションの提供」「パートナー連携による販売拡大と新サービス支援」「企業内利用の促進策」の4点を挙げた。「企業向け機能の充実」における用語集では「自動車業界や製薬業界はさまざまな特殊な専門用語がありますので、英語として翻訳すれば意味はそうですけれども、その業界の人が見るとどうもピンとこないというケースがたくさんありますので、こういった業界ビジネスに応じた用語集というのを用意して提供していこうと思っています」と説明するとともに、「その派生として、さらに業種に特化したソリューションを提供していこうと考えています。製造業の中では自動車であったりとかライフサイエンス、法務向け、プロフェッショナルサービス向け、IT企業向けというところが非常に特殊性もありますし、ニーズが高いですので、そこに特化した製品をこれからどんどん提供していきたい」としている。
なお、自動車業界としてはパイオニアの例が挙がったが、DeepLの採用は自動車メーカーでも進んでおり、マーケティングやR&Dの分野で主に使われているという。






















