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旧車コミュニティ「Vintage Club by KINTO」がファンミーティング初開催 思いを共有する仲間がトヨタ博物館に集結
セリカ、ソアラ、スープラ、セルシオ、チェイサー、ランクルなどを試乗
2025年8月25日 12:43
- 2025年7月26日 開催
自動車のサブスク(サブスクリプション)サービスを提供しているKINTOは、2022年4月より旧車のコミュニティ「Vintage Club by KINTO(ヴィンテージ クラブ バイ キント)」を立ち上げ、全国で「特選旧車レンタカー」や旧車のレストア・修理の困りごとをサポートする「よろづ相談」など、旧車を軸としたさまざまな活動を展開している。
去る7月26日には、この活動の4年目を記念して、現在Vintage Club by KINTOが所有している10台の車両に試乗できるイベント「Vintage Club by KINTO ファンミーティング」を、愛知県にあるトヨタ自動車博物館で開催。約8.5倍の抽選倍率という狭き門を見事に通過した10組18名が参加して、貴重な時間を過ごした。
イベント発起人であるKINTO総合企画部の布川康之部長は、「旧車コミュニティ“Vintage Club by KINTO”は、いじる楽しみとダイレクトに機械に触れる感覚、近年のクルマにはない独特の味を持っている旧車に気軽に触れる場を作り、一緒に旧車を楽しみたいと考え、2022年4月6日にここトヨタ博物館でオープニングイベントを実施しました。当時はまだレンタカーも、ソアラ、セリカLB(リフトバック)、カローラレビン、70スープラの4台しかなく、正直お客さまがどのくらい集まるかも分からずスタートしました。それから、東京や長野、富士スピードウェイなど、いろいろなところで試乗会を行なう機会があり、だんだん人気も高まると同時に、ユーザーからのリクエストもいただき、車種を増やしてきました。今回はその感謝とこれからもよろしくお願いいたしますという気持ちを込めて開催しました」と、Vintage Club by KINTOの活動を振り返った。
続けて「今日は70スープラの試乗担当をしています。70スープラは当初中古車をきちんと整備した状態でレンタルを開始したのですが、2024年末にTGR(TOYOTA GAZOO RACING)と共同でフルレストアを実施しました。エンジンを車体から降ろし、完璧に整備してトヨタのエンジンベンチでセッティングを取り、ほぼ新品と同じ性能を確認してありますし、3500rpmくらいから一気にパワーが出てくる通称“ドッカンターボ”的な乗り味も再現できています。サスペンションやマフラーなどは社外品が装着されていましたが、今回は純正パーツに戻しています。今日はレストア前の70スープラを試乗したことのある方がいて、すごく変わったと驚いてくれました。若い方からご年配の方まで幅広い年齢層の方が参加してくれているし、久しぶりに同じ旧車を愛する仲間であるお客さまと、たくさん会話できたので大満足です」と笑顔で答えてくれた。
また、開会式に駆け付けたトヨタ博物館の榊原館長は、「長年開発現場にいまして、いろいろな自社他社のクルマに乗ってきました。試乗する際は、車両によって乗り方を変えるのではなく、ステアリングを切るタイミングだったり、ブレーキを踏むポイントだったり、いつも同じ動作をするとそのクルマの特性や、別のクルマとの違いがよく分かり、より楽しめるのかなと思います」と、試乗時のポイントを語ってくれた。
ちなみに、Vintage Club by KINTOの旧車レンタカーは、「ノーマルありき」ではなく、当時流行っていたカスタマイズなども取り入れることで、「当時こんな感じのが走っていた!」と、車体だけでなく懐かしい気持ちも一緒に再現しているのが特徴。ステアリングやホイールが変わっていたり、車高を下げていたりする車両もある。現状は運用や整備などを考慮しながら10台を上限としていて、リクエストなどを参考にしながら都度入れ替えを行なっていく予定とのこと。
レンタルに関しては、どこか1か所に大きな拠点を構えてしまうと、遠方の人がレンタルしにくくなってしまうので、整備もしつつ3か月おきぐらいで各地を巡っての試乗会というスタイルで運用している。
1組5台を試乗。夢のような時間を味わった
参加者は事前に希望した5台を順番に試乗。助手席にはそのクルマを手掛けたメカニックまたはKINTOスタッフが同席し、試乗中は車両の入手経緯やレストアの流れ、乗り方のコツなど解説を行なっていた。
参加者からは、「大阪から参加した甲斐がありました。最近では見かけることすらないクルマを5台も運転できて非常にいい経験ができました。そのクルマに詳しい方が同乗してくださったおかげで安心して乗れました。特にカローラとセリカLBは難しそうという不安からレンタルできていなかったので、今回体験できてよかったです」や、「50年前のセリカから20年前のスープラまで、幅広く名車を楽しめました。博物館ではただの乗り物ではなく、技術や叡智の結集であることもインプットできたことで、よりクルマ愛が深まったと思います。この楽しみが世代を超えて引き継がれるような取り組みも頼もしいと思います」といった声があった。
記者も「カローラ レビン」「セリカリフトバック」「セリカXX 2000GT」を試乗してみたが、どの車両も乗りやすく、扱いやすく、電子スロットルではなくワイヤー式スロットルならではのレスポンスや、軽い車体による軽快な走りを楽しめた。しっかりと整備・レストアされた車両だから安心感もあるし、購入するのは難しい超高価な旧車を、数時間とはいえ自由に乗れる経験は、とても貴重。車種によって若干レンタル料金は異なるが、基本設定として8時間で3万円、24時間で3万5000円という価格設定は超お得に感じられた。また、旧車にもオーディオやスマホ充電用のUSBポートを完備するなど、利便性が高いのもありがたい。ただし、エアコンがない車両は春や秋のレンタルがおすすめ。
1974年式「カローラ レビン」(TE27型)
1975年式「セリカリフトバック」(RA25型)
1985年式「セリカXX 2000GT」(GA61型)
1992年式「スープラ 2.5GTツインターボ エアロトップ」(JZA70型)
1998年式「チェイサー ツアラーV TRDスポーツ」(JZX100型)
1999年式「アルテッツァ RS200 Zエディション」(SXE10型)
参加者だけのスペシャル特典は「元館長によるスペシャル館内ツアー」
試乗会の後は、参加者だけのスペシャル特典として、2024年末でトヨタ博物館の館長を退任し、現在はトヨタ博物館シニアキュレーターとして活動する布垣直昭氏による特別な館内ツアーが用意されていた。
布垣氏は、当初白かったタイヤが黒くなった理由や、1900年初頭に作られた自動車には、すでにBEV(バッテリ電気自動車)もあったし、水蒸気で走る自動車もあったことや、エンジンをかけるときに手動だったが、バッテリを複数つないで始動させるセルが開発された経緯、昔はアメリカでも右ハンドルが主流だった理由など、実車を交えながら細かく解説して館内をまわり、参加者からは常に驚きの声が絶えなかった。
そのほかにも、Vintage Club by KINTOに関わるスタッフたちによる「ゆるトークショー」も実施。トヨタ、新明工業、KINTOの担当者から、コミュニティ立ち上げやレストアに関する裏話などが披露された。

















































