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トヨタの新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」が3時間耐久を完走 4WDシステム「GR-FOUR」は前40:後60と前50:後50の2モードで400馬力以上を振り分け
2025年10月28日 14:59
設定値は「400馬力以上」、実際の出力は会社に持ち帰って解析
10月27日、岡山国際サーキットでスーパー耐久シリーズ第6戦岡山ラウンドが開催された。トヨタ自動車はこの3時間耐久レースに、新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」でエントリー。ST-2クラスやST-3クラスとの混走ではあるものの、総合3位で完走した。新開発の直列4気筒2.0リッターターボエンジン「G20E型」、新開発のミッドシップ4WDシステム「GR-FOUR」も大きなトラブルなく走りきることができた。
直列4気筒2.0リッターターボエンジン「G20E型」は、柔軟な馬力・トルク設定ができるエンジンとして開発を進めているが、このGRヤリスMコンセプトではパワー志向で調整されている。その出力は「400馬力以上」であることをトヨタ側も明言しており、トヨタの次世代を担っていくスポーツエンジンになる。内部では「Gモジュール」とも呼ばれているようで、現行GRヤリスに搭載されているG16E型エンジンと方向性を同じくし、E20のアルコール系燃料にも対応。パワー志向のエンジンではあるものの、カーボンニュートラルエネルギー時代を見すえて開発が行なわれている(今回は100%ガソリンで走行)。
完走後、開発陣にエンジンの問題点などを聞いたところ「とくに大きな問題は出ていない」とのこと。事前に相当ベンチテスト、走行テストは行なったとのことで、最初から信頼性は高いようだ。
出力については、「どのくらいのパワーが出ていたか確認する」といい、データを会社に持ち帰って解析することで、実際の出力を確認していく。設定値はもちろん「400馬力以上」なのだが、ターボ車でもあるため当日の気温や空気密度などの影響も大きく、駆動軸馬力がどのくらいであったのかが解析される。こういったデータが、他車も混走する実戦で得られるほか、この日は雨から曇り、そして晴れとめまぐるしく天候が変化したため、データ収集には好都合だった。
実際、ドライバーを担当したモリゾウ選手こと豊田章男会長もレース後に「いつ市販かと言われてもまだ分かりませんが、確実に今回の岡山の大会で一歩前進できたかなと思います。おかげさまで雨の状態、そして晴れの状態、曇りの状態、天候もずいぶん変わった。こういう貴重なデータ、本当にお天道さまにありがとうございます」と語っており、こうした公開開発ができることがスーパー耐久ST-Qクラスの魅力となっている。

