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DeepL 最高技術責任者のセバスチャン・エンダーライン氏が来日 リアルタイム音声翻訳ソリューション「DeepL Voice」などについて説明
2025年7月25日 08:45
- 2025年7月23日 開催
ドイツに本社があり言語AIで翻訳ソリューションを提供するDeepLは7月23日、都内でメディアブリーフィングを実施した。
来日したDeepL最高技術責任者(CTO)のセバスチャン・エンダーライン氏は、企業が言語の壁によって損失があり、母国語でコミュニケーションできるAI翻訳がその解決策になると強調した。
DeepLの日本における注力分野は製造業では自動車
ブリーフィングでは、最初にDeepL アジア太平洋統括 社長の高山清光氏が登壇。DeepLはドイツ ケルンに本社があること、12の国と地域でビジネスを展開し、日本はアジアの拠点として人数を増やしていく地域であると説明した。
また、DeepLの対応言語は増加しており、直近では1つ増えて36言語。世界の主要企業での利用実績があるという。
日本においては大手企業からの要望もあり、セキュリティ、コンプライアンス、ID管理をさらに強化していく。業種についても、日本で強い製造業、自動車、製薬、ライフサイエンスで、活用する部署は法務部など向けのソリューションを提供していくという。
提供の方法も、日本ではシステムインテグレーターというパートナーの意向が反映しやすいため、パートナー経由でAPIを利用した新サービスの開発支援を拡充していく。
ビジネスで効果的なコミュニケーションを可能にする言語AIプラットフォーム
続いて、CTOのセバスチャン・エンダーライン氏は、言語AIについて市場や効果、そしてDeepL Voiceなどの紹介を行なった。
現在、世界では20万社を超える法人の顧客があり、対応言語数は36言語。日本を含むアジア太平洋地域はDeepLのグローバル成長において重要だとし、日本では2020年に事業を開始し、現在は世界で2番めに大きな市場になっているという。
エンダーライン氏は「日本の企業は、国際的なパートナーとの円滑なコミュニケーション、意思決定の迅速化、そしてデジタル化が進む世界での競争力維持が求められている」と述べ、自然言語処理(NLP)翻訳市場も2024年で16.7億ドル(約2485億円)で世界第3位、2033年までに年平均成長率は16%と予測されていることから「言語テクノロジーは補助的な機能ではなく、国際ビジネス戦略の中核を担う存在」と位置付けた。
一方で、日本企業の調査結果を紹介し、「企業の80%が言語の壁がプロジェクトの遅延、機会損失で経済的な損失が発生してると言っていて、そのうちの30%が損失額を7500万円から3億円未満と見ている」とした。
損失の例として、取引が遅れる、グローバルパートナーとのミスコミュニケーションがあるといったことを挙げ、「言語の壁というのは明確なコスト」とし、動きの速い市場において日本企業はそのコストを負担する余裕はないとした。
さらにエンダーライン氏は、「私たちのビジョンの中心にあるのは非常にシンプルな考え方。言語は人に合わせるべきであり、その逆ではない」とDeepLの利用効果を説明。これまでグローバルに活動するためには英語が当たり前だったが、DeepLなど言語AIの登場で「コミュニケーションは自然に流暢に、そして母国語のまま行なえるようになる」とした。
「DeepL Voice」が対応言語拡充とZoom対応
続いて、7月23日に発表したリアルタイム音声翻訳ソリューション「DeepL Voice」の機能拡充について説明した。対応言語が増え、音声入力では中国語、ウクライナ語、ルーマニア語に対応して合計16言語に拡大、翻訳キャプションは35言語に対応した。
DeepL Voice for Meetingsはオンライン会議での複数言語による発言をリアルタイムで安全に翻訳し、テキスト形式で表示するが、これまでのMicrosoft TeamsだけでなくZoomでも使えるようになる。エンダーライン氏は「CTOとして非常にこれはワクワクしており、このテクノロジーをどんどんと進めていきたいと思う」と語った。
さらに多国籍企業の会議時間についての調査結果を紹介し、「会議時間の34%が言語の壁で失われ、参加者にとって母国語でない場合、60%しか理解していない」ということから「DeepL Voiceは、こうした障壁を取り除くことで誰もが母国語で話し、理解でき、会話がスムーズに進み、意思決定が加速する。グローバルチームが言語を切り替えることなく連携できるというような変化をもたらす」と効果を強調した。
サイボウズ社内で利用、日本語を話せない人も会議結果をリアルタイム共有
今回のプレスブリーフィングのゲストとして、サイボウズ 執行役員 情報システム本部長の鈴木秀一氏がサイボウズ社内におけるDeepLの活用事例を紹介した。
サイボウズでは2023年6月からDeepLを全社導入。海外拠点もあり、さまざまな言語を使う人もいて言語の壁という問題があったという。DeepLを導入した理由としては、セキュリティの高さ、翻訳性能の高さ、情報システム部門の管理負担が低いことを挙げた。
活用方法として、自社製品でノーコードで業務のシステム化ができるクラウドサービス「kintone」を社内でも使っているが、収容されている議事録などの情報が、ワンクリックで他言語にも翻訳するプラグインを自社開発している。すでに利用していて社内のコミュニケーションがより活性化されたとしている。


















