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ビッグローブ、「ダブルレーサー体験会」の第2弾を開催 リアルとバーチャルを同時に楽しめる走行会
2025年12月5日 16:45
- 2025年11月29日 開催
インターネットプロバイダーのビッグローブは11月29日、「リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会 Vol.2 powered by BIGLOBE」をモーターランド三河(愛知県新城市)で開催した。これは、2025年3月に富士スピードウェイ・ショートサーキットで開催された第1弾に続くイベントで、参加者はサーキット走行とシミュレータの両方を同時に体験した。
BIGLOBEが描くモータースポーツの未来
ビッグローブがサーキット走行をするイベントを主催する背景には、ビッグローブの光回線とレーシングシミュレーターの相性の良さがある。シミュレーターの技術が進化する中で、登場するマシンやコースの再現度が向上し、あたかも「実際のコースを走っているような感覚」で走行できるまでになり、実車とバーチャルの隔たりがなくなりつつある。
プロドライバーもシミュレーターを練習に取り入れるようになったことから、ビッグローブは、バーチャルの楽しさと同時に、その練習の成果を試すリアルの走行も楽しんでほしいという思いから、シミュレーターとリアルの両方を体験できるイベントとしたという。
自ら走行するほか、ゲストドライバーの同乗走行や各イベントなども楽しめる
この日のイベントには、ラリードライバーの長尾綱也選手、及川紗利亜選手、ドリフトドライバーの山中真生選手と深田一希選手、そしてモータージャーナリストの橋本洋平氏といった豪華ゲストドライバーが参加した。
また、参加者が自分のクルマで走行できるサーキット走行枠を設定。これはグリップ走行とドリフト走行の枠があり、熟練度によってクラス分けもされていて、初心者でも走りやすい走行会となっていた。
さらに、プロドライバーによるデモラン、同乗走行、トークショー、そして最新シミュレータ体験、子供向けEVカート、インターネット教室や3Dスキャン体験といったさまざまなコンテンツが用意された。
“リアル”を楽しむ走行枠はグリップ走行が多く、レベルに合わせた走行を楽しむ
ビッグローブの走行会の特徴として、グリップ走行とドリフト走行の2つの走行枠が設けられていることが挙げられる。どちらの走行を楽しみたい人も参加できるとともに、お互いの走行を間近で見ることができる。
走行枠はさらに初級から上級までに分けられ、今回はグリップ初級の枠が3枠も設けられるなど、サーキット走行の世界へ足を踏み入れたばかりの人の参加が目立ち、サーキット走行を開始する手がかかりを多くの人に提供できたと思われる。
反対に今回はドリフト走行の参加者が少なく、上級が2台、初級・中級が4台となったものの、白煙をあげながら走行する迫力に来場者からも歓声があがった。同じタイミングでプロドライバーの同乗も行なわれたため、走行枠中はコースが絶えず白煙に包まれるなど、グリップ走行よりも台数が少ないながらも来場者は盛り上がった。
同乗走行は5台が参加、グリップあり、ドリフトあり
走行枠に合わせて開始した同乗走行では、グリップ走行には長尾綱也選手と及川紗利亜選手が全日本ラリー選手権で使用しているトヨタ・GRヤリスのMTとATの2台を持ち込んだ。これは、改造範囲が狭く市販車に非常に近い仕様で、しかもレギュレーションで吸気制限があることから市販車よりもパワーが落ちているという。
ドリフト走行の同乗車両では、山中真生選手が駆るGRスープラは、3.6リッター化した2JZエンジンを搭載し、約1000馬力を発生させる。深田一希選手のS15シルビアは約370馬力で、深田選手がふだんから練習で乗っているクルマとのこと。
ドリフトの同乗時の注目ポイントとして、山中選手は横を向いて走ることから「いつもと違った風景」と、ハイパワー車による「すごい濃い煙の迫力」だとし、深田選手はドリフトしていても「意外と普通の運転と全然変わらないぐらい落ち着いた運転でもできる」とした。
また、グリップの同乗走行では橋本洋平氏が発売されたばかりの新型ホンダ・プレリュードをドライブ。ハイブリッド車だが有段ギアのような音の演出があり「外で見るとわからないが、乗ると良さがわかる」と力説した。
同乗走行は朝からイベント終了の夕方まで走行枠に混じって行なわれ、途中、ドライバーたちのサービス精神が旺盛すぎて、一部のクルマが修理で離脱するトラブルもあったが、事故もなく多くの人が楽しむことができた。
“バーチャル”のシミュレーターなど、ネットの力を体験できるコンテンツも
一方のバーチャルを体験するシミュレーターも人気。走行会にクルマを持ち込むほどの“走り屋”からすると物足りなく感じてしまう一面もあるが、サーキットを走る数少ない機会で上手く走れるようにするために、もっと練習したい、もっと乗っていたい、という希望を低いランニングコストでかなえるためには、シミュレーターは早道だ。
今回のシミュレーターはハンドルコントローラーなどレーシングゲーム用品専門店のDELE(デーリー)が持ち込んだ2台と、KDDIテクノロジーの1台の合計3台。
DELEのものはフレーム、ハンドルコントローラー、ペダルなど同社の取り扱い商品でまとめられており、シミュレーターと合わせて性能を試すことができた。
KDDIテクノロジーのシミュレーターは、KDDIテクノロジーが開発したシミュレーターソフトに市販のハンドルコントローラーなどを組み合わせたもの。
会場となったモーターランド三河のコースをKDDIテクノロジーが3Dスキャンしたデータを使い、シミュレーターでコースを再現した。サーキット走行に参加のドライバー以外もモーターランド三河のコースを体験できるため、大人から子供まで人気となっていた。
また、キッズEVカートやインターネットプロバイダーならではのインターネット教室、モデルカーや自分のクルマを自分のスマートフォンで3Dスキャンしてバーチャルで楽しめるという実演も行なわれた。
トークショーでは、シミュレーターの重要性が語られる
今回のトークショーでは、このイベントがリアルとバーチャルを同時に楽しむことをテーマとしているため、リアルで走るプロドライバーがどうシミュレーターを活用しているかが語られた。
トークショーの司会のまるも亜希子さんが「シミュレーターの中の実車とコースが非常に進化していて、あたかも実際のコースを走っているような感じで走れる」と紹介。各ドライバーにシミュレータの活用や感想を求めた。
ラリードライバーの長尾選手は、今回アセットコルサにモーターランド三河のデータを入れて、ドリフトの練習をしてから来たという。
その上で実際に走った印象は「実車でトライしてみると、意外と合っているところが多かった。本当にゲームと同じ感覚で走れ、振り出す位置や、アウトに膨らんでいく感じも再現されていたので、すごいなと感動した」と話した。また、自身の日頃の活用法としては、雪が降るオフシーズンにシミュレーターでターマック(舗装路)の練習に励んでいるとした。
ドリフトの山中選手は大会以外ではほとんど実車に乗らないという。「普段の練習は本当にシミュレーターのみ」と述べ、シミュレータの特徴は「エコに練習できる」として、全世界をいろいろなクルマで電気代だけで走れることを挙げ「シミュレータをそろえる初期費用はかかるが、そろえてしまえばあとはガソリン代もタイヤ代もかからないことから、実車で練習している選手に比べると練習量が多い」とし、その点が一番の魅力だとした。
その結果、初めて行くコースでは事前に練習してイメージをしっかり作ってから走りに行くことを徹底。実際に走りに行っても「もう走ったことのある感覚で乗っている」ことになるという。
山中選手は練習で長いときは4~5時間走り、仲間うちで追走練習をしたり、一般の人とオンラインサーバーを介して一緒に走ったりもしているとのこと。そうしたことから、一緒に走った人からInstagramのDMが届くこともあると話していた。
深田選手は、初めて走るサーキットに行く前に使っているといい、おおよその距離感などをつかんだうえで走ると、現地でゼロから走り始めるのとは、全く違うものになるとした。特に、同じコースでもドリフトの審査区間が変わるような場合には、活用しているという。
ほかにも「ギア比、空気圧、アライメント、だいたいなんでも触れてしまいます。私はアライメントを触ってもわからない人だったんですが、シミュレーターで試す中で変化を勉強することもしています」と、セッティングにも活用していることを紹介した。
さらにシミュレーターでは、走りのリプレイも可能。ドライバー目線ではなく俯瞰で見ることもできる。ドリフトでは通るゾーンが指定される部分があり、その場所への向かい方も俯瞰で見るとよく分かるため、俯瞰をイメージしながら走ることも、走りに違いが出るという。
モータージャーナリストの橋本氏は、走った経験のない会員制サーキットでスーパースポーツ車の試乗する機会があったことを紹介。「いきなり高価なクルマを全開で走るのはかなりリスクがある」として、シミュレーターで事前練習をしたという。数千万円する会員権を買わずに走り込むことができたことで、シミュレーターを「ほんとお得」と評価した。
今回のモーターランド三河についても「大きいサーキットでエスケープゾーンがたくさんあるところだと飛び出してもいいやとブレーキを試すことができるが、ここはそれができず、飛び出したらアウト。だから、シミュレーターでコーナーを攻めるだけ攻めてみて、こうなるとぶつかる、という体験をしていくと、少しリラックスしてコーナーに入ることができる」とシミュレーターの効果を挙げた。
ゲストが選んだ「かっこよかったクルマ賞」を6台選ぶ
トークショーのあとは、今回の走行枠に参加したクルマの中から、ゲストドライバーが選ぶ「かっこよかったクルマ賞」の発表があった。
長尾選手はカーナンバー105番のホンダ・S2000、及川選手は104番のマツダ・CX-30、山中選手は2番のトヨタ・カローラレビン(AE86)で唯一のドリフト参加車を選び、深田選手は11番のスズキ・エスクード、橋本氏は19番のホンダ・S2000、さらに司会のまるも氏は14番のダイハツ・コペンを選んだ。
モータースポーツの新たな楽しみ方を感じるイベント、次回開催も期待
今回は愛知県での開催となり、3月に開催された1回目とは違い、主にグリップ走行の参加者が多く、サーキット初心者も多いイベントとなった。リアルとバーチャルを同時体験するほかにも、同乗走行、EVカートなども催され、サーキット走行に参加のドライバー以外の一般来場者も楽しめたのではないだろうか。
リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会は今回が2回目。横断幕にも「Vol.2」とあることから、Vol.3、Vol.4の開催も期待できる。ビッグローブによれば今後の予定はまだ決まっていないとのことだが、富士、三河の次は皆さんのお近くのエリアで開催する可能性もある。次回も期待したい。






































