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ビッグローブ、リアルなサーキット走行とシミュレータを同時体験できたダブルレーサー体験会
2025年3月18日 07:15
- 2025年3月10日 開催
インターネットプロバイダーのビッグローブは3月10日、「リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会 powered by BIGLOBE」をWins Againとの共催で開催した。
富士スピードウェイのショートサーキットの走行とシミュレータのどちらも体験でき、まさにリアルとバーチャルをダブルレーサーなイベントだった。
なぜインターネットプロバイダーのビッグローブがサーキット走行会をやるのか?
今回はリアルとバーチャルを同時体験するイベント。バーチャルとはシミュレータでレースを体験することで、その際にはゲーミングPCやシミュレータだけでなく高品質なインターネット回線が必要になる。
特に対戦となった場合、回線品質がわるければ対戦どころではなくなる。たとえばデータの流れが詰まり気味になった場合、対戦相手のクルマの動きが止まり、その後、瞬間移動するような挙動を見せることもあるという。
今回のイベントではリアルとバーチャルを同時体験することで、バーチャルの楽しさだけでなく、リアルな走行にバーチャルがどれだけ有効なのかを理解し、そのうえでバーチャルの提供に不可欠なインターネット回線を提供するプロバイダーとしてのビッグローブを認知してもらう狙いもある。
また、実際にリアルなレースとバーチャルを同じ場所で体験することで、シミュレータの再現度を理解しやすくなり、よりバーチャルの重要性を知ることもできる。
バーチャルを体験するシミュレータは大盛況
このイベントはサーキットで開催される関係で、リアルな走行会がメインとして進行していたが、実際にはバーチャルの活用が進んでいることや、実際にバーチャルがリアルな走行には欠かせないものになりつつあることを理解できる場面も多かった。
そのため、「バーチャル」となるシミュレータは、トークショーでシミュレータの活用が語られたあとはほぼ途切れなく体験者が続いた。
今回はシートが可動式でアクチュエータの働きでGを感じられるタイプと、シートが固定されたタイプが各1台用意されたが、それらを用意したのはレーシングシミュレータ開発・販売を行なっているゼンカイレーシング。
使っているソフトは「アセットコルサ」で富士スピードウェイのショートコースを再現し、クルマは競技用の「VITA-01」としてセッティング。ゼンカイレーシングでは今後、新たに展開するシミュレータドライビング施設では、ビッグローブの回線を使う予定とのことだ。
今回、同乗走行も担当したモータージャーナリストの橋本洋平氏はリアルだけでなくバーチャルも体験。「かつてVITA-01に乗ってレース出たことがあり、その感覚にものすごく近かった」とし、シートが可動するシミュレータは「シフトアップの時にシフトしてるようなショックがあり、前後に揺れ、コーナリング時も揺れて、その傾きに対して自分が踏ん張り、動きが分かりやすい」と実車に近いと評価した。
また、シミュレータでのトレーニングは、今回のシミュレータに乗ったことで「ちょっと痩せた気がする」と話すほど体力消耗や発汗があるとし、「これだけ本格的なものでやるとシミュレータでも体力が必要というのが正直な感想。体も熱くなってくるし、10分から15分でも体のトレーニングにもなる。シミュレータで鍛えて実車に乗れば相当ラクになるということははっきり分かった」と効果の高さを述べた。
さらにレースに参戦していたころを振り返り、「もし、本気でやっているころだったら部屋に暖房をかけて、レーシングスーツを着て、ヘルメットをかぶって、汗をかきながらやると思う。運転操作を学ぶだけでなく、体が疲れたときの集中力低下もあり、精神的なものを含めてすごくよいトレーニングになる」「部屋を暑くしたらコンピュータは心配だけど、耐久レースの1時間以上ずっと乗り続けることも再現できそう」と、シミュレータでの練習に大きな期待を寄せた。
走行会はグリップとドリフトの同時開催、さまざまな走りを楽しんだ
一方、イベントのもう1つメインでもある「リアル」なサーキット走行は、事前に申し込んだ人のみの参加だったが、平日の月曜日にかかわらず約40台が集まった。自分のクルマで走るということで、ドリフト部門とグリップ部門それぞれに参加者の実力に合わせてクラス分けされ、走行した。いずれのクラスも約15分の走行を午前と午後合わせて4回行なった。
さらに同乗走行ということで、ビッグローブがサポートするドライバーを中心にグリップ部門ではラリーカーのGRヤリスを長尾綱也選手、村田康介選手が、市販車のGR86をモータージャーナリストの橋本洋平氏がドライブ。さらにドリフト部門では、JZX100型マークIIを深田真弘選手、S15シルビアを深田一希選手がドライブした。
平日の開催となったものの、事前に走行枠はすべて埋まり、参加者は午前2回、午後2回のサーキット走行を楽しんだ。
また、同乗走行ではお目当てのドライバーの横に乗れるとあってこちらも人気。走行に参加するドライバーも同乗し、自分の走行の参考にする場面もあった。
バーチャルで練習を重ねるプロドライバー、ネット対戦は人間との戦い
走行の合間の昼食休憩時には、同乗走行を行なうゲストドライバーらによるトークショーが行なわれた。同乗走行をドライブする村田康介選手、長尾綱也選手、深田一希選手、橋本洋平氏のほか、及川紗利亜選手、MCには梅本まどか選手が参加した。
トークでは、今回のイベントの主旨でもあるシミュレータとインターネットがもたらすモータースポーツへの影響という点について語られ、リアルで活躍しているドライバーたちがシミュレータを使っているのか、リアルとどう結びついているのかが明らかにされた。
ゲストドライバーの仲でシミュレータを最も使っていると自負するラリードライバーの長尾選手は、去年の夏からモニターやシミュレータを導入しているが、その前も20歳くらいからシミュレータのある場所に頻繁に通ってバーチャルのレースをしていたという。自宅で「EA SPORTS WRC」を導入してからはコースである道の雰囲気が再現され、練習になっているとのことだ。
ドリフトでは深田一希選手がアセットコルサでMODを導入して1年半。ドリフトでは重要になる計測区間やコーナーの進入位置などはバーチャルで距離感をつかみ、予習として活用しているとのことだ。
今回のシミュレータが設定している「VITA-01」でKYOJO CUPに参戦している及川選手は、富士スピードウェイを走ったことがなかったころはコースを覚えるためにアセットコルサを活用したほか、普段はレースウィーク前に路面などいろいろな状況を変えて練習をすることに活用しているという。
反対にバーチャルを活用していないという村田選手は「みなさんやってると聞いて、今焦っているところ」とし、村田選手は初代グランツーリスモを中学生のときにプレイした程度と自己紹介。最近、はじめてシミュレータを体験し、「あまりにも(初代グランツーリスモと)違いすぎて度肝を抜かれました」とのこと。
さらに村田選手は今回設置したシミュレータにも乗車し、「朝、リアルに走ったあとでシミュレータに乗ったら、本当に同じような挙動をして『これ、ようできてるわ』と驚いてしまった」という。
村田選手がグランツーリスモをゲームパッドで操作していたことを語ると、すかさず深田選手は、東京オートサロンの時に開催されるグランツーリスモのドリフト大会で、パッド操作で優勝した経験を披露。パッドでも強いことをアピールして笑いを誘った。
さらに深田選手はゲームとハンドルコントローラーの機種ごとの相性を語り、仲間同士でオンライン練習をして気づくと夜中まで走っているなどと、バーチャルの活用の深さを披露した。
トークショーでは深田選手とゲームで競って負けた人と話題にされた、D1に参戦する山中真生選手も飛び入り。「リアルではまだまだ負けないので大丈夫です」と語った。
一方、橋本氏は以前、86のワンメイクレースに7年間参戦。その際にグランツーリスモを使ってバーチャルを活用し、遠地でのレースを予習することに重宝していた。その後、先月から「iRacing」を導入し、1日1回、毎晩やるようにしたという。
橋本氏はバーチャルならではの「ネット対戦」について言及し、「逆に人間臭いというか、嫌なヤツがいたりするんですよ。シミュレータでも最後は人間が使う道具だというところがとてもおもしろい」とし、「相手にプレッシャーかけるとボロを出す、そういう駆け引きができることが、レースをやる上ではとても勉強になる。人間がどう動くのかはなかなか読めないが、その練習にはすごく役立つ」とした。
トークショーではそのほか、バーチャルならばガソリンもタイヤも減らないこと、ぶつけてもお金が減らないこと、シミュレータを揃えるのにお金がかかってもその後は電気代だけで練習でき、エコに上達できること、そのうえで通信なら世界中の人たちと競えることなど多くのメリットが語られた。
トークショーの後半には女性ドライバー3人がモータースポーツとの関わりなどを語り、深田真弘選手を父親とし、女子高生時代からドリフトがうまいことで注目されていた深田一希選手の英才教育ぶりなどが披露された。











































